2021年からWTCR世界ツーリングカー・カップにデビューした新型ヒュンダイ・エラントラN TCRの2台体制を構築し、ともにTCRヨーロッパ・シリーズなどで実績を残してきたアンドレアスとジェシカのバックマン兄妹と世界戦昇格を果たした名門ターゲット・コンペティションが、8月21~22日に開催される次戦ハンガロリンク・ラウンドで3台目のエラントラN TCRを投入する。これにあわせて2017年にTCRイタリア・シリーズでチャンピオンを獲得しているニコラ・バルダンの起用をアナウンスしている。
今季からWTCRやTCRヨーロッパなどに参戦するヒュンダイの新型モデル『エラントラN TCR』は、ファクトリー支援チームとしてノルベルト・ミケリス、ガブリエル・タルキーニが所属するBRCヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラコルセと、ルカ・エングストラーにジャン-カール・ベルネイを擁するエングストラー・ヒュンダイN・リキモリ・レーシングチームと合わせ、全6台がWTCRに参戦している。
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そのレギュラー組に加えて、新たな第4戦に“前倒し”されたハンガリー戦では、もう1台のエラントラN TCRのワイルドカード出場が決まった。
2021年もチームとともにTCRイタリアに参戦中のバルダンは、ここ数シーズンにわたりヒュンダイi30 N TCRをドライブしており、WTCRデビューに際して韓国製の最新モデルにスイッチしての挑戦が予定されている。
「僕が今感じていることを説明する、適切な言葉が見当たらないよ。子供の頃からこれを夢見ていて、世界的なツーリングカー選手権参戦がキャリア全体を通しての主な目標だったんだからね」と、WTCR初挑戦の喜びを語った2017年のイタリア・チャンピオン。
しかし、そのバルダンは一度もエラントラのステアリングを握った経験がなく、荷造りしてハンガリーに渡航する前に、今週にも地元イタリアで簡単なシェイクダウンを実行する計画だという。
「エラントラN TCRは、僕自身が慣れ親しんでいるi30 N TCRとはかなり異なる感触だと聞いているから、トラックでのわずかなシートタイムを最大限に活用しようと思う」と続けたバルダン。
「WTCRでは、ただの頭数としてそこにいることを望んではいない。ただ同時に、大きな課題に直面するだろうことも理解している。この分野は非常に競争が激しく、簡単でないのは明白だ。10kg分のバラストも持っているし、ハンガロリンクに行ったのはもう10年以上も前だ。それはまた新たな挑戦になるだろうね」
■来季フルタイムのシート獲得に向けた「布石」になることを望むバルダン
イタリア出身のバルダンは、本来ならWTCRの第4戦として予定されていた地元アドリア・インターナショナル・レースウェイでの1戦に参加するつもりだったというが、これが1回限りの「記念」ではなく、来季フルタイムのシート獲得に向けた「布石」になることを望んでいる。
「今のところはその『夢』を楽しんでいるが、同時に2、3回限りのスポットではなく、これが僕のキャリアの新しい道の始まりになることを願っている。現時点でそれは不可能ではないと思うし、すでに来年に向けて取り組みを始めているけれど、まずは焦点を完全にハンガリーのレースに合わせたいと思っている」と意気込むバルダン。
そのために、現地でのチームメイトになるアンドレアスとジェシカの存在が「重要なベンチマークになるだろう」とも語っている。
「彼らは両名ともに明らかな才能を有しているし、彼ら兄妹に対抗することは僕にとっても良い『基準値』になるだろう。とはいえ、エラントラN TCRはまだ新しいし、クルマを理解するためにできる限り彼らに協力し、一緒に前進することを願っている」
そのターゲット・コンペティションでチームマネージャーを務めるアンドレアス・ガマラーは、バルダンの加入がチームパフォーマンスの向上に貢献すると考えている。
「WTCRでもバルダンを迎え、アンドレアス、ジェシカと一緒にレースプログラムを拡大できることをとてもうれしく思う。ハンガリーで3台のエラントラN TCRを走らせるのは大いなる挑戦だが、チームのパフォーマンス改善に確実に役立つだろう」と語ったガマラー。
「我々はニコラがTCRイタリアで活躍するのを見てきたし、彼の可能性を知っている。ニコラにとっては絶好のチャンスであり、WTCRデビューで彼をサポートできることを光栄に思っているよ」
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