プレミアムブランドとして強い独自性
text: Alan Taylor-Jones(アラン・テイラー-ジョーンズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
メルセデス・ベンツCLAのシューティング・ブレークは、かなり個性的なモデルだ。Aクラスのステーションワゴン的な存在でありつつ、大きくカーブを描くテール部分は、実用性よりスタイル優先。
この手法を用いて、キアはコンパクトモデルのプロシードへシューティング・ブレークを設定したが、価格で近似するライバルは不在。クラスきってのプレミアムブランドとして、CLAのシューティング・ブレークは、強い独自性を放っている。
英国編集部では、すでにメルセデスAMG 35のシューティング・ブレークを試乗している。今回乗るのは、通常のメルセデス・ベンツCLA 220dの方だ。
搭載するエンジンは2.0Lの4気筒ターボディーゼルで、最高出力は189ps。今のところ、英国で提供されるのは前輪駆動のみとなる。四輪駆動の間違いないトラクションが欲しいなら、AMGブランドから選択するしかない。
この220dが搭載する2.0Lディーゼルは、極めて洗練された完成度を得ている。先代が搭載していた、ガラガラとうるさかった2.1Lユニットとはまったくの別物だ。
ディーゼルエンジンらしい燃焼音は見事に隠され、低速域でも感心するほど静か。回転数が増えても、メカっぽいノイズは一切聞こえてこない。
CLA 220dの0-100km/h加速時間は7.2秒と、エンジンは充分に力強い。それ以上に好印象なのが、低回転域での柔軟性。極めて安楽に、長距離移動もこなせるはず。
活発なだけでなく、燃費も良好。アクセルペダルを慎重に操作すれば、長距離クルージング時には17.7km/Lという数字が表示されていた。
荒れた一般道で気になる乗り心地
燃費を支える1つが、標準設定の8速デュアルクラッチAT。滑らかに変速を済ませ、太いトルクを活かしながら、走行時のエンジン回転数を低く保ってくれる。
リアの長いシューティング・ブレークだが、走行時の振る舞いは、4ドアクーペのようにまとまりが良い。適度なグリップ力と、不足ない俊敏性を併せ持っている。
運転は楽しいというより、上質といった印象が勝る。ステアリングホイールに伝わる感覚は薄く、一定を超えると姿勢制御には緩さが出てくる。利便性に優れるワゴンボディはないが、BMW 2シリーズ・グランクーペの方がドライビングは楽しめる。
高速道路の走行車線を落ち着いて走らせている限り、乗り心地は快適。路面の荒れる郊外へ足を進めると、減衰力が足りず弾むような場面が出てくる。メルセデス・ベンツとしては驚くほど、頭が揺さぶられることも。
Mスポーツ仕様の2シリーズ・グランクーペの方が、間違いなく足腰は硬い。しかし、ツギハギが長く続くような区間での乗り心地の制御は、はるかに巧みだ。
車内は、フロントシート周りは通常のCLAと変わらない。頭上にも足元にも、充分な空間がある。ベースグレードでも、10.3インチのインフォテインメント用タッチモニターがダッシュボードに収まる。
インフォテインメント・システムは、ステアリングホイールのスポークやセンターコンソールに用意されたタッチパッドからも操作が可能。慣れれば、驚くほど多くの機能をステアリングホイールの上で操作できる。使いやすさは、BMW製のiドライブの方が勝るだろう。
スタイルを選ぶか、実用性や走りを選ぶか
インテリアの雰囲気は見た目にも豪華で、素材も上級。ただし、場所によっては安っぽさを感じる部分もある。
リアシートは、頭上の空間は通常のCLAより広いものの、足元は同等。広々とはいいにくい。しかし身長の高い大人が乗っても、4ドアクーペのように頭が天井に触れることはないだろう。
荷室空間はCLAよりかなり広い。505Lもあり、実は格上のCクラス・エステートより容量は大きい。ただし、下部の幅が絞られたテールゲートは、開口部の位置も高く、大きな荷物を積む作業は楽ではない。
メルセデス・ベンツCLAシューティング・ブレークの価格は、4ドアクーペより1000ポンド(13万円)ほど高い。スタイリングの魅力は良く理解できるが、もう少し実用性を高めても良いと思う。
搭載する2.0Lディーゼルエンジンの上質さは素晴らしい。反面、そのほかの新世代CLAと同じように減衰力は足りず、運転も楽しさに溢れるわけではない。
筆者は、BMW 3シリーズ・ツーリングに気が向いてしまう。ドライビングは楽しいし、実用性でも優れているのだから。でも見た目は、CLAシューティング・ブレークほど魅惑的ではないけれど。
メルセデス・ベンツCLA 220dシューティング・ブレーク(英国仕様)のスペック
価格:3万6525ポンド(482万円)
全長:4688mm
全幅:1830mm
全高:1442mm
最高速度:236km/h
0-100km/h加速:7.2秒
燃費:20.0km/L
CO2排出量:132g/km
乾燥重量:1570kg
パワートレイン:直列4気筒1950ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:189ps/3800rpm
最大トルク:40.7kg-m/1600-2600rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
ベンツらしい高級感とワゴン造りのノウハウを求めるならCクラスがいい。Eクラスまで手が届くならもちろんEクラスワゴンが最良。
なんか霊柩車みたい