楽しい走りで「巨体」を忘れる BMW X6 xドライブ40iへ試乗 小変更 クラス最有力の選択肢

クーペボディのSUVを発明したBMW

2008年に、BMWはクーペボディのSUVを発明した。ワゴンボディが当然だったカテゴリーに、後方へ向けてなだらかに傾くルーフラインを採用。BMW X5より高価な一方で、実用性は劣っていたものの、2代目の開発へ充分な台数を売りさばいた。

その後、メルセデス・ベンツやアウディ、ポルシェが、ライバルモデルを提供。コンパクトSUVの領域にも、その人気は広がっている。

現行の3代目X6が登場してから、早いもので4年が経過した。競争の激しい分野なだけに、フェイスリフトを施すべき時期だといっていい。

昨年アップデートされたX5と同じく、X6も新しいキドニーグリルとフロントバンパーを獲得。英国仕様ではMスポーツが標準となり、見た目はずっとスポーティに仕立てられている。

インテリアでは、BMWの第8世代となるiドライブ・インフォテインメント・システムを得たことがトピック。12.3インチのメーター用モニターと、14.9インチのセンター・タッチモニターが連なった、大画面がダッシュボード上に鎮座する。

運転席へ座ると、シートが心地良い。正面にはモニターパネルが広がるが、エアコンなどの主要な機能には、しっかりボタンやダイヤルが用意されている。BMWのデザインには、感銘を受けてしまう。

2240kgをしっかり受け止める3.0L直6ターボ

パワートレインは、X5なら最大109kmを電気だけで走れるプラグイン・ハイブリッドも選べるが、X6には設定ナシ。英国の場合、ガソリンターボとディーゼルターボの展開となる。すべてが、四輪駆動のxドライブだ。

ディーゼルターボの30dと40dには、それぞれ298psと339psを発揮する、3.0L直列6気筒を搭載。今回試乗したガソリンターボの40iには、380psの3.0L直列6気筒が載る。いずれも、フェイスリフト前からパワーアップされている。

その上に、M60iと、本気のX6 M コンペティションが君臨。それぞれ530psと600psを繰り出す、4.4L V8ツインターボガソリンが搭載される。トランスミッションは、共通して8速オートマティックで、電圧48Vのスターター・ジェネレーターが組まれる。

xドライブ40iに搭載される直6ターボは、2240kgの車重をしっかり受け止める。軽快な排気音を響かせながら、0-100km/h加速5.4秒という勢いでボディを突き動かす。ただし、高回転域では若干息苦しそうに感じられた。

燃費はあまり優れず、今回は1週間ほどお借りしたが、平均で9.4km/Lに留まった。ディーゼルターボなら、13.5km/L程度は得られるだろう。

他方、BMWとして高水準なコーナリング性能を求めるなら、X6はしっかりその期待に応える。アグレッシブな見た目とは裏腹に、ドライビング体験はエレガントだと表現したくなるほど。

巨体を忘れるほど、運転を楽しめる

X6のボディサイズは、全長4960mm、全幅2004mm、全高1700mmと大柄だが、運転を驚くほど楽しめる。S字コーナーへ突っ込んでも、ボディロールは見事に抑制。意欲的な身のこなしに、その巨体を忘れてしまうほど。

ステアリングホイールは、低速域では若干重め。それでも、市街地の移動で疲れるほどではない。

乗り心地も良い。試乗車にはオプションのエアサスが組まれており、荒れた路面でも落ち着きを保ち、不快に感じられることはなかった。

ただし、都市部の速度域では硬すぎると感じるだろう。繰り返される工事のツギハギや、舗装の剥がれた穴を通過すると、顕著に揺れが伝わってくる。標準装備となる、大きな21インチタイヤも影響していたに違いない。

高速道路へ入ると、風切り音が目立ち始める。ロードノイズも大きめだった。

車内空間は、ルーフラインを考慮すれば当然だが、全長が25mm短いX5より若干狭い。とはいえ、リアシート側で頭上空間に圧迫感が出るのは、身長が185cmを超えるような大人だけだろう。足元の前後長には、不満を感じないはず。

荷室容量も、X5の650Lと比べると、580Lで小さい。ちなみに、アウディQ8は605L、メルセデス・ベンツGLE クーペは655Lもある。

X6の英国価格は、試乗車のxドライブ40iで7万7535ポンド（約1442万円）から。同等グレードのX5から、約4000ポンド（約74万円）の上乗せとなる。僅かに劣る実用性を考えると、最も合理的なチョイスとはいえないかもしれない。

このカテゴリーでは最有力の選択肢

試乗車のように、エアサスに防音ガラス、パノラミック・サンルーフ、Mスポーツプロ・パッケージ、一連の運転支援システムなどのオプションを追加すると、9万4379ポンド（約1775万円）へ上昇する。同等装備のGLE クーペと、肩を並べる価格になる。

なお、Mスポーツプロ・パッケージには、スポーツエグゾーストにスポーツブレーキ、Mスポーツ・シートベルト、イルミネーション内蔵グリルなどが含まれる。2400ポンド（約45万円）を支払う価値はあるだろう。

ワゴンボディのX5より、僅かとはいえ、ドライビング体験で優れるX6。心地いいサウンドに充足感あるパフォーマンス、快適なインテリアなど、総合的な訴求力は高い。

クーペのシルエットが気に入ったのなら、このカテゴリーでは最有力の選択肢になることに変わりはない。パワートレインがディーゼルターボなら、一層ベターだ。

BMW X6 xドライブ40i Mスポーツ（英国仕様）のスペック

英国価格：7万7535ポンド（約1442万円）
全長：4960mm
全幅：2004mm
全高：1700mm
最高速度：249km/h
0-100km/h加速：5.4秒
燃費：11.2-11.6km/L
CO2排出量：195-202g/km
車両重量：2240kg
パワートレイン：直列6気筒2998cc ターボチャージャー＋電気モーター
使用燃料：ガソリン
最高出力：380ps/5500-6000rpm
最大トルク：52.8kg-m/1850-5000rpm
ギアボックス：8速オートマティック（四輪駆動）

Comments

[jzs********]

rx500h パフォーマンスとかいう名前だけ速そうな車よりは楽しいだろうね。

[cor********]

2m wwww