■欧州では必須装備、日本で寒冷地向けに
クルマのフォグランプ(前部霧灯)は濃霧などの視界不良時において効果を発揮する灯火。自車に近い位置の視界確保と、他車からの視認性向上のために点灯させるものですが、一部ではさらに、リアにフォグランプがついているクルマもあります。
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欧州では、フロントフォグは任意ですが、リアフォグは1970年代からすべての新型車に装備が義務とされています。濃霧などが起こりやすい欧州において、視界不良時に後続車へ自分の存在を知らせるリアフォグは不可欠な装備というわけです。
一方、日本ではそのようなフォグランプの装備義務はありませんが、たとえばマツダでは「ロードスター」を除く「デミオ」から「CX-8」まで、現行ラインアップの乗用車には一部を除き4WD車にリアフォグランプを標準設定。濃霧のほか雪、大雨などにおいて視認性の向上に効果を発揮することから、そうしたシーンでの走行が多い傾向にある4WD車はフロント、リアともにフォグランプを設定しているそうです。ほかのメーカーでも、やはりリアフォグは4WD車や寒冷地仕様の装備として設定されるケースがあります。
とはいえ、フロントのフォグランプも晴天夜間に点灯して走っていると、対向車にとっては「まぶしい」という人もいますが、リアフォグはフロント以上に「まぶしい」「迷惑」といった声が多く見られます。この声は日本に限らず、海外でもあるようで自動車メーカーが啓発動画を公開しているケースもあります。
リアフォグランプは日本の保安基準で後部霧灯とよばれ、道路運送車両法の保安基準では「照射光線は、他の交通を妨げないもの」「光源35W以下、大きさ140平方センチメートル以下」「数は2個以下」「灯火は赤色であること」などが決められています。テールランプの光源が5w以上30w以下で、照明部の大きさが15平方センチメートル以上とされていることを考えると、それよりもはるかに明るい灯火であることがわかります。
取り付け位置については、上縁の高さが地上1000mm以下、下縁の高さが地上250mm以上、ブレーキランプ(制動灯)の照明部から100mm以上離れていること、とされています。リアバンパーの中心あるいは右側にひとつつけられているものもあれば、左右対称で2つついているケースも。車種によっては前車のまぶしいブレーキランプが走行中ずっとつきまとうような状態になることもあり、それを迷惑に感じる人もいるようです。
■リアフォグランプを意図的に点灯させている?
前出のとおり、リアフォグランプは本来、大雨や濃霧といった視界不良時の使用が想定されています。なぜ晴天夜間にも付ける人が少なくないのでしょうか。リアフォグは保安基準で、点灯条件や消し忘れの防止に対して次のように規定されているにもかかわらずです。
まず、リアフォグは前照灯またはフロントフォグ点灯時にのみ点灯でき、かつリアフォグだけ独立して消灯できる構造でなければなりません。そして、前照灯やフロントフォグが消灯している状態で、テールランプが点灯しているときにリアフォグが点灯しないこと、さらにテールランプ消灯後に再び前照灯やフロントフォグを点灯させても、リアフォグはそれに連動して自動点灯しない構造とされています。
また、リアフォグのスイッチをONにしたまま、エンジンを停止した状態で運転席の扉を開けると、アラームが鳴ることも規定されているのです。
たとえば、マツダではハンドルから伸びるランプスイッチの根本側に、フロントおよびリアのフォグランプスイッチが同一軸上に設定されています。OFFからひとコマ回すとフロントフォグが、もうひとコマ回すとリアフォグを点灯しますが、リアフォグの位置に回したあとは、フロントフォグの位置まで自動で戻るようになっています。
フロントフォグはONの位置で固定できるので、(前照灯、スモールランプなどの)ランプスイッチを「オート」にしていれば、暗くなったら自動的にフォグランプも点灯し、ドライバーがそれに気づかないケースもあるでしょう。しかしながらリアフォグは、保安基準に適合しない改造でない限り、ドライバーの意思に応じて点灯する構造になっているのです。
フォグのスイッチを回しすぎたために誤って点灯することも考えられますが、フロント、リアとも、点灯状態はドライバーに表示されます。フロントフォグのインジケーターは、地面を照らすやや下向きの光線が、リアフォグのインジケーターは水平な光線が描かれています。
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