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ポルシェ・カイエン・クーペ 島下泰久が試乗 カイエンとの違い、独自の価値は

掲載 更新
ポルシェ・カイエン・クーペ 島下泰久が試乗 カイエンとの違い、独自の価値は

もくじ

ー 「クーペありき」の3代目
ー カイエン・クーペ 違いとは
ー クーペならではの価値あるか
ー ポルシェ・カイエン・クーペのスペック

ポルシェ・カイエン・クーペ すべての画像をみる

「クーペありき」の3代目

ニッチの中のニッチかと思いきや、クーペSUVという形態に想像以上のニーズがあると気づかせたBMW X6のデビューが2008年だと考えれば、ポルシェがカイエンクーペの市場投入を決断するには、ずいぶん時間を要した。

開発陣によれば、計画自体は以前からあったが、モデルライフ途中での追加ではなく最初からそれを前提に開発するべく、3代目のこのタイミングになったという。

よってアイディア自体は目新しいものではない。しかし読みとしては、おそらくカイエンの販売の3割をクーペが占めることになるだろうというから、後追いと言われようと、用意しない手は無かったのだ。

そのクーペフォルムがきれいなまとまりを見せているのは、まさに開発当初からその設定を念頭に置き、しかも全高を下げてリアゲートを寝かせるだけではなく細部まで入念に作り込んでいるからこそだ。

例えば、20mm低いルーフに連なるフロントウインドウは実は1度ほど傾斜が強められている。言われなければ、きっと気づかなかっただろう。

よく見るとリアゲートはそこまで大きく寝かされてはいないのだが、標準でガラスルーフを採用することでルーフのボディ色部分を薄く見せ、しかもルーフ後端に固定式スポイラーを装着することで、いかにもクーペらしく演出しているのは巧みだ。

更に、リアゲート後端に格納式スポイラーを搭載することでデッキ高を下げている。空力上、これ無しだったらデッキ高を上げるか、固定式スポイラーが必要になっていはたずだ。

室内の意匠は基本的に変わらないが、実はこちらもヒップポイントが前席は座面を薄くすることで約1cm、後席はスライド機構を省くことで約3cm下げられている。この後席は2人掛けが標準で、3人掛けは無償オプションとなる。

カイエン・クーペ 違いとは

実は前席ヒップポイントが下がっていると聞いたのは、試乗の最初のスティントが終わった後だった。スペック上は変化は無さそうなのに、何だかスポーティに感じたのは、そのためだったようである。

厳密に言えばフェンダー形状に合わせてリアのトレッドは28mm広くなっており、それに合わせて全車標準装備とされたPASMのチューニング、スタビライザーの径も変更されている。

ボディ剛性には差は無いというが、大きな開口部、リアゲートの複雑なリンク機構、ワイドなスタンスなどのおかげで車重は若干重くなっているという。

今回はベースグレード、S、ターボの3モデルすべてを試すことができた。いずれも走りはカイエンの完成度の高さそのままで、1日中、飽きることなく楽しむことができたが、そこはさすがポルシェで、上のグレードほど、オプションが増すほどに味わいが濃く、深くなるのも事実だ。

最高出力340psのベースグレードだけ乗っている分には十分満足できたのだが、高回転域までスムーズに吹け上がるツインターボエンジンを積むカイエンSに、電子制御式ディファレンシャルのPTVを組み合わせた仕様に乗り換えると、ドライブの実感が一層濃く感じられた。

更に、最高出力550psのターボに、ノーマルより25kg軽いCFRP製ルーフや22インチ鍛造ホイールなどを組み合わせたライトウェイトスポーツパッケージ(LSP)仕様ともなると、全能感とでも呼びたくなる快感が待っている。

遮音材をわずかに省き、排気音を聞かせる設定となっているのも気分を鼓舞するポイントだ。ちなみにLSPは全グレードで選択可能である。

クーペならではの価値あるか

走りも快適性も変わらないし、後席の居住性も元々十分なスペースを持つだけに不満のないレベルにある。荷室容量は減っているが、これはクーペである。この見た目を気に入ったなら、躊躇は不要だろう。

カイエンに対して標準装備が増えているが、その分を差し引いた価格差、要するにカッコ代は、ベースグレードでざっと20万円程度。カイエンも街を行く数が増えたし、ニーズはあるに違いない。

とは言え正直、個人的にはボディ形状の違い以上の、もっとスペシャルなものを期待していたことは否定しない。昨年の年次経営報告会の際にどこかの国の記者からの「ランボルギーニ・ウルスに対抗するアイディアはないのか」という質問に対して、オリバー・ブルーメCEOは「もちろん用意しています」と答えており、きっとカイエン クーペがそれなのだろうと期待していたからだ。

実際のところ、まずカイエンと同様のプラグインハイブリッドモデルが追加されることは明言されているが、話はそれだけには留まらなそうな気配である。

プレス資料の装備表には誤ってか1カ所「ターボもしくはターボS」という記載があった。カイエン同様に追加されるのだろうが、これには期待したい。「ランボルギーニは別カテゴリーなので」なんて言ってるようじゃ、ポルシェじゃないというものだろう。

ポルシェ・カイエン・クーペのスペック

カイエン・クーペ

価格:-
全長×全幅×全高:4931×1983×1676mm
最高速度:243km/h
0-100km/h加速:6.0秒
燃費:10.6-10.8km/ℓ
CO2排出量:215-212g/km
乾燥重量:2030kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:340ps/5300-6400rpm
最大トルク:45.9kg-m/1340-5300rpm
ギアボックス:8速オートマティック

カイエンSクーペ(カイエン・クーペとの差分のみ)

最高速度:263km/h
0-100km/h加速:5.0秒
燃費:10.6-10.9km/ℓ
CO2排出量:216-212g/km
乾燥重量:2050kg
パワートレイン:V型6気筒2894ccターボ
最高出力:440ps/5700-6600rpm
最大トルク:56.1kg-m/1800-5500rpm

カイエン・ターボ・クーペ(カイエン・クーペとの差分のみ)

価格:-
全長×全幅×全高:4939×1989×1653mm
最高速度:286km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:8.8km/ℓ
CO2排出量:258-261g/km
乾燥重量:2200kg
パワートレイン:V型6気筒3996ccターボ
最高出力:550ps/5750-6000rpm
最大トルク:78.5kg-m/2000-4500rpm

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