2017年10月に日本デビューを果たしたボルボXC60は、当初T5とT8のみの導入だったにもかかわらず市場から高い評価を受けた。そんな中、2008年にはディーゼル仕様のD4に続いてスポーツ仕様のT6 の導入も開始、いよいよラインアップが完成している。これを機に、Motor Magazine誌では到着したばかりのT6 AWD Rデザインをテスト。それをとおしてボルボXC60の魅力をあらためて考察している。(以下の記事は、Motor Magazine 2018年10月号より)
2年前に発表されたXC90から、ボルボは大きく変わった
新世代ボルボのアッパーミドルクラスSUVがXC60だ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
2年前に発表されたXC90以降の新型車を私は「新世代ボルボ」と位置づけ、それ以前のモデルと区別している。その特徴として、シンプルでありながら味わい深い内外装のデザイン、新開発のプラットフォームやエンジンがもたらすスポーティな走りと環境性能、先進的な安全運転支援装置の充実などが挙げられる。
このなかでも私がとくに魅力的と感じるのがデザインである。トーマス・インゲンラート氏が描いたエクステリアは懐かしさと新しさが見事に調和し、しかも、それをゴチャゴチャとしたモチーフの集積としてではなく、あくまでもシンプルなラインで作り出しているところが素晴らしい。
さらにそれにも増して魅力的なのがインテリアだ。こちらもシンプルな造形のなかに、質が高い天然由来の素材を数多く採用。また、このクラスでは黒一色のインテリアが少なくないなか、ボルボはオフホワイト系や明るいブラウン系を幅広く用意しているのも特徴で、その明るいインテリアは心まで明るくしてくれるようで好感が持てる。
このインテリアと安全運転支援装置を見事に結びつけているのが、縦型の大型ディスプレイを中心としたインフォテインメントシステム。タブレット端末のようにピンチイン・ピンチアウトなどが可能なタッチパネル式ディスプレイは、視認性の高い位置に置かれているうえにアイコンのサイズも大きめで、運転しながらの操作も容易。ナビゲーションやエアコンだけでなく、多彩な安全運転支援装置の設定を素早く行えることも特徴のひとつである。
一方、新プラットフォームのSPAを採用した新世代モデルは、これまでのボルボからは想像もできないほどソリッドな足まわりにより俊敏なコーナリングを実現。このあたりはアジリティ(俊敏性)を重視する最新トレンドに連動した味付けで、好評を博すひとつの要因となっているようだが、個人的には少し疑問に感じる部分もあった。
それは硬めの足まわりとされたために路面からのショックを正直に伝える傾向が認められるほか、大きい段差を乗り越えた直後に起きる振動がボディにわずかながら残る点だった。
パワートレーンに目を移すと、エンジンを2L直4に一本化する一方で過給器の組み合わせによって幅広いラインアップを揃えたほか、フロントをエンジン、リアをモーターで駆動するプラグインハイブリッドも用意。環境意識が高いユーザーからの期待にも応えている。
こうしたクルマ作りが支持されて、2017年の世界販売台数は過去最高の57万1577台を達成。これは2016年を7%上回るものだった。
T6 Rデザインはスポーツ仕様の位置づけ
ボルボのなかでもとくにセールスが好調なのがXC60で、2017年は18万4966台を販売(旧型を含む)。これはボルボ全体の1/3近くを占める数字であり、いかに彼らにとって重要なモデルであるかがうかがえる。
XC60が人気なのは当然だろう。新世代ボルボの特徴をすべて兼ね備えているうえ、いま熱い注目を浴びるSUVであり、しかも全長4.7m弱という扱いやすいサイズなのだから。ちなみにこの傾向は日本でも変わらず、2017年10月の発売以来、受注は累計で4000台を突破。これは従来の2.5倍に相当するペースだという。
なお、日本国内でのデリバリーは最高出力254psのT5とプラグインハイブリッドのT8が2017年後半にスタート。最高出力190psのディーゼルエンジンを搭載したD4と340psのハイパフォーマンスバージョンであるT6は2018年4月に納車が始まった。
ここでは日本に上陸したばかりのT6 AWD Rデザインのインプレッションをお届けしよう。
内外装の仕立てがスポーティになるだけでなく、機敏なハンドリングをもたらすスポーツサスペンションが組み込まれるのがRデザインの特徴で、これらは新型XC60でも踏襲された。つまり、私が硬めだと感じていたXC60のサスペンションがさらにハードになったわけで、試乗前は乗り心地のことがいささか心配だった。
しかし、そんな心配は不要だった。T5よりもT6のほうがダンパーの減衰率が高くなっていることは間違いない。それでも、タイヤが段差に乗り上げたときのゴツンという衝撃はむしろ小さくなっており、おかげでボディに伝わった振動が尾を引く現象も気にならないレベルまで改善されていた。
これと同じ傾向は、以前、 試乗したXC60 D4でも確認されたほか、間もなく国内導入されるV60の国際試乗会でも感じたばかり。さらにいえば60系よりもひとまわり小さく、プラットフォームがCMAとなるXC40も、ハーシュネスは軽くて快適。どうやらXC90が登場して以来の2年間で、ボルボはハーシュネスの処理で新たなブレイクスルーを見つけ出したようである。
このガツンという衝撃さえなくなれば、私の新世代ボルボへの不満は解消される。XC60 T6 Rデザインでも、よりハードなサスペンションながら低速域のゴツゴツ感は容認できる範囲内。それどころか、車速が60km/hを越えるとむしろ足まわりがしなやかに感じられて実に快適だった。
ワインディングロードでのハンドリングは正確で、ごく軽いロールを伴うコーナリング中の姿勢も安定している。また、荒れた路面を走り抜けてもタイヤのグリップが途切れ途切れになることはなく、ロードホールディングは良好。波状の路面で時として起きるボディの上下動を抑え込むにはダンパーをもう少し締めるという手もあったはずだが、快適性とのバランスを考えればいまのセッティングが正解だろう。
デザイン、走り、安全性にボルボ独自の価値を盛り込む
T5を64ps/50Nm上回るT6のエンジンは、市街地では扱いやすい一方、急な上り勾配のワインディングロードでは車重をものともせずにグイグイと加速。俊敏なレスポンスを含め、2Lとは思えないパフォーマンスを発揮してくれた。
フュージョンレッドメタリックにペイントされたボディはなかなか精悍で、とりわけテールランプがボディカラーに溶け込んで見えるリアビューはXC60の未来的なスタイリングを一層引き締めていて魅力的だった。ただし、このカラーを選ぶとインテリアが自動的にブラック系となるのは残念。個人的には、これとオフホワイト系のインテリアを組み合わせられたらさらにオシャレだと思う。
最後に、安全運転支援装置関連の話題をひとつ紹介したい。これまでボルボのステアリングアシストは、システムの介入がやや強引に感じられる味付けだった。これは危険な走行状態に陥ったことをドライバーに意識させるのを目的としたものだが、どうやら市場からは不評だったらしい。そこでよりソフトにアシストするシステムが順次導入されているが、今回試乗したT6 Rデザインにもこの新しい考え方が採用されていた。
続々と新作がデビューしているSUVだが、SUVであればなんでも売れる時代は終わりつつある。今後はプラスαの付加価値を盛り込んだSUVでなければ好セールスは期待できないと私は予想する。その点、デザイン、走り、そして安全性で独自の価値を盛り込んだXC60が市場で幅広い支持を集めているのは、至極当然といえるだろう。(文:大谷達也/写真:小平 寛)
ボルボ XC60 T6 AWD Rデザイン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1915×1660mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1890kg
●エンジン:直4DOHCターボ+スーパーチャージャー
●排気量:1968cc
●最高出力:235kW(320ps)/5700rpm
●最大トルク:400Nm/2200-5400rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・71L
●JC08モード燃費:11.5km/L
●タイヤサイズ:255/40R21
●車両価格:724万円(2018年当時)
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