道を譲られてお礼のクラクションを鳴らすのは常識…ではなく、これは道交法違反。クラクションに限らず、間違ったクルマの装備の使い方をしている人は意外と多い。反則金や違反点数が科せられることも…。痛い目に遭わないためにも、「それって耳タコ!」と思わず、勘違いがないかを再点検してほしい。
文/室井 圭、写真/写真AC、イラストAC
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クラクションが使えるシチュエーションは"極めて"限定的!
クラクションの上に手を置いて、何かというとすぐにクラクションを鳴らす行為は道交法違反だ。クラクションは鳴らさないことが原則のようだ
最も間違った使い方をしがちなのがクラクションだろう。クラクションは正確には警音器という名称。この名称どおり、クラクションは危険を周知させることが目的の装備だ。そのため、道交法においてはクラクションを鳴らすことが許可されているシチュエーションは非常に限定的となっている。
実際、道路交通法第54条では「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」と規定されており、これを違反すると「警音器使用制限違反」に問われ、違反点数はないものの反則金3000円が科せられる。
「ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」」の解釈が少々難しいところではあるが、歩行者が飛び出した時や、危険な割り込みをされたとしてもクラクションは鳴らさないことが原則なのだ。当然、挨拶やお礼のためや、信号が青になっても前のクルマが進まなかった時にクラクションを鳴らすことは違反となる。
「サンキューハザード」は本当は非常識! ハザードランプは乱用しないが基本
「サンキューハザード」をしないと失礼な気はするが…。とはいえ、ハザードの本来の使用目的からは大きく外れている
道路交通法でハザードランプを使用すべきと規定しているのは、夜間に5.5m以上の幅がある道路で停車・駐車している時(第18条2項)と、通学通園バスの乗降のために停車している時(第26条)。クラクションとは異なり、乱用を禁止する規定はない。
ただし、ハザードランプはあくまでも危険を周知させるための装備。そのため、道路交通法に明記されていないものの、正しい使い方はトラブルによって路上に駐車する必要がある場合や、故障車を牽引する場合だ。
近年、合流で道を譲ってもらった時のお礼の定番「サンキューハザード」。これはクラクションのように違反とはされないものの、推奨はされていないのだ。合流時などに行うことで操作時に接触・追突事故を起こすなどの危険が生じるからだ。
ちなみに、もはや常識となっている高速道路で渋滞に遭遇した時、最後尾のクルマがハザードランプで注意を促す行為。実は、免許試験で「高速道路で渋滞最後尾のクルマはハザードランプで知らせなければならない」と出題された時は×と回答しなくてはいけないのだ。これは法令化されていないためで、自治体警察によっては危険回避のために使用を励行しているところもある。
オートライトの過信は禁物! 「思いやり消灯」は違反!!
オートライト装着車の場合、ウインカーレバーに今まであった「OFF」がなくなり、点灯解除をできないしくみ。ただし、過信は禁物だ
道路交通法の改正により、新型車は2020年4月から、継続生産車も2021年10月から、オートライトの装着が義務づけられた。
改正前から交通死亡事故発生時間帯が、17時から19時台、いわゆる薄暮時であることから、その前からヘッドライトを点灯する「早め点灯」が推奨されてはいた。とはいえ、明るさの度合いの感じ方には個人差がある。つまり、改正は点灯のタイミングをドライバーの感覚に頼るという曖昧性を排除するための策と言えるだろう。
しかし、オートライトライトに頼りっきりというのは避けたい。というのも照度センサーの性能にはバラつきがあり、オートにしているのにもかかわらず周囲が暗くなり始めても点灯しないケースもあるからだ。そのため、オートライトを過信せず、点灯タイミングが適切ではないと感じたらマニュアル操作で点灯させる必要がある。
点灯タイミングに違和感を感じるようなら、販売店などに相談して点灯タイミングを調整してもらおう。
ちなみに、オートライトライトなしのクルマに乗っている人は、交通量の多い明るい幹線道路などでは点灯忘れに注意したい。無灯火による違反点数は1点、反則金は大型7000円、普通および2輪車で6000円、小型特殊、原付で5000円と規定されている。
また、ひと昔前は常識だった、信号などで停車した時に消灯する「思いやり消灯」は違反となるので注意しよう。
視界不良時以外のフォグランプ点灯は大迷惑
視界不良の時には威力を発揮するフォグランプだが、天候が良い時の使用は危険だ
フォグランプの本来の目的は、濃霧や豪雨、吹雪など、視界が極めて悪い状況下で対向車や後続車のドライバーに自車の存在を知らせるもの。そのため視認性の高い光を発するライトとなっており、視界不良時の事故を防ぐ効果は高い。
その反面、晴天時に点灯すると対向車や後続車のドライバーの視界を妨げ、事故を誘発する可能性がある。そのため、悪天候時以外の使用はマナー違反だ。
また、フォグランプは道路運送車両法においては「ヘッドライト点灯時にのみ灯火可能、ヘッドライト消灯時は灯火不可」と規定されているため、フォグランプのみの使用はNG。ヘッドライトを点灯せずスモールランプとフォグランプのみで走行すると無灯火と見なされ、違反点数、反則金が科せられる。
ルームランプを点灯したままの運転は超危険!
車内が明るいままで走行をすると暗い車外の様子が見づらくなる。突然の飛び出しなどにも対応できなくなってしまう
ルームランプをつけていると違反切符を切られると聞いたことがある人も多いだろうが、これは嘘。口頭注意を受ける可能性はあるが、違反ではないのだ。
ただし、室内灯をつけっ放しにすると、瞳孔が収縮して暗い車外が見えにくくなってしまうため、非常に危険だ。また、室内灯がガラスに反射することで車外が見えにくくなってしまうこともある。それで事故を起こした場合は、「安全運転義務違反」に問われる可能性があるので注意したい。
たった1回の威嚇パッシングで一発免許取り消しも!
お礼パッシングも、威嚇行為と勘違いされることもあるので、パッシングはコミュニケーション手段として使用しないほうが無難
パッシングはドライバー間のコミュニケーションの手段として多用されている。道を譲る時の意思表示や、譲ってもらった時のお礼など、有益と思われる使い方も多い。しかし、特に高速道路などで目にすることが多い「道を譲れ!」という意思表示のパッシングは絶対にNG。
2020年6月30日に改正された道路交通法では、執拗なパッシングは、妨害(あおり)運転の対象となる違反行為の中の「減光等義務違反」になり、認定されれば厳罰に処せられる可能性がある。
ご存じのように、あおり運転はかなりの厳罰で、妨害を目的としたあおり運転を行っただけでも、刑罰が3年以下の懲役、または50万円以下の罰金、行政罰が違反点数25点の免許取り消し(欠格期間2年)という厳罰が科せられる。さらに、妨害を目的としたあおり運転により、相手に交通の危険を生じさせたと認定された場合は、5年以下の懲役、または100万円以下の罰金、違反点数35点の免許取り消し(欠格期間3年)というさらに重い懲罰が科せられる。
たった1~2回のパッシングでも、相手が運転ミスを犯して事故を起こしてしまったりしたらアウト! その事故の原因があなたの行ったパッシングであると認定されれば、"執拗"ではなかったという主張が却下されることも十分に考えられるのだ。
同乗者の不注意もドライバーの責任に! シートベルト着用は徹底する
子どもを抱っこして助手席に乗っている人を見かけるが、これは違反。道路交通法改正以降、6歳未満のすべての子どもにチャイルドシート着用が義務づけられている
2020年9月1日以降の新型車には、後部座席を含む全席にシートベルトリマインダーを装着することが義務化されたことからもわかるように、シートベルト着用はすべての座席において義務化されている。特に、後部座席は装着を忘れがちだが、高速道路では違反点数が科せられるので注意が必要だ。
具体的には、運転席・助手席の場合は、すべての道路において違反には違反点数1点が科せられるのに対し、後部座席に関しては一般道は口頭注意、高速道路走行時のみ違反点数1点と規定されている。反則金はなしで、いわゆる「白切符」扱いとなる。
ちなみに、6歳未満の子ども、または身長140cm未満の場合は、チャイルドシートまたはジュニアシートの着用が義務づけられている。違反した場合は違反点数1点が科せられる。
シートベルト着用義務違反はドライバーが全責任を負うことになる。同乗者の不注意という言い訳は通用しない。そのため、同乗者がシートベルトを着用していない場合は、後部座席であろうと着用を促すべきなのだ。
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みんなのコメント
サンキューハザードは違法!
夜間は常にハイビーム!
制限速度さえ越えなければ歩行並みのスピードでも違反してないからOK。
頭大丈夫ですか!