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GTワールドチャレンジ・アジアがタイで開幕。豪雨や接触多発の乱戦を2台のメルセデスが制す

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GTワールドチャレンジ・アジアがタイで開幕。豪雨や接触多発の乱戦を2台のメルセデスが制す

 5月13~14日、ファナテックGTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイ・AWSの2023年第1ラウンドがタイ・ブリラムのチャン・インターナショナル・サーキットで行われ、土曜日のレース1ではトリプルエイトJMR88号車メルセデスAMG GT3 EvoのH.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/ルカ・ストルツ組が、日曜日のレース2ではクラフト・バンブー・レーシング37号車メルセデスのアンソニー・ルウ/ファビアン・シラー組が優勝を飾った。

 2022年からシリーズの大部分を日本のサーキットで開催、日本戦に『ジャパン・カップ』のタイトルをかけたことなどで参戦台数を大きく伸ばしたGTWCアジア。2023年のカレンダーでは、全6ラウンド中4ラウンドが日本で開催されることとなっている。

2023年のGTワールドチャレンジ・アジアに大量エントリー。13メーカー43台が暫定リストに名を刻む

 開幕前にシリーズが発表した暫定エントリーリストには、43台ものマシンが名を連ねた。GT3の参戦マニュファクチャラーは12社と、SROが束ねるヨーロッパ、アジア、オーストラリアのGTWC各シリーズなどと比べても最大数となるなど、その勢いは今季も拡大していく傾向だ。

■ハーフウエットでストルツが好走

 タイでの2023年開幕戦には、GT3カテゴリー(プロ/アマ、アマ、シルバーの3クラス)に24台、GT4カテゴリー(シルバー/アマ)に1台の計25台がエントリーした。レースフォーマットは昨年と同様に1レース60分、25分経過時点から10分間ピットがオープンとなり、定められた最低ピットストップタイムのなかでドライバー交代を行う。

 13日に行われたレース1は、直前に雨が降り出したことでスタートがディレイ。やがて天候は大雨、そして路面はフルウエットコンディションとなる。その後、降雨量が落ち着いたところでセーフティカー先導のもとレースがスタートされることとなった。

 実質的なスタートでは、予選でポールポジションを獲得した88号車が順当にホールショットを決める。しかし、ここで輝きを放ったのは4番手スタートのR&Bレーシング87号車ポルシェ911 GT3 Rのボー・ユアンで、この実質オープニングラップのうちにトップへ浮上。AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシング911号車ポルシェのブティコン・インタラプワサクを従える形でレースをリードする一方で、88号車のバーカー・イブラヒムは4番手へと後退する。

 雨は止み、レース中盤に向けてトラックは急速に乾いていく状況のなか、ピットウインドウがオープン。すぐにピットへと飛び込んだライバル勢が引き続きウエットへと交換するなか、88号車メルセデスはいち早くスリックタイヤを装着し、ストルツがコースへ出て行った。

 この早めのスリックへの交換とストルツの好走により、ピット閉鎖まで残り1分強のところで作業を行った87号車を逆転、88号車がトップに立った。

 2番手争いは残り17分のところで911号車のアレッシオ・ピカリエッロが87号車をターン3でオーバーテイクし決着。これにより、88号車メルセデスがGT3プロ/アマクラス優勝、2位に911号車ポルシェとなり、総合3位に入った87号車ポルシェがシルバーカップを制した。

 日本籍チームでは、ポルシェセンター岡崎の18号車ポルシェ(永井宏明/上村優太)が総合7位、NKレーシング25号車ポルシェ(内山清士/近藤翼)が総合13位となった。

■荒れ模様のレース2は終盤のクラッシュで赤旗終了

 レース2に向けた予選では、911号車ポルシェがポールポジションを獲得。2番手にはクラフト・バンブーの77号車メルセデス(ジェフェリー・リー/マキシミリアン・ゲーツ)、3番手には88号車メルセデスがつけた。

 晴天に恵まれた14日のレース2では、911号車が首位をキープ。前日の結果により最低ピットタイムに加算される10秒のマージンを生み出すべくプッシュするが、序盤のうちに接触およびそれによる車両ストップのため、FCY(フルコースイエロー)に続いてセーフティカーが導入されたため、リードが霧散してしまう。さらにピットウインドウがオープンとなる25分経過直前には、B-クイック・レーシング26号車アウディR8 LMS GT3と接触したR&Bレーシング4号車ポルシェのデニス・オルセンがグラベルに埋まり、2度目のFCYが導された。

 これら混乱した展開のなか、上位にポジションを上げてきたのはFist -チームAAIの2台のBMW M4 GT3(91号車のイエッセ・クローン、15号車のイェンス・クリングマン)だった。11&14番手スタートだったBMWの2台は、ピットウインドウオープン時点では4&5番手へと浮上してきていた。

 多くの陣営でプロドライバーがスタートを担当したため、ピットウインドウ終盤に各車が一気にピットイン。ピットクローズ直後にコース上では87号車ポルシェと接触したAMACモータースポーツの51号車ポルシェがバリアに激しくヒットし、FCYが導入される。さらにその後セーフティカーへと切り替わったことで、各車のギャップがリセットされることに。

 この時点での首位は、アウトラップでFCY導入の恩恵を受けた77号車メルセデスのリー。以下、91号車BMWのジョンサン・チェン、37号車メルセデスのルウ、15号車BMWのケビン・チェンン、911号車ポルシェのインタラプワサクというトップ5のオーダーとなった。

 レースは残り11分でリスタート。翌周、ルウが91号車BMWをパスして2番手に浮上し、クラフト・バンブーのワン・ツー体制が完成する。さらに残り6分、最終コーナーでルウは77号車リーのインに飛び込み、トップに立った。

 ポジションを下げた77号車には、15号車、911号車が迫り、2番手争いが激化するかと思われたが、残り2分を切ったところで77号車メルセデスに15号車BMWが追突。リーの77号車はスピンしコース上にストップし、再び動き出そうとしたところで後続の91号車BMWが激しくクラッシュ、1分36秒を残して赤旗が提示され、ここでレースは終了となった。

 接触後も2番手で走行を続けた15号車には30秒ペナルティが科せられ、レース結果は27周完了時点(トップ車両で55分09秒経過時点)のものが採用されることに。この結果、終盤に見事チームメイトをオーバーテイクしたルウの37号車メルセデスが優勝、クラフト・バンブーの僚友77号車が2位に入り、チームはワン・ツー・フィニッシュを達成した。3位には911号車ポルシェが入っている。

 日本籍チームではNKレーシングの25号車が総合16位、ポルシェセンター岡崎の18号車が総合21位となった。

 第2ラウンドからは、いよいよ場所を日本へと移し、さらなるエントリーを集めて開催されるGTWCアジア。次戦は6月16~18日、静岡県の富士スピードウェイで2レースが開催される。

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