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一度は復活を遂げた迷(名)車たち 後編 モーリス・オックスフォード ローバーSD1 コード810/812

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一度は復活を遂げた迷(名)車たち 後編 モーリス・オックスフォード ローバーSD1 コード810/812

モーリス・オックスフォード・シリーズII(1954年)

1954年に発表されたモーリス・オックスフォード・シリーズIIは、伝統的なスタイリングのサルーンだった。英国の保守的なドライバーをターゲットとしており、想定した数を販売することはできた。

【画像】一度は復活を遂げた迷(名)車たち スチュードベーカー ポルシェ ランチア ほか 全111枚

モノコックボディだったが、内容は至ってベーシック。コラムシフトを装備し、操縦性は鈍重といえたものの、クラシカルな見た目にはマッチしていた。

オックスフォードはシリーズIIIへ改良されるが、1957年からインドでヒンドスタン・アンバサダーとしても生産が始まり、2014年まで販売が続いた。半世紀を経て、インド人の国民車的存在にまで登りつめた。

シンプルな構造でメンテナンスしやすいという特徴は、動力性能やモダンな見た目よりインドでは重視された。ヒンドスタン・モーターズによって改良が加えられながらも、スタイリングは最後までオリジナルのままだった。

その後、インドは自動車市場を日本のメーカーへ開放。安全や環境に対する規制が強化され、経済は発展し、アンバサダーの役目は無事に終わった。

マニアな小ネタ:高い馬力と低い環境負荷を求めて、ヒンドスタンはエンジンをモーリス製からいすゞ製へ変更。見た目にそぐわず、後にオーバーヘッドカム・ユニットを獲得している。

ローバーSD1シリーズ(3500/1976年)

1976年に発表された5ドアのローバー3500は、親会社のブリティッシュ・レイランドをも救う救世主になる予定だった。高性能で実用性に優れる設計だけでなく、斬新なファストバック・ボディと新鮮味あるインテリアを獲得し、可能性は高かった。

当時の自動車ジャーナリストも、3500の仕上がりを高く評価した。スペック的には目立つところがなかったかもしれないが、操縦性や燃費性能を讃えている。

しかしローバーの復活を妨げたのは、製造品質の低さだった。SD1シリーズのモデルライフは10年間に及んだが、20万台のラインオフに留まっており、充分な成功が得られたとはいえなかった。

その後ブリティッシュ・レイランドは、インド・マドラスを拠点とするスタンダード・モーター・プロダクツへ製造設備を販売。同社はインド仕様として手を加え、スタンダード2000を生み出した。

サスペンションは路面状況に合わせてストロークが伸ばされ、ディーゼルエンジンが主力に切り替えられた。インドでは輸入車に高い関税が掛けられており、国産のスタンダード2000は高い支持を得ると考えられたが、結果的には2年間で3408台しか売れていない。

インド製だとしても価格が高すぎたのだ。ヒンドスタン・アンバサダーのようにはいかなかった。

マニアな小ネタ:英国に住むクラシックカー・マニアのとある兄弟が、スタンダード2000の生産終了後に部品を購入。SD1シリーズの延命に役立てている。

コード810/812(1936年)

コフィン・ノーズと呼ばれるボートのようなフロントノーズが特徴だった、コード810と812。当時のアメリカ車では、最も技術面で挑戦的な1台だった。

1930年代にあって、フロント・サスペンションは独立懸架式。前輪駆動で、オーバードライブ付きのセミ・オートマティックを採用していた。

ボディサイドにランニングボードが残るフォルムはクラシカルだが、大きなラジエターグリルは不在。ボンネットの横からは、クロームメッキされたエグゾーストが姿を表している。リトラクタブル・ヘッドライトも、印象的な雰囲気に一役買っていた。

インテリアでは、エンジンターンと呼ばれる青海波模様のパネルがダッシュボードに与えられ、タコメーターとラジオが標準装備。最高速度は時速100マイル(161km/h)がうたわれ、高い性能も多くの人を驚かせた。

ところが、前衛的なセミ・オートマティックは信頼性が低かった。1936年から1937年までに3000台を生産したところで、コード・モーター社は倒産に追い込まれてしまう。

スタイリングは2社の独自モデルへ派生

810と812の斬新なスタイリングは多くの人の心へ響き、アメリカのグラハム・ペイジ社とハップ・モービル社の2社が権利を取得。それぞれ、ハリウッドとスカイラークとして独自モデルが生み出された。

リバイバル版は後輪駆動化され、ヘッドライトも一般的な固定式に改められていた。エンジンは直列6気筒を搭載し、明確なフロントグリルも備わっている。それでも、大きく弧を描く優雅なフォルムは確かに受け継がれている。

しかし、どちらも投資に見合う台数は売れないと判断。1年も経たないうちに市場から姿を消してしまった。

マニアな小ネタ:オクラホマ州に住む教師のグレン・プレイ氏は、オリジナルのスタイリングを手掛けたゴードン・ビューリッグ氏の協力を得て、8:10スケールのレプリカを製作している。コード・モーター社の名称を利用する権利も取得したという。

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