新車試乗レポート [2023.12.21 UP]
【ランドローバー ディフェンダー】V8は将来的にも買って損なし!?
文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
クルマ初心者が憧れの「ディフェンダー」を体験! 肌で感じた、英国産・名SUVの世界観
世の中電動化の話ばかりだが、ここにきてちょっとおもしろいクルマに乗った。ディフェンダーV8である。このクルマは今年4月に2024年モデルとして受注が開始されていて、順次デリバリーが始まっている。そしてここにきて、ようやく我々メディアもテストドライブできるようになったのだ。
2024年モデルに登場したV8エンジン搭載仕様
ディフェンダー 110 V8
今回のパワーソースの追加で、ディフェンダーのエンジンラインナップは思いのほか豊富になった。ショートボディの90には3リッター直6ターボのディーゼルエンジンと5リッターV8+スーパーチャージャーのガソリンエンジン、5ドアの110には2リッター直4ターボのガソリンエンジン、3リッター直6ターボのディーゼルエンジン、5リッターV8+スーパーチャージャーのガソリンエンジンが用意される。売れ線モデルの110は3種類というチカラの入れ様だ。2024年モデルの販売比率は、90が8%、110が90%、130が2%だから明白。ちなみに、130は3リッター直6ターボのディーゼルエンジンのみなので、そこはお間違いなく。
ではV8エンジンの詳細だが、これはすでにレンジローバーや同スポーツに積まれているユニットと同じとなる。最高出力525馬力、最大トルク625Nmを発揮する。レンジローバーは530馬力、750Nmだから若干ディチューンしていることがわかる。ただラインナップのヒエラルキー上もそうだし、クルマの性格上これは正しい判断ではないだろうか。というか、これでもオーバースペックなのは間違いない。
それじゃディフェンダーにV8は似つかわしくないのかといえばそうではない。過去を振り返ってクラシックディフェンダーの時代から見直してもそれは用意されていた。レンジローバーが搭載していたビュイック社製4リッターV8の時代から度々採用されている。
思い出深いのは1998年に50周年を記念して発売されたディフェンダー90のV8モデル。排ガス規制の関係で2年間しか販売されなかったが、人気は高く今も中古車市場で高値取引されている。個人的にもかつて探し回った一台だ。
上質にもパワフルにも感じるV8エンジン
ディフェンダー 110 V8
では新型V8の感想をお伝えしよう。ステアリングを握ったのは110だった。525馬力というパワーから想像するに、こちらの方が90よりバランスは良いのではと思える。ショートホイールベースでは少々じゃじゃ馬になってしまうのではという推測だ。もちろん、それが好きな方もいらっしゃるが。
実際に走らせると予想通りかなりパワフルだった。それを象徴するように、ドライブモードにエコ、コンフォートの他にダイナミックが追加されている。これはレンジローバーにはあるが、ディフェンダーには初めての装備だ。
で、まずはそのままの味を知りたくコンフォートで高速道路を流してみた。するとそのフィーリングはまさに大排気量車で、エンジンの回転数を低くしたままスーッと走り続ける。2000回転前後で十分ってところだろう。でもって追い越しはほんの少しアクセルを踏み込めば太いトルクが発生し、グイッと車体を前へ押し出す。ここでもそれほど回転数を上げずに走れるから、もしかしたら燃費はそれほど悪くないかもしれない。
ディフェンダー 110 V8
そして少し前が空いた時にダイナミックモードを試すとそれまでとは異なる顔を見せる。低音でワイルドなエキゾーストノートが目覚め、スポーティさが顔を覗かせるのだ。このとき、シフトアップのタイミングは自動的に遅れるのだが、パドルシフトを使えばより楽しさは倍増。歯切れのいいブリッピング音とともに鋭い加速を体感させてくれる。
ただこうなると、エキゾーストノートはもっと強烈でもいい気がする。ジャガーFタイプまではいかないにせよ、もう少し獣(ケモノ)感があると胸の高鳴りは増幅されるだろう。というのも、この走りはもはやGクラスのAMGを連想させるからだ。ショートホイールの90はかつてV8エンジンを積んでいたCJ-5、そしてこちらはG55 AMGロングってところだ。つまり、よりヤンチャであって欲しい気分にさせる。
まとめ
ディフェンダー 110 V8
といったのがディフェンダーV8とのファーストコンタクト。こいつが絶対的オススメのグレードとなるのは明らかだ。どう考えても長く販売されるモデルじゃないからね。近未来の自動車を取り巻く環境を鑑みると、買って損はしない一台と考えていいのではないだろうか。
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