インターネットで買えないもの
この記事を読んでいる人たちは、ネットショッピングやデリバリー(配達)サービスを利用したことがあるだろうか。
今や、インターネット上でポチっとクリックするだけで、24時間なんだって購入できる時代だ。筆者(黒田莉々、フリーライター)も頻繁にネットショッピングを利用する。食品や生活雑貨から書籍、 PC関連機器、DIYやガーデニング用品まで、さまざまなものをインターネットで買う。
数日か早ければその日のうちに商品が玄関先にデリバリーされる。送料がかかるので、割高に感じる人もいるかもしれないが、買い物へ行く時間や交通費を考えればむしろ安い。
飲食店のメニューをネット購入してデリバリーしてもらうサービスも、ここ数年で一般的になっている。アプリで注文すれば自宅に食べたいものが食べたい時間にデリバリーされる。インターネットを利用したショッピングやデリバリーは、もはや忙しい現代人には欠かせない便利なサービスだ。
「なんだってネット購入できる」といったが、ごく身近な生活必需品で、どうしてもネット購入できないものがある。
「ガソリン」
である。灯油ならネット購入できるが、ガソリンだけは無理だ。車へのガソリンの給油は、ストーブへ灯油を入れるようなわけにはいかない。安全性を考えても、車に乗ってガソリンスタンドへ出向く必要がある。安全で便利なガソリンのデリバリーは夢のまた夢なのだろうか。そう思って調べてみた。すると、あった。
が、しかし、料金の欄に「$」の文字が目に入る。そう、米国での話だ。
米国で急成長、ガソリンデリバリーの革新
車大国の米国では、もう10年近く前からガソリンのデリバリーサービスが始まっていた。「Booster」や「Yoshi」(日本風の社名だが日系ではない)といった企業が、2015年からサンフランシスコなどでサービスを開始している。
開始当初は、ピックアップトラックの荷台にタンクを積んで、地道なデリバリーを行っていたようだが、その後スマホアプリなどの利用で業績を伸ばしている。
利用者がアプリで注文すると、指定した日時に指定した場所までガソリンを届けて給油してくれるサービスで、特に大都市圏で人気を集めている。もちろん合衆国運輸省の安全基準を満たしているサービスだ。
COVID-19(新型コロナウイルスの流行)の影響で、非接触型のサービスの需要が増えたことも手伝って、この新しいサービスモデルは急速に拡大している。特に、
「交通渋滞が多い都市」
では、ガソリンスタンドに行く時間を節約できるという大きなメリットがあり、ユーザーにとって利便性の高いサービスだ。
デリバリーでの給油サービスに加え、Yoshiは、
・車
・ワイパーゴムの交換
・タイヤの点検
など、およそガソリンスタンドで受けられるメンテナンスサービスのほとんどを、デリバリーで対応してくれるという。
米国のガソリンデリバリーサービスは、安全性と利便性を兼ね備えたサービスとして、今後もさらなる成長が見込まれている。また、個人向けのみならず、企業向けのフリート管理においても、ビジネス展開をしている。輸送系の会社やレンタカー会社などモビリティ関連の企業相手で、多くの車両を管理運用する企業にとっても、車両が一括して給油されるため、業務の効率化が図れると好評だ。
サービスの仕組み
では、ガソリンのデリバリーサービスとは、具体的にどのような仕組みなのだろうか。各社さまざまなシステムで多少の違いはあるが、おおむね以下のようにシンプルな仕組みだ。
ます、ユーザーはスマホアプリをダウンロードし、アカウントを作成する。
・車両の情報
・駐車場所などの情報
・クレジットカードなどの支払い方法
を登録する。そして、
・給油サービスを受けたい日時
・給油する燃料の種類や量
を選択し、注文を確定する。すると、指定した日時に給油のデリバリートラックが、衛星利用測位システム(GPS)を使って指定された場所に給油をしに来てくれるというものだ。トラックには専門の給油オペレーターが乗っており、安全かつ迅速に給油を行ってくれる。
支払いは、クレジットカードやデビットカードなど登録した方法を使ってアプリ内で完了する。ユーザーはリアルタイムで給油の状況を確認でき、過去の注文履歴や支払い履歴もアプリ内で管理できるようになっている。それぞれの企業が独自アプリを開発しており、会員特典や独自のサービスなども充実している。
自宅や職場で、仕事をしているあいだに、給油が終わっていることになり、ユーザーはガソリンスタンドに行く手間と時間を有効に活用できるというわけだ。
日本での展開の可能性
いいことづくめのようなガソリンのデリバリーサービスだが、日本国内で普及する可能性はあるだろうか。日本でガソリンデリバリーサービスを展開するには、クリアすべき課題がある。まず、
「法規制」
の問題だ。米国の現行サービスも、もちろん合衆国運輸省の安全基準を満たしている。しかし、日本では、危険物の取り扱いや運搬に関する規制が非常に厳しく、移動式ガソリン供給サービスの導入には多くのハードルがある。また、現状として、地域格差はあれど、日本が
「米国ほどの車社会ではない」
という点で、米国と同様の需要があるとは考えにくい。それに、米国ほど広い国土を持たない日本国内では、ガソリンスタンドが比較的近距離に広範囲で点在しているため、ユーザーがガソリンスタンドに行くことを手間と考えることが比較的少ないという現状もある。
しかし一方で、多忙な現代人のライフスタイルにマッチするサービスであることは確かだ。また、都市部における渋滞問題などを考えると、ガソリンデリバリーサービスの需要が潜在的に存在することも否定できない。さらに、特にモビリティ関連企業向けのサービスとして、フリート管理の効率化を図るためのソリューションとしても導入が期待される可能性もある。
広大な車社会である米国では、ガソリンのデリバリーサービスは今後も発展すると見込まれている。非接触型サービスの需要は今後も続くと考えられるし、また環境意識の高まりに応じ、
・低排出ガス車両
・電動トラック
を使用したデリバリーが進むことも予想される。人工知能(AI)や機械学習の活用による最適ルートの計画も進み、再生可能エネルギーとの連携により持続可能なサービスモデルが構築されることも大いに期待できる。
「Yoshi」は2024年に入って、レンタカー会社や自動車のサブスクリプション会社など、電気自動車を扱う企業を顧客として、
「充電」
をデリバリーするサービスを始めている。環境問題やサステナビリティが叫ばれる昨今、こういった取り組みも注目を集めているのだ。米国のガソリンデリバリーサービスは、消費者の利便性を大幅に向上させるとともに、企業の効率化を促進する重要なサービスといえる。
日本で普及させるためには、何より法規制をクリアすることが不可欠な課題だろう。規制の緩和を促すとともに、インフラ整備も必要となるが、将来的には都市部や企業向けに一定の需要が見込まれる可能性は大いにある。米国での成功事例を参考に、日本でも新たなサービスが登場する日が来ることを期待したい。
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