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EVグランツーリスモ! アウディ「e-tron GT」をカーボンニュートラル生産で開始

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EVグランツーリスモ! アウディ「e-tron GT」をカーボンニュートラル生産で開始

■ベーリンガーホフ工場におけるカーボンニュートラルな生産

 アウディは、同社の電気自動車「e-tron GT」の生産を、ベーリンガーホフ工場で開始した。

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 e-tron GTは、ハイパフォーマンスと高い環境意識が組み合わせられたクルマである。そして同工場は、高い情熱、優れた精度、革新技術、そして持続可能性のすべての側面を備えており、100%グリーン電力と再生可能なエネルギー源によって生み出される熱を使用することで、完全にカーボンニュートラルな方法で車両が製造されている。

 資源の節約に配慮したこの車両製造プロセスでは、紙や梱包材の使用を削減し、アルミニウムおよびプラスチックのクローズドループを活用。さらに、アウディのニューモデルの生産としては初めて、製造プロセス計画段階において実車プロトタイプを使用していないのだ。

 アウディの歴史において、市販車の生産準備がこれほど短期間で整ったことはない。

 プラントマネージャーであるヘルムート・ステットナー氏は、次のようにコメントしている。

「アウディの製品ポートフォリオにおいて、電気駆動方式とスポーツ性を兼ね備えたモデルであるe-tron GTは、ネッカーズルムの拠点、特にベーリンガーホフのスポーツカー生産工場の特徴と完璧にマッチしていました。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック下においても予定どおりに生産が開始できたのは、これまでに蓄積してきた数多くの能力と、素晴らしいチームワークの結果です」

 ネッカーズルムの拠点では、既にプラグインハイブリッド車の生産に焦点が当てられており、「A6」、「A7」、「A8」のプラグインおよびマイルドハイブリッドバージョンにより、アウディの生産拠点のなかでも電動化モデルの割合がもっとも高くなっているのだ。

 ステットナー氏は、次のように付け加えた。「e-tron GTは、ドイツ国内で初めて生産されるアウディの電気自動車です。これによって私たちは、未来に向けて次の大きな一歩を踏み出します」

 持続可能なのは、このグランツーリスモの駆動コンセプトだけではない。ベーリンガーホフの生産プロセス全体が、完全にカーボンニュートラルなものになっているのだ。

 2020年の初めに、ネッカーズルムの生産拠点全体が使用する電力は、すべてグリーン電力に切り替えられている。バイオガスを燃料とする熱電併給プラントは、ベーリンガーホフ工場が車両の生産において必要とする熱を供給してくれるのだ。

 さらに、再生可能なエネルギー源の使用に伴ってどうしても避けられないCO2の排出は、認証を受けた気候保護プロジェクトのカーボンクレジットを使用して相殺される。

 アウディAG生産およびロジスティクス担当取締役のペーター・ケスラー氏は、アウディが掲げる「Missio:Zero」プログラムの中心的な目標を要約し、次のように述べている。

「ブリュッセルとジェール工場の先例にならい、ベーリンガーホフ工場は、ドイツ国内のアウディ生産拠点として初めて、製造工程の完全なカーボンニュートラル化に成功しました。これはネッカーズルム拠点にとって重要なマイルストーンであり、2025年までに全世界においてカーボンニュートラル化を達成するという道のりにおける重要なステップです」

 Mission:Zero環境プログラムは、環境フットプリントを効果的かつ持続的に削減するための生産とロジスティクスにおける様々な対策から構成されており、その焦点は、脱炭素化、資源効率、生物多様性、水の使用に関する革新的ソリューションなどが含まれている。

■クローズドループによる環境保護

 生産拠点において、重要な資源は節約され、原材料も現場でリサイクルされている。そのもっとも良い例が、「アルミニウムクローズドループ」だ。

 その一例が、e-tron GTのサイドウォールフレーム製造の際にプレスショップから出るアルミニウムシートの端材を再利用する、クローズドリサイクルチェーンだ。

 このサイドウォールフレームは、絞り加工の最高点と最低点の差が35cmにも上り、それによってホイールアーチのショルダー部分にクアトロブリスターと呼ばれる特徴的で力強い造形が生み出されることになる。

 この極めて困難なプロセスを実現するために、最先端のアルミニウム加工技術を採用。アルミニウムクローズドループにより、切断後のアルミニウムシート端材はサプライヤーに戻され、リサイクルされてアウディが再使用する流れとなる。

 これにより、ネッカーズルムの拠点において、年間数千トンのCO2排出量が削減されるのだ。

 この環境に配慮したプロセスは、アルミニウムだけに留まることはない。プラスチックのリサイクルでは、「古いものを新しいものに変える」という考え方を採用し、現在進行中のパイロットプロジェクトでは、A6およびA7の組立作業に由来するプラスチック端材は、仕分けおよび裁断されて、特殊な繊維に生まれ変わっている。

 これらのフィラメントは、生産プロセスの3Dプリンターで使用されることになる。ベーリンガーホフ工場における社内3Dプリンティングチームは、各従業員の要件に合わせてカスタマイズされた多様な組立作業補助具の製造も担当しているのだ。

 e-tron GTの製造には、そのような補助具が100以上も使われており、リサイクルプロジェクトの目的は、完璧なポリマークローズドループを創出することとなっている。

■サプライヤーと共同で取り組むリソースの節約

 原材料を節約するためのアプローチは、クローズドループだけではない。

 e-tron GTは、物理的なプロトタイプを製作することなく製造工程が計画された、アウディ初のモデルだ。

 現在、生産現場で実際に使用されているすべて組立手順は、社内で開発されたソフトウェアおよびVRアプリを活用し、仮想テストを受けたものとなっている。繊細なパーツの輸送に使用する専用コンテナの一部も、新しい仮想メソッドを使用してプロトタイプなしで製作された。これにより、金属だけでなく、部品を保護するためのパッケージも節約可能となる。

 キーワードは廃棄物の削減と紙の節約で、ボディショップと組立ラインでは、ほとんど紙を使用することはない。従来の書面による記録の必要性をなくしたメンテナンスアプリなどの新しいプロジェクトも、紙の節約に貢献している。

 ロジスティクスの面では、デジタルラベルがテストされており、これが実現すれば、さらに紙の必要性が少なくなる予定だ。棚のパーツコンテナには、紙製のステッカーの替わりに電子ラベルが採用されるようになり、電子ラベルは、非常にエネルギー効率が高いだけでなく、変更があった場合には、簡単に再プログラムすることも可能だ。

 これは、従来の使い捨てラベルに比べて重要な利点となる。さらに、アウディのプロジェクトチームは、サプライヤーと共同で、梱包材の体系的なスリム化と廃棄物の削減につながるソリューション開発に取り組んでいる。

 高品質、高性能、そしてディテールへの情熱は、ベーリンガーホフ工場の特徴となっている。2014年以来、「R8」はこの工場で組み立てられており、ネッカーズルム拠点のなかにあるベーリンガーホフ工場は、熟練工がスポーツカーを手作業で生産する場所である。

 e-tron GTの生産に向け、2019年に拡張とアップグレードを受けて設備も一新されたこの工場では、アウディ史上もっともパワフルで最速のふたつの量産アウディモデルが生産されている。

 生産責任者のウルフガング・シャンツ氏は、次のようにコメントしている。「技術的にまったく異なるふたつのモデルが、ひとつの組立ラインで生産されるのは、グループ内でも非常に珍しいことです。

 EVの4ドアクーペの生産を引き受けることにより、ベーリンガーホフ工場は、高い柔軟性を備えるハイテク生産施設へと変容しましたが、熟練工による生産という特徴はそのまま保たれています」

 このEVグランツーリスモは、来春のワールドプレミアと同時に、受注が開始される予定となっている。

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