今や激レアないすゞの中型乗用車、フローリアン
2024年に7月28日(日)に石川県小松市の日本自動車博物館で開催された金沢クラシックカーミーティングの会場で気になる車両をチェック。今回は、いすゞ「117クーペ」とコンポーネンツを共用する中型乗用車、「フローリアン」、それも希少な中期型のオーナーを紹介します。
不動車だったトヨタ5代目「コロナ」を1年かけて路上復帰! ボディは塗り替えなし、内装もオリジナルという奇跡の個体でした
あまり見かけないフローリアンの中期モデル最上級グレード
金沢クラシックカーミーティングの会場を歩いていて珍しいクルマを発見した。今は乗用車製造から撤退してしまったいすゞがかつて製造していたミドルサイズの乗用車、「フローリアン」だ。オーナーの宮永さんに話を伺うと、今から7年ほど前に入手した1972年式の1800TSで、その後レストア作業に2年ほど費やし、5年ほど前に念願の路上復帰を果たしたそうだ。
外装は全くそうは見えないが、宮永さんが缶スプレーでDIYペイントしたそう。一方、内装はオリジナルのままだそうで、非常に綺麗な状態をキープしている。ちなみに1800TSはツインキャブの1.8Lを搭載したトップグレードで、フロントグリルやCピラー部分、左側テールランプ下などに赤いTSバッジが備わるのが特徴だ。
あまり知られていない117クーペのセダン版兄弟車
いすゞ フローリアンは、117クーペとコンポーネンツを共用する兄弟車で、1967年に登場する。ちなみに「117」は両車共通の開発コードで、フローリアンは117サルーン、そしてそのクーペ版として117クーペがそのまま車名になったという歴史がある。じつは117クーペに隠れてしまいあまり知られていないが、フローリアンのボディデザインもカロッツェリア・ギアが担当。6ライトウインドウの4ドアセダンは、当時としても秀逸なデザインだった。
フロントマスクは、当初は横長の異形ヘッドライトだったが、中期型では丸目4灯に、そして後期型になると角目4灯と、大きく3回変化を遂げる。今回紹介する1972年式はちょうど中間の丸目4灯の時期にあたる。
ちなみに丸目4灯のフロントセクションはピックアップトラックの「ファスター」やその4WD版「ファスターロデオ4WD」がデビュー当時に共用してしており、同じくGMにOEM供給されていた「LUV(ラブ)」も全く同じ顔をしている。
アイデアと工夫で吊り下げクーラーでも快適
じつは宮永さんは117クーペも所有しているそうで、足まわりやエンジンなどの消耗パーツは共通する部分が多いため、将来必要になるであろう消耗パーツなどは集めているそう。ボディパーツに関しては現在欠品がないためとりあえずは安心。最近はイベントやクラブのミーティング程度しか乗っていないそうだが、「ベレット」と同じ1800cc SOHCのエンジンは調子もかなり良いそうだ。
車内を見てみると、左右に楕円が並んだ独特のダッシュが目に入る。じつはこれもファスターと共通のデザインとなる。助手席足元にはクーラーのエバポレーターが吊り下げられているが、吹き出し口に見慣れないものを発見。
「じつはこれペットボトルをカットして作ったもので、助手席の人に直接風が当たらず、運転席の自分にもちゃんと風が来る優れものなんです!」
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
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