自転車を安心・安全に利用するための装備
空気が冷たい季節は、あの外に立っているだけで汗が噴き出すような夏場に比べると、自転車に乗るには良い環境かもしれません。数カ月ぶりに自転車に乗り始める人や、つい食べ過ぎてしまう季節に新たに自転車に乗り始める人もいるかもしれません。そんな時にあらためて確認しておきたいことが、日本の公道で自転車を利用する際に、必須とされる4つの装備です。
新車を購入する場合、一般的なシティサイクル(ママチャリ)であれば標準的に装備されていることが大半ですが、ロードバイクなどのスポーツタイプの自転車の場合、自分で用意しなければいけない事があります。また、これまで乗っていた自転車で、必須装備が揃っていたとしても正しく機能しなければ意味がありません。自転車が公道を走る際に必要とされる装備を、ひとつずつ確認してみましょう。
(1)前後ブレーキ(制動装置)
自転車には前輪と後輪のどちらにもブレーキが装備され、10km/h走行時に、3m以内の距離で停止させることができなければいけないと規定されています。自転車販売店に見られる車両のほとんどは前後にブレーキが装備されていると思いますが、「ピストバイク」などの特殊な車両の場合、前輪のブレーキが装備されていないこともあるので注意が必要です。
違反があった場合は5万円以下の罰金となり、過失も同じ扱いを受けます。この「過失も同じ扱いを受ける」の部分が重要で、メンテナンス不足などで規定の制動力を発揮できない場合も罰則の対象となってしまいます。久しぶりに自転車に乗る場合は、ブレーキの確認を忘れずに行ないましょう。
(2)ベル(警音器)
自転車はクルマやバイクと同じように、左右の見通しが悪い交差点や曲がり角などで、「警笛ならせ」の標識がある場所を通行する際は警音器を鳴らさなければいけません。そのため、普段あまり使うことはないかもしれませんが、ベルなどの装備は必須です。スポーツタイプの自転車の場合は、販売時にベルが装備されていないことも多いので、忘れずに購入し、取り付けましょう。
また転倒や、駐輪時に横の自転車と接触して破損、内部がサビて音が出ないなど、比較的トラブルが起きやすい部分でもあるので、久しぶりに乗る場合は音が出るのか確認しましょう。
なお、ベルを鳴らして良いのは「標識などで警笛ならせと指示されている場合」と、「危険を避けるためにやむを得ないとき」だけです。歩行者に気づいてもらうためにベルを鳴らすなど、違反になってしまうのでくれぐれも注意が必要です。
(3)テールライト(尾灯)もしくはリアリフレクター(後部反射板)
自転車の後方に向けたリフレクター、もしくは自ら発光する尾灯の装備も義務付けられています。夜間やトンネルなど、見通しの悪い場所で後ろから迫って来る車両のライトを反射して自分の存在を知らせるリフレクターは、地味な存在ながら安全を確保するためには重要です。こちらもスポーツタイプの自転車の場合は販売時に装備されていないこともあるので、忘れずにチェックしましょう。
ベルと同様に、リフレクターも比較的トラブルが起きやすいパーツです。長く自転車を使っていると汚れなどが原因で光を反射できなくなっている場合もあります。破損の場合は交換、汚れていれば掃除し、後方から迫る車両などに自らの存在をアピールできるようにしておきましょう。
なお、自転車の後部に取り付けるリフレクターや尾灯の色は、「赤」か「オレンジ」と決まっています。
(4)ライト(前照灯)
じつは、道路交通法では必須のアイテムではありませんが、自転車には夜間やトンネルなどの暗い道を走行する際にライトを点灯させる義務があり、無灯火の場合は道路交通法違反となります。「夜間やトンネルなどの暗い道を絶対に走行しない」ということであれば装備していなくても良いという解釈になりますが、日常で使う限り、そのようなことはないと思います。
ライトの明るさについては、各都道府県ごとの道路交通法施行細則で「白色または淡黄色で、夜間に前方10mの距離にある交通上の障害物を確認することができる明るさが必要」とされています。一部の地域では距離が「5m」とされていることもありますが、自転車の制動距離などを考えたら10mが妥当ではないでしょうか。
※ ※ ※
以上4点が、自転車が公道を走る際に必須となる装備です。そして、それ以外で忘れてはいけないのが「ヘルメット」です。
2023年4月から、子供だけでなくすべての自転車利用者に対してヘルメットの着用が努力義務になりました。努力義務なので着用しなくても罰則はなく、基本的には個人の判断に委ねられますが、いざという時に自分の命を守ってくれる大事なアイテムです。これを機会に、ぜひ着用を検討してはいかがでしょうか。
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