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1955年の見た目+BMWの4発ターボ モーガン・プラスフォーに試乗 届かない部分も魅力の1つ

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1955年の見た目+BMWの4発ターボ モーガン・プラスフォーに試乗 届かない部分も魅力の1つ

見た目は1955年 シャシーは新開発のアルミ製

英国最古の自動車メーカーの1つ、モーガン。イタリアのベンチャーキャピタルによる買収で、数年前に新時代の幕開けを迎えた。BMWエンジンを積んだプラスシックスとプラスフォーが、ブランドを支えている。

【画像】飛ばさなくても「躍動的」なプラスフォー 現行モーガンたち ライバルのケータハムも 全122枚

1936年のモーガン4/4以来、連綿と作られてきたスチール製ラダーフレームを使用しない史上初の4気筒モーガンが、今のプラスフォー。マニュアルを選べるとしても、生粋のファンにとって、伝統的なモーガンだとは思えないのも理解はできる。

それでも、1955年仕様の4/4と容姿はかなり近い。ボディフレームには、従来どおり木材が用いられている。

このプラスフォーは、2024年にアップデートを受けた。見た目的な変化は、新しいヘッドライトの獲得と、フロントスプリッターがマットブラックに塗装されたこと程度。サイドミラーはアルミ製になり、軽量化された。

プラットフォームは変わらず、CXジェネレーションと呼ばれる新開発品で、アルミニウム材を接着したもの。単体での重さは98kgしかなく、ねじり剛性は1mmの変形当たり約4377kgと、高剛性なことが特長となる。

エンジンはBMW B48型ユニットで、Z4や330iなどと共有。最高出力の258psは、5500rpmで発揮する。最大トルクは8速ATで40.7kg-m。6速MTでは35.6kg-mへデチューンされるが、車重は1013kgだからまったく不足ない。

ブレーキは、前後ともベンチレーテッド・ディスク。ステアリングには電動アシストが備わるが、アナログな味わい以上に、北米での嗜好に合わせた判断のようだ。

居心地のいいキャビン 小物入れは不足気味

ボディは、伝統に則りアッシュ材のフレームがベース。ドアやリアのボディパネルも、木材で支えられている。

幅の広いサイドステップをまたぐ必要はあるが、カットダウンされたドアを開いての乗降性は、ケータハムより良好。ドアのラッチ部分が露出しており、ズボンの裾を引っ掛けないよう注意したい。

シートは狭めだが、キャビンは広く心地良い。足元の空間には余裕があり、インテリアの高級感も高い。ダッシュボードには、中央にタコとスピードのメーターが配され、水温と燃料の補機メーターも備わる。少しデザインはモダンすぎるかも。

ドライバーの正面には4インチ・モニターが据えられ、スピードメーターとして機能する。ステアリングコラムは光沢感のある樹脂で覆われ、ちょっと雰囲気を濁す。一部だがワイヤーハーネスも露出しており、価格帯を考えれば不釣り合いだろう。

小物入れは全体的に足りていない。スマートフォンの置き場にも困るほど。グローブボックスが唯一といえ、カップホルダーもない。

カーナビだけでなく、オーディオもオプション。追加料金で、アンプとリア側にスピーカーを組める。ミニピンジャックが用意される他、ブルートゥース接続でスマートフォンの音楽も再生できる。

もっとも、アンプの出力は大きくない。ソフトトップを閉じていても、音楽のディティールを聞き取ることは難しい。ロングドライブには、重宝すると思うが。

一体感の高い操縦性 飛ばさなくても躍動的

4気筒エンジンは、アップデート前から変更なし。若干のブーストラグはあるが、軽快に吹け上がり、中域トルクが太く粘り強い。

パワーウエイトレシオは、238ps/t。0-100km/h加速は5.1秒で、路面と近く開放的なキャビンだから、スピード感は通常の倍。パワフルすぎると感じる人もいそうだ。2016年に計測した、718ケイマン Sに迫る鋭さがある。

クラッチペダルの感触に優れ、乗員がリアアクスル側に座るため、加速時のトラクションは得やすい。シフトレバーは、適度な重さで素早く動かせる。他方、6速MTの長めのギア比と相まって、変速の必要性は低い。もう少しショートでも良さそうだ。

エンジンサウンドは、聴き応えのあるシャープなもの。高負荷時のシューッという響きが気持ちいい。ABS付きのブレーキは強力。フルブレーキの計測では、110km/hから49.5mで止まれた。

操縦性は期待通り、ドライバーとの一体感が高いもの。ステアリングは予想より軽く、レシオがスロー気味でも一貫性は高い。ドライブモードをS+にすると、切り始めの感触が大きく改善する。

飛ばさなくても、ドライバーを刺激するように、プラスフォーは躍動的。サスペンションは柔らかく、加減速時のピッチングは大きめ。ボディロールは抑えられつつ、リアアクスルに荷重を載せやすい。

反面、フロントアクスルの荷重は抜けやすい。速度を保ってコーナリングするには、少しコツが求められる。扁平率60のタイヤは、高精度な操縦性に貢献するわけではなく、横方向のグリップ力も高くはない。

現実的な速度域での充足感 新パッケージ登場

プラスフォーを素早く走らせるには、ドライバーの気遣いが不可欠。郊外の公道では、荷重移動とサスペンションの動きを読みながら、ラインを修正していく必要がある。高速道路では、普段以上の集中力も必要になる。

高速コーナーは、難しくもありエキサイティング。荷重移動を意識し、フロントノーズが外側へ流れる挙動を感じ取り、正確に操縦することで運転の楽しさは大幅に増す。ステアリングの反応は漸進的だから、リカバリーも難しくない。

荒れた路面では、ボディの垂直方向の動きは目立つ。シャシー構造や動的な安定性には、若干の不完全さがある。それでも、現実的な速度域での充足感は際立って深い。

2024年仕様から新設定されたのが、ダイナミックハンドリング・パッケージ。1995ポンド(約38万円)が必要だが、ナイトロン社製ダンパーと別注のスプリング、アンチロールバーが組まれる。

動的な特性に幅が生まれ、攻め込んだ領域では敏捷性も驚くほど高まる。フロントタイヤが粘り強く路面を掴み、予想しやすく、高速コーナーでのフラットさも改善する。

ただし、少し硬すぎるかもしれない。速度抑止用のスピードバンプではシャシーがきしみ、舗装の剥がれた穴では強い衝撃が伝わる。舗装したての路面でない限り、低速走行は避けたくなるほど。

届かない部分もモーガンらしい魅力の1つ

走行中のノイズは、110km/h巡航時で84dBと大きめ。風の巻き込み音も小さくない。長距離ドライブを楽しみたいなら、ハードトップの購入を検討したい。モーガンも、それを推奨している。

燃費は、平均で15.8km/L。定速での巡航時は19.1km/Lまで伸びた。軽い車重が貢献している。

英国価格は、6万2995ポンド(約1197万円)から。試乗車には多数のオプションが載り、7万6795ポンド(約1459万円)へ膨らんでいた。ロータス・エミーラやアルピーヌA110 Rより、明らかにお高い数字だ。数年後の残存価値も高いが。

1000ポンド(約19万円)のウォールナット・ダッシュパネルなどは、筆者は必要性を感じない。2340ポンド(約44万円)のスポーツエグゾーストも、音響的な魅力が大幅に増すわけではないようだ。

新しいプラットフォームを採用し、BMWのターボエンジンを搭載しながら、従来の魅力を維持するプラスフォー。巧みに近代化されたモーガンといえ、爽快で楽しいスポーツカーに仕上がっている。

確かに、最新作として期待する動的能力には届いていないかもしれない。本質を犠牲にしないまま、より洗練された走りを得られたように思う。クルージング時の安楽さは広く歓迎されるはずだし、カーナビも欲しい。

荷室には、数泊分の荷物を積みたい。エアコンの送風口も、ベストな位置がある。だとしても、そんな届かない部分もモーガンらしい魅力の1つだ。約1tの車重の理由でもある。

◯:時代を超越した見事なスタイリング 簡単に引き出せる高い動力性能 充足感の高いマニュアル・トランスミッション
△:極端に小さい荷室 遮音性の低さ 操縦性と乗り心地の洗練度 未完成な部分がチラホラ

モーガン・プラスフォー(英国仕様)のスペック

英国価格:7万6795ポンド(約1459万円)
全長:4010mm
全幅:1720mm
全高:1220mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.1秒
燃費:13.7km/L
CO2排出量:165g/km
車両重量:1013kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:258ps/5500rpm
最大トルク:35.6kg-m/1450-5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)

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