F1で最も若いチームであるハースが、通算参戦数で歴代トップ20入りを果たそうとしている。
2016年からF1への参戦を開始したハースF1チームは、モナコGPで通算150戦目を迎えた。選手権発足時から参戦するフェラーリの1060戦には遠く及ばないものの、このままいけば2025年にはマーチとBRMの197戦に並ぶこととなる。
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160を超えるチーム(コンストラクターもしくはチーム名称)がこれまでF1に参戦してきたことを考えると、ハースが150戦目を迎えながらも未だに最も新しいチームであることは、グランプリレースを生き残るために新規チームが直面する困難と、ハースの回復力の両方を物語っている。
そしてチーム所有者や名称が変わるのではなく、ゼロからスタートしたF1チームの前例となると、かなり昔まで遡る必要がある。
レッドブルは1997年から参戦したスチュワートが礎となっている。1993年からF1のグリッドに並ぶザウバーは現在アルファロメオの名前でグランプリを戦っている。F1の公式的には最も新しいチームであるアストンマーチンでさえ、チーム自体の系譜は1991年に誕生したジョーダンGPにまで遡る。
ロータス/ケータハム、ヴァージン/マルシャ、HRT、トヨタ、スーパーアグリ、フォルティ、シムテック、パシフィックなど、ここ数十年の間に多くの新チームが消えていったことを考えれば、ハースの持続力は大きな成功と言える。
■献身的なオーナーとそれをつなぎとめたチーム代表
実質的なチーム創設者であり、立ち上げ当初からチーム代表を務めてきたギュンター・シュタイナーは、他の新チームが長続きしなかった中でハースが生き残ることができたのは、様々な理由があると考えている。
ハースにとって鍵となったのは、山あり谷ありのチーム財政を支えてきたチームオーナーのジーン・ハースの存在だ。
「ほとんどが他でもないジーンのおかげだと思う」
シュタイナーはそう語る。
「彼はそれ(F1プロジェクト)を信じてくれたし、チームとして悪い仕事はしなかった」
「もちろん、初戦でポイントを獲得できたことは助けになったし、このパドックでの評価を得ることにも繋がった」
しかし、シュタイナー自身が果たした役割も過小評価されるべきではない。なぜなら、彼はジーン・ハースのチームへの信頼を維持し続けたからだ。そこには、失望して撤退に踏み切られるような偽りの約束や見栄を張ることがなかったことが関係している。
「私はモータースポーツ界に十分長くいると思う」とシュタイナーは言う。
「私がジーンのところに行って『ああ、3年後にはワールドチャンピオンになれるよ』と言っても、それは現実的な話じゃない」
「もし非現実的な期待を抱かせれば失望させる。そして間違いなく彼はチームを引き上げるか、少なくとも私をクビにする!」
「私は常に現実的で『もし私の言うことが気に入らないなら、構わず言ってくれ。常に最善の予想を出すつもりだ』と言う」
■生き残りをかけた戦い
とは言え、ハースが歩んできた道のりが全て平坦だった訳ではない。
チームのタイトルスポンサーだったリッチエナジーやウラルカリとの問題、そしてニキータ・マゼピンとミック・シューマッハーのルーキーふたりを迎えた2021年シーズンなど、ハースは様々な苦難に耐えてきた。
エンジニアリングディレクターの小松礼雄が最近、この時期のことを「生き残ることに集中していた」と振り返ったのも不思議ではない。シュタイナーも、当時の状況は決して良いものではなかったと言う。
「とても厳しかった。しかし、一番簡単なのは諦めることだ」とシュタイナーは語る。
「私は簡単に済むことは好きじゃない。多くの人がここ(F1)に到達するため懸命に働いてくれたのだから、我々の行く手に壁が立ちはだかっていたとしても、解決策を探ろうとしてきた」
「ジーンはとても明確だった。彼は私に続けて欲しいことを伝えてきた。そうでなければ続けなかった。少なくとも自分の期待、彼の期待に報いることが私の義務だった。しかし、私ひとりでそれを成し遂げた訳ではなく、私の回りには良い人が沢山いて、その人たちに助けられて我々は生き延びることができた」
とは言え、ハースのV字回復ぶりには目を見張るモノがある。競争力の向上でチームが中団争いに再浮上しただけではなく、財務状況も完全に変化した。
新たにマネーグラムをタイトルスポンサーに迎え、チポトレやMGMリゾーツといった一流の支援者も加わった。
なぜハースはチームを軌道に乗せることができたのか、と尋ねられたシュタイナーは、チームの個性が重要だったとの考えを語った。
「多くの人は負け犬が好きだと思う」とシュタイナーは言う。
「パートナーに対しても、ビッグチーム以上のモノを返すことができると思う。みんなもそれを知っている」
「我々は生活費を稼ぐためだけじゃなく、本当にこのスポーツを愛している。多くの人がそれを評価し、我々の情熱を理解してくれていると思う」
■F1の拡大とNetflix
F1自体の運営も含め、ハースの復活劇はF1を取り巻く環境にも助けられている。
アメリカのリバティメディアがF1を買収したことで、新たに若いファン層の取り込みを積極的に行ない、FOMとFIAが各チームの年間支出に制限を設けたことで、F1は大きく変わったのだ。
「予算制限による財政規定がなければ、我々はもうここにいないだろう。でなければ我々がここにいる理由はないからね」とシュタイナーは言う。
「しかし、それは我々だけでなく、他のチームも同じだろう。これは私の意見だし、もちろん確証はないけどね」
「なぜ現在、チームにこれほどの価値があると思う? それはどれくらい支出があるか分かっているからだ。以前はF1チームを買収しても、2億ドルや10億ドルを費やすことになるかどうかは分からなかった。しかし今なら分かる」
「また、新しいコンコルド協定によって賞金が再分配された。小規模チームにとってはかなり良いことだ」
「それから、アメリカは明らかに助けになる。アメリカ人たちがF1に興味を持っても、上手く伝えられなかった。今はリバティメディアがオーナーになって、F1に彼らを引き込んでいる。現在はかなり成功しているし、我々はハードワークを続けてこの成功を継続させなければならない」
また、シュタイナーがNetflixのF1ドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』に出演したことで、ちょっとしたカルト的人気を得たことは確かだ。スポンサー獲得交渉の際にも、シリーズのスターが対座していれば少しは楽に物事が運ぶかもしれない……。
「認知度を高めるのに役立つと思う」とシュタイナーは微笑む。
「自分のことを話すのは難しいけど、このDrive to Surviveは以前よりも多くの人にF1を伝えている。不運なことに、あの一件で私は一役買ったのは明らかだけど、恥ずかしいとは思っていないよ!」
「このスポーツの助けになったのだから、恥ずかしいとは思っていない。多くの人が僕たちをチームとして知ってくれるようになったから、ハースにとっても役立ったはずだ」
「もちろん、多くの人が私の人柄に目を向けている。チームが他のチームよりも少し感情的に動いていることが分かるから、全体として助けになっていると思う」
■F1に定着。伸びしろは未知数
ハースはこれまで山あり谷ありのシーズンを経て、現在は群雄割拠の中団グループを戦っている。シュタイナーとジーン・ハースが望むのはさらなる成功だが、F1における長期的な戦いの中で未来を狂わせかねないリスクが存在する。
「チームとしては良い位置にいると思う」とシュタイナーは言う。
「中期的なパートナーだけでなく、長期的なパートナーも沢山いる」
「唯一の懸念は、グリッド全体が常に抜け穴を探して予算制限から逃れようとしていることだ。そうなると古き良き時代に逆戻り……突然、このスポーツが10年前のようになって、余裕のなくなったチームが倒産するような状況に戻ってしまう。それだけが心配なんだ」
潜在的なリスクに対しては慎重さを崩さないシュタイナーだが、最も若いチームであるハースには、追いつくための最大の伸びしろがあると考えている。
「我々は若いとは思っていない。ここできちんと定着できていると思う」とシュタイナーは言う。
「今になってみんな、我々がここに留まっていることに気がついたと思う。参戦初年度は『他の新しいチームと同じように、君たちも消えるだろう』と常に言われていた」
「我々が新参者だと思われている感じはしない。ただ我々は一番若いチームで、遅れているからこそ、他よりも成長する可能性がある」
「特に予算上限があると、長く参戦しているほど改善していくことが困難になる。我々はまだ成長することができる。でもハードワークが必要だ!」
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