フィアット・クライスラー・オートモビル(FCA)の最高経営責任者、セルジオ・マルキオンネ氏が死去した。体調を崩し手術を受けたあとの回復が思わしくないことを理由に、第一線から退くと発表したのが7月21日。そのわずか4日後の訃報である。
「不幸なことに、私たちが恐れていたことが現実のものとなりました」。FCA会長のジョン・エルカンは談話を発表した。
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マルキオンネ氏の功績は、経営的に行き詰まっていたクライスラーを買収したこと。さらにフィアットのラインナップを刷新し、イタリアのローカルブランドからグローバル化を積極的にはかったことなどがあげられる。
フィアットは日本では「500(チンクエチェント)」のブランドというイメージだが、欧州ではセダンやステーションワゴンという車型をもつミドルクラスの「ティーポ」などが手がたい販売成績を上げている。同時にマツダと「124スパイダー」を共同開発したり、SUVマーケットにはグループ企業のジープとのシナジーを利用した車種を投入したり、と市場で確固たるポジションを築いているのだ。
同氏がフィアットに入ったのは2004年。2009年にクライスラーの買収を実行した。グループ内企業の合理化を進めるなどして、2016年には130億ユーロの負債から黒字への転換に成功する。
ぼくがマルキオンネ氏の姿を見かけるのは、おもにマセラティの記者発表会のときだったが、簡潔ながら的確に経営上の数字を入れ込んだ力強いスピーチが印象的だった。2019年に引退をほのめかしていたものの、予定以上に早すぎた人生からの引退は、イタリア工業界にとっても大きな打撃といわれる。
FCAの後任ポジションには、かねてより予定されていた人事案どおり、ジープ出身のマイク・マンリー氏が就くと発表された。
マルキオンネ氏といえば、公式の場にもセーター姿で現れることでも知られていた。紺色のセーター(おそらくモノはかなりいいだろう)をまとった恰幅のいい容姿ももう見ることは出来ないのだ。冥福を祈る次第である。
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