現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 渋色フェラーリ「ディーノ」が1億円オーバー! 赤から銀へ変更されても評価の下がらない「正しいレストア」とは?

ここから本文です

渋色フェラーリ「ディーノ」が1億円オーバー! 赤から銀へ変更されても評価の下がらない「正しいレストア」とは?

掲載 13
渋色フェラーリ「ディーノ」が1億円オーバー! 赤から銀へ変更されても評価の下がらない「正しいレストア」とは?

フェラーリ愛好家もガレージに収めたい「ディーノ」

今も昔も、クルマ好きの間では大人気を誇る「ディーノGT」。中でも最初期モデルにあたる「206GT」は、そのピュアな成り立ちやレア度からカリスマ的な存在となっている。北米フロリダ州シー諸島アメリア・アイランドを舞台に毎年3月に開催される大規模コンクール・デレガンスに付随して、2023年もRMサザビーズ北米本社の主導によって“AMELIA ISLAND”オークションが大々的に開かれたのだが、その競売会場には一台の206GTが登壇。驚くべきハンマープライスが、文字どおり叩き出されることになった。

「ディーノ」は事故車でも4400万円! かつて500万円で取引されていた「206GT」を振り返ろう【スーパーカー列伝07】

もっとも重要かつレアなディーノGTとは?

1960年代中盤、フェラーリの開祖エンツォは、最愛の息子ディーノが開発したエンジンを搭載すべき市販ストラダーレを、マラネッロの開発チームにゼロから設計することを命じた。そして完成したディーノ206GTは、同社初のミッドシップ・エンジンレイアウトの市販車であり、カムシャフトカバーに“Dino”の文字を誇らしげに鋳込んだ、バンク角65度のV型6気筒4カムシャフトのエンジンを初めて搭載した。

ディーノ206GTは、当時としては先進的な軽量オールアルミニウム製ボディ、気品を感じさせるほどにニュートラルなハンドリング、歌うような快音を聴かせるパワープラント、そして時代を超えたスタイリングを兼ね備えた、真のドライバーズカーであった。

ピニンファリーナに所属した二人の名匠、アルド・ブロヴァローネとレオナルド・フィオラヴァンティのビジョンは、名高い“カロッツェリア・スカリエッティ”の工房で実現されることになる。

ピニンファリーナのスタイリストが描き上げた、ゴージャスにして流麗きわまるラインはすべてアルミ合金で形成されていたこと。ホイールベースも60mmほど短かったことから、206GTは後継となる「246GT」のスチール製ボディワーク(開口部を除く)よりもかなり軽量に仕立てられていた。

そして、24歳の若さでこの世を去った愛息の夢を実現させたエンツォは、フェラーリの象徴である“カヴァッリーノ・ランパンテ(跳ね馬)”ではなく、ディーノ自身のサインでノーズを飾ることが相応しいと考えた。

こんにち、ディーノ206GTは多くのフェラーリ愛好家から、歴史的にももっとも重要なディーノGT。さらに言えば、もっとも重要なフェラーリ製ストラダーレの一つとして評価されている。

また1968年から1969年にかけて、スカリエッティにて完全ハンドビルドで製作された206GTは150台ほどに過ぎないことからも、スチールボディで量産された246GTよりも希少と見なされるのは当然のことであろう。

■フェラーリの中古車をいますぐ検索!

色替えしても、センスと技術力があれば高い評価を受ける?

このほど“AMELIA ISLAND”オークションに出品されたディーノ206GTは、シャシーNo.#00136。フェラーリの公式生産記録によると、新車時には“ロッソ・キアロ(明るい赤)”に黒ビニール/赤ファブリックのコンビ仕立ての内装で仕立てられ、1968年8月30日にマラネッロの本社ファクトリーから出荷。同日にミラノの“クレパルディ・アウトモービリS.a.S.”社に引き渡されたのち、数週間後にクレパルディから最初のオーナー、イタロ・ムジコへと納車されたことが判明している。

ムジコはその後4年間にわたってディーノを愛用し、1972年にイタリアに駐在していたアメリカ人軍人のドン・グリッグ大尉に売却した。その後、アメリカに戻ったグリッグは1974年にチャールズ・チャック・サデックに売却。彼はその後30年間、ディーノを保有することになる。

2004年以降は、カリフォルニア州で複数のオーナーのもとを行き来したのち、同州在住のジョン・ガンダーソン氏にこの206GTを売却することになった。そしてガンダーソン氏は、2013年にコンクール・コンディションを目指したフルレストアに着手する。

その後3年間、カリフォルニアの“ディーノ・レストレーション”社によって、この個体はアルミ合金製のベアシェルまで剥離され、現在の姿に修復された。

同社のアレンジと監督のもと、メカニズム部分はカリフォルニア州オーシャンサイドの“デューガン・エンタープライズ”。カリフォルニア州サンティのボディスペシャリスト“スピードゾーン”社は、“グリージオ・ノッテ・メタリッツァート(ナイトグレー・メタリック)”でペイントを仕上げたのち、ディーノ・レストレーションはブルー布のシートインサートと黒のビニール製で構成される、正しいインテリアを組み合わせた。

こうしてみごとなレストアが完了したのち、ガンダーソンは自慢の愛車として“第24回パームビーチ・カヴァッリーノ・クラシック(XXVI Palm Beach Cavallino Classic)”に展示するとともに、モントレーの“コンコルソ・イタリアーノ(Concorso Italiano)”に複数回出場。2017年にクラス2位を獲得している。

その後ガンダーソンは2018年に、マイク・シーハン氏の“FERRARI’S ONLINE”を経て、今回のオークション出品者でもある現オーナーのもとへやってきた。

■フェラーリの中古車をいますぐ検索!

工場出荷時のカラーではなくとも高評価

シャシーNo.#00136は、現存するディーノ206GTの中でもっともコンディションが良く、もっとも正しいものに確実にランクされる。目を引くブラックとブルーのインテリアは、“ネズミの毛皮”と呼ばれる246GT以降のスウェード風クロスではなく、総ビニール張りとされたダッシュパネルや、ナルディ社製のウッドステアリング、ディーノ206GT純正のシフトノブによって補完されている。

V6エンジンはフェラーリ初となったマニエッティ・マレリ製電子制御イグニッションを搭載し、「Dino」と刻まれたマグネシウム合金製バルブカバーが取り付けられている。

そのほかにもロール状のソフトケースにまかれた純正ツールキット、FIAMM社製バッテリー、185/R14サイズのミシュランMXVタイヤ、14インチのクロモドラ社製アロイホイール、オーナーズマニュアル、保証書のブックレット、専用の純正ジャッキ、消火器、マニエッティ・マレリ社製ワイパーブレードなど、細部まで正確に再現されている。

このディーノ206GTに下された落札価格は86万8500ドル(邦貨換算約1億1400万円)であった。

前述のとおり、ボディ/インテリアともにクラシックカーの世界では望ましいとされる新車時のオリジナルカラーから替えられてしまってはいるものの、現在のカラーリバリーも純正として存在した組み合わせをセンス良く再現していること。そしてコンクール・デレガンスの常連となった素晴らしいコンディションも相まって、億越えの高評価が付けられたと考えられよう。

■フェラーリの中古車をいますぐ検索!

こんな記事も読まれています

VWの小型セダン『ジェッタ』に改良新型、6月25日に米国デビューへ
VWの小型セダン『ジェッタ』に改良新型、6月25日に米国デビューへ
レスポンス
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
【日本限定30台】メルセデス・マイバッハ特別限定モデル「S 580ナイトエディション」登場! 価格は4400万円。メルセデス ミーで展示中です
【日本限定30台】メルセデス・マイバッハ特別限定モデル「S 580ナイトエディション」登場! 価格は4400万円。メルセデス ミーで展示中です
Auto Messe Web
自動車業界の平均年収ランキング、1位はトヨタで「895.4万円」…SalesNowがトップ10公開
自動車業界の平均年収ランキング、1位はトヨタで「895.4万円」…SalesNowがトップ10公開
レスポンス
スバル新型「スポーツ“セダン”」公開! MT採用&パフォーマンス重視設定がイイ! 羨ましすぎる水平対向エンジン搭載モデル! 米に登場の「WRX tS」はどんなクルマとは
スバル新型「スポーツ“セダン”」公開! MT採用&パフォーマンス重視設定がイイ! 羨ましすぎる水平対向エンジン搭載モデル! 米に登場の「WRX tS」はどんなクルマとは
くるまのニュース
【角田裕毅F1第10戦分析】リヤウイングが一因か。セットアップを最適化できないまま戦い、アンダーステアに苦しみ19位
【角田裕毅F1第10戦分析】リヤウイングが一因か。セットアップを最適化できないまま戦い、アンダーステアに苦しみ19位
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2024スーパーフォーミュラ第3戦SUGO終了時点
【ポイントランキング】2024スーパーフォーミュラ第3戦SUGO終了時点
AUTOSPORT web
トヨタ『ランドクルーザー300』の警備・防衛車両向け、デュアルオルタネーターで電源確保…米APSが発表
トヨタ『ランドクルーザー300』の警備・防衛車両向け、デュアルオルタネーターで電源確保…米APSが発表
レスポンス
山頂キャンプ・グランピングが楽しめる「OZE-HOSHISORA GLAMPING&CAMP RESORT」2024シーズンの営業がスタート!
山頂キャンプ・グランピングが楽しめる「OZE-HOSHISORA GLAMPING&CAMP RESORT」2024シーズンの営業がスタート!
バイクブロス
「ガソリンスタンドの屋根」が“平ら”なのはなぜ? 雨や雪が降ったらどうなる? 屋根に隠された驚きの「工夫」とは
「ガソリンスタンドの屋根」が“平ら”なのはなぜ? 雨や雪が降ったらどうなる? 屋根に隠された驚きの「工夫」とは
くるまのニュース
スタバのドリンクが飲みたいぞ! ラーメン食べたい! 失敗しないSA・PA選びは「スマホアプリ」の活用が正解だった
スタバのドリンクが飲みたいぞ! ラーメン食べたい! 失敗しないSA・PA選びは「スマホアプリ」の活用が正解だった
WEB CARTOP
東京アウトドアショー2024が開催! NEWS小山氏の愛車やランクル特別展示も
東京アウトドアショー2024が開催! NEWS小山氏の愛車やランクル特別展示も
くるくら
驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
AUTOSPORT web
勝者フェルスタッペン「早々にラッセルを抜いたことが鍵。マクラーレンほど強くなかったが、全員でベストな仕事をした」
勝者フェルスタッペン「早々にラッセルを抜いたことが鍵。マクラーレンほど強くなかったが、全員でベストな仕事をした」
AUTOSPORT web
カツデンのスチール製カーハウス「CARKUREGA」の問い合わせが累計500件を突破
カツデンのスチール製カーハウス「CARKUREGA」の問い合わせが累計500件を突破
レスポンス
115万円から! 日産「新型コンパクトSUV」発表! 日産“唯一”の生き残りマシン! MTあり&全長4m以下の「新GEZA」インドで登場
115万円から! 日産「新型コンパクトSUV」発表! 日産“唯一”の生き残りマシン! MTあり&全長4m以下の「新GEZA」インドで登場
くるまのニュース
ロングランやタイヤの耐久テストなどテスト項目満載なのが耐久レース!! EWC第2戦 スパ8時間レース レーシングライダー大久保光のレースレポート
ロングランやタイヤの耐久テストなどテスト項目満載なのが耐久レース!! EWC第2戦 スパ8時間レース レーシングライダー大久保光のレースレポート
バイクのニュース
リレーアタック対策は100均グッズでできる? 色んなもので実験してみた。
リレーアタック対策は100均グッズでできる? 色んなもので実験してみた。
くるくら

みんなのコメント

13件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村