現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 柔らかければ乗り心地がいい……とは限らない! 固いからって安定するともいい切れない! クルマのサスペンションはあまりに奥深い世界だった

ここから本文です

柔らかければ乗り心地がいい……とは限らない! 固いからって安定するともいい切れない! クルマのサスペンションはあまりに奥深い世界だった

掲載 46
柔らかければ乗り心地がいい……とは限らない! 固いからって安定するともいい切れない! クルマのサスペンションはあまりに奥深い世界だった

 この記事をまとめると

◾️サスペンションの固さは乗り心地を大きく左右している

【実用車なのにナゼ羽根がついてる?】スポーツカーじゃなくても空力パーツが装着される理由

◾️サスペンションは柔らかければ柔かいほどいいというわけではない

◾️乗り心地と操縦性のバランスをとらねばならず、サスペンションの設定は非常に奥深い

 サスペンションが固いってなに?

 いつもと違うクルマに乗ったとき、誰もが知らず知らずに比較している性能がある。それは乗り心地のよし悪しだ。この乗り心地を大きく左右しているのがサスペンションの固さ。

 サスペンションは路面の凸凹の影響を和らげるショック吸収装置の役割と、タイヤを路面に対して常に垂直を保つようにする、ふたつの大きな役割が与えられている。

 このふたつの機能を考えると、仮にどこまでも真っ平らな路面が続くとすれば、クルマにサスペンションは必要ない。しかし、現実の路面には大小さまざまな凸凹やうねりがあり、絶えずショックを受け続けているので、サスペンションの役割はかなり重要。

 そのショック吸収装置としてのサスペンションの主な要素は、スプリングとダンパーだ。基本的にショックを吸収するのはスプリングの仕事。でもスプリングだけだと、入力があったときにいつまでも伸び縮みを続けてしまうので、その振動や揺れを止めるためにダンパーと組み合わせて構成されている。

 そしてサスペンションの固さとは、このスプリングのバネレートとダンパーの減衰力のことをいう。

 たとえば、バネレートの低い(柔らかい)スプリングと減衰力の弱いダンパーを組み合わせれば、乗り心地はフワフワになるし、バネレートが高く、減衰力も強ければ、ガチガチのサスペンションになる。

 だったら、バネレートも減衰力もソフトにすれば、乗り心地がよくなってベストじゃないか、と思うかもしれないが、ハナシはそんなに簡単ではない。

 まず、スプリングは車体の重さを支えるものなので、車重が重いクルマは、スプリングレートも高くしなければならない。また、サスペンションのストロークには限りがあるので、スプリングを柔らかくした結果、サスが底突きするようになると、ショックがダイレクトに車体に伝わり、サスペンションの意味がなくなってしまう……。

 さらに、バネレートが弱いとピッチングやローリング、バウンシングが大きくなって、クルマの姿勢が乱れやすくなってしまい、速度域が高くなるとフラフラ、ゆらゆらして不安定この上ないし、減衰力が弱いのも、フワフワ感が収まらず、かえってクルマに酔いそうになることもある。

 サスペンションに必要なもうひとつの要素「操縦性」

 一方、レーシングカーやスポーツカーでは、車体の揺れ(ロール、ピッチング)を抑え、接地性変化を最小にし、荷重移動のタイミングを最適化するために、スプリングもダンパーもハードに設定する傾向がある。

 しかし、サスペンションが固すぎると、路面の凹凸でタイヤが跳ねて、かえって接地性が悪くなり、グリップの限界が低くなるので、固ければいいというものではない。

 つまり、ベストなサスペンションの固さとは、ガチガチとフワフワの間のどこかということになる。しかもサスペンションの固さとは、絶対的なものではなく、主観的で相対的なものなので厄介だ。

 たとえば、普段タクシーのようなフワフワ(ヘロヘロ)したサスペンションのクルマに乗り慣れている人が、たまにスポーツカーに乗れば、「なんて固いサスペンションなんだ」と思うだろうし、ナンバー付きの競技車両(例ジムカーナ車両)に乗っている人は、ラグジュアリーセダンのサスでも柔らかすぎて、頼りなく思えるはず。

 バネレートにしても、何kgf/mm(N/mm)以上は固く、それ以下なら柔らかいといえるものではなく、車重やクルマの目的、重視する速度域でベストな値は変わるので、各自動車メーカーは苦労して最大公約数を見つけて製品化しているというわけだ。

 というわけで、違うクルマが2台あれば、どちらかのクルマはサスペンションが固く、もう片方はサスペンションが柔らかいと感じるはずだが、どちらが好みかはその人次第。

 より自分の好みを追求するなら、社外品のサスペンションキットに交換して、納得できるサスペンションに仕上げるしかないわけだが、数あるアフターパーツの車高調から、ベストマッチする固さのサスを選ぶのもなかなか骨が折れるもの。

 でもそれだけサスペンションのセッティングは奥深いということも覚えておこう

こんな記事も読まれています

よく見るコイルスプリングだけじゃない! 板バネに空気バネなどクルマのサスペンションの「バネ」の種類と特徴
よく見るコイルスプリングだけじゃない! 板バネに空気バネなどクルマのサスペンションの「バネ」の種類と特徴
WEB CARTOP
【試乗】ニュルで仕込んだスポーツタイヤ! グッドイヤーの新モデル「イーグルF1アシンメトリック6」の実力を徹底チェック
【試乗】ニュルで仕込んだスポーツタイヤ! グッドイヤーの新モデル「イーグルF1アシンメトリック6」の実力を徹底チェック
WEB CARTOP
スポーツカーのブレーキにはウチのクルマにはない謎の溝が見えるけど何? 意外と知らない「溝」がもつ2つの効果と1つのデメリット
スポーツカーのブレーキにはウチのクルマにはない謎の溝が見えるけど何? 意外と知らない「溝」がもつ2つの効果と1つのデメリット
WEB CARTOP
悪路なんて走らないしアウトドア趣味もない! それでも人気のSUVでしか得られないメリットを探したらけっこうあった!!
悪路なんて走らないしアウトドア趣味もない! それでも人気のSUVでしか得られないメリットを探したらけっこうあった!!
WEB CARTOP
洗練された大人のスポーツフィーリングを堪能!グッドイヤーの新作「イーグルF1 アシンメトリック6」を初テスト【新着タイヤ試乗
洗練された大人のスポーツフィーリングを堪能!グッドイヤーの新作「イーグルF1 アシンメトリック6」を初テスト【新着タイヤ試乗
Webモーターマガジン
【試乗】曲がりがいい! 加速が素直! 走りの上質さがアップ! 新型フリードを現行モデルと走り比べ
【試乗】曲がりがいい! 加速が素直! 走りの上質さがアップ! 新型フリードを現行モデルと走り比べ
WEB CARTOP
旧車の維持費は思ったほどじゃなかった! それより大変なのは……旧車オーナーが実体験を語る
旧車の維持費は思ったほどじゃなかった! それより大変なのは……旧車オーナーが実体験を語る
WEB CARTOP
TOYO TIRESの最新「PROXES Sport2」をチューニングのスペシャリストがサーキットで試す!「語りかけてくれるタイヤですね」
TOYO TIRESの最新「PROXES Sport2」をチューニングのスペシャリストがサーキットで試す!「語りかけてくれるタイヤですね」
Auto Messe Web
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
ベストカーWeb
チェーンからベルトになり再びチェーンが主流に! クルマのエンジンに使われる「タイミングベルト&チェーン」とは
チェーンからベルトになり再びチェーンが主流に! クルマのエンジンに使われる「タイミングベルト&チェーン」とは
WEB CARTOP
マイナーチェンジされた新型ヴェゼルをリアルワールドで試乗、クラストップレベルの走りを実感
マイナーチェンジされた新型ヴェゼルをリアルワールドで試乗、クラストップレベルの走りを実感
月刊自家用車WEB
軽には軽の流儀がある! 「軽デコトラ」をイケてる名車にするための三大奥義
軽には軽の流儀がある! 「軽デコトラ」をイケてる名車にするための三大奥義
WEB CARTOP
新型フリードに乗ったらシートもラゲッジも格段に進化! 価値は室内空間にアリ!!
新型フリードに乗ったらシートもラゲッジも格段に進化! 価値は室内空間にアリ!!
WEB CARTOP
【欧州で先行試乗】たゆまぬ進化がもたらす未来への予感 マクラーレン アルトゥーラ・スパイダー
【欧州で先行試乗】たゆまぬ進化がもたらす未来への予感 マクラーレン アルトゥーラ・スパイダー
AUTOCAR JAPAN
小さな高級車[LBX]はさすがの仕立て!! 価格は460万円~と高価格帯も[3気筒]はちょっと気になる!?
小さな高級車[LBX]はさすがの仕立て!! 価格は460万円~と高価格帯も[3気筒]はちょっと気になる!?
ベストカーWeb
奇抜デザインなのに最高の乗り心地!? ハイドロサス搭載[シトロエンC6]は専門店で狙え!!
奇抜デザインなのに最高の乗り心地!? ハイドロサス搭載[シトロエンC6]は専門店で狙え!!
ベストカーWeb
想像以上に走り自慢のモデルに進化、最新「e:HEV」ハイブリッドの搭載は大正解! 新型フリード先取り試乗インプレ
想像以上に走り自慢のモデルに進化、最新「e:HEV」ハイブリッドの搭載は大正解! 新型フリード先取り試乗インプレ
月刊自家用車WEB
ハンドリング 乗り心地 ダウンサイジング 過給エンジン……日本車が越えられないと言われ続けてきた「壁」
ハンドリング 乗り心地 ダウンサイジング 過給エンジン……日本車が越えられないと言われ続けてきた「壁」
ベストカーWeb

みんなのコメント

46件
  • わんこ
    乗る側としては硬すぎず柔らかすぎずが良いのだろうけど運転する側としては気持ち硬めの方スポーティ感が味わえるので好き、でも柔らかめの足もロールを感じやすかったり荷重移動しやすくていいのかもね。
    あと足は固くすると他の部分に負荷がかかるので車を長く使うとか公道メインで使うならやっぱりノーマルが一番。
  • ***********
    以前乗ってたCIVIC TypeR(FD2)。
    ドライバーはいいとして、
    助手席、後部座席に乗る人のほとんどが
    「この車凄い跳ねるっ!」
    とか
    「びょんびょんするっ!」
    ってわざわざ言うほどに固かったw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村