8月15日、東南アジアのタイで開催されているAXCRアジアクロスカントリーラリー2024のレグ4が行われ、『ミツビシ・トライトン』の4台体制で参戦するチーム三菱ラリーアートは103号車をドライブするチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組が総合首位に浮上した。
日本人ペアの田口勝彦/保井隆宏組(107号車)はミスコースに苦しみながらも総合5番手を堅守。一方、僚友のサクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ組(130号車)はマシントラブルのため、小出一登/千葉栄二組(137号車)は体調不良からデイリタイアを喫している。
ハイラックスとトライトンが5秒差フィニッシュの熱戦披露。ミツビシ、レグ4で総合首位に立つ/AXCR
レグ1~6、計6つのステージで争われる2024年のAXCRは、15日木曜から後半戦に入った。ホアヒンを出発し今大会最後の拠点となるカンチャナブリへと向かう395.91kmの道のりの中に設定された、全長172.15kmのSS4は隣国ミャンマーとの国境近くに広がる山間部が戦いの舞台に。スペシャルステージ(SS)の途中には集落を通過する箇所も多く、選手たちには細心の注意が求められた。またジャンクションあり、岩場あり、川渡りありと難所が連続する難しいステージ構成が波乱を生んだ。
チーム三菱ラリーアートが走らせる4台の『トライトン』ラリーカーも無傷とはいかず、大なり小なりのダメージを負いながらの戦いを余儀なくされることとなった。
総合5番手でラリーの後半戦を迎えた田口はそのひとりだ。スタックした車両に道を塞がれ大きくタイムをロスしてしまった彼は、先行車の後ろを走っている時間も長く思うようにペースを上げることができなかった。このためトップの選手から約30分遅れてのステージ13番手フィニッシュとなったが、無事にSS4を走破し総合5番手のポジションを守ってみせた。
「今日はすごい山登りがあったのですが、我々が到着した時には前のクルマやバイクが登れなくなっていて、道が詰まっていました」とレグ4最大の難所となったガレ場の状況を説明した田口。「いつまでたっても動かないので、保井選手(コドライバー)がクルマを降りてバイクを排除するのを手伝いました。それでようやく通過することができたのですが、『トライトン』はスタックすることもなく、まったく問題ありませんでした」
「ただ、コマ図の“道なり”と、我々ふたりの“道なり”の感覚が違うようで、走れば走るほどミスコースで遅れていくような、フラストレーションの溜まる一日でした。一方でクルマは絶好調です。メチャメチャ良いです。ハンドリングも良いですし残り2日、好転できるようにやれることをやっていきたいですね」
後半戦のオープニングステージで苦しめられたのは田口だけではなかった。ハーントラクーンはSS4後半のコースでスタックを喫したが、小出組のクイックサポートで脱出に成功する。しかし、その後トラブルに見舞われデイリタイアを余儀なくされた。また、小出もエアコンの不調により体調面で競技続行が難しくなったためこの日は走行を取りやめたが、レグ5以降はふたたびチームの仲間たちをサポートしていく予定だ。
チームメイトたちが苦戦を強いられるなか、“エースドライバー”のヨーターは早々に先行するライバルをパスして首位に浮上する。難所続きのステージながら落ち着いた走りで後続を引き離すことに成功した彼は、ステージウインを果たしたライバルとわずか5秒差の2番手タイムを刻み、総合タイムでは2番手のライバルに対し23分57秒もの差を築いてみせた。
SS4終了直後、チーム三菱ラリーアートを率いる増岡浩総監督は目を涙で潤ませ声を詰まらせながら大会4日目を振り返った。
「今日は本当に大波乱でした。いいニュースでは、エースであるチャヤポン(・ヨーター)選手がトップに立ちました。ずっと苦しい戦いのなか復調できた点は良かったです。田口選手もいろいろありましたが、しっかりトップグループに食らいついてくれているので終盤、チームが全力を尽くして支えたいと思います」
「サクチャイ(・ハーントラクーン)選手はSSの中でトラブルがあり小出選手が助けたのですが、小出選手もエアコン不調で体調を崩して今日はデイリタイアということになりました。いずれにしても、終盤2日はチャヤポン選手と田口選手の2台をチームの総力を尽くして点検整備を行い、万全な状態で送り出します。とにかく最後まで諦めずに、粘り強く戦っていきたいと思います」
ラリーは残り2日。16日(金)のレグ5はカンチャナブリを拠点とするループステージとなっており、その中に設定されたSS5が行われる。同SSの距離は228.87kmで今大会最長。この日の出来が勝敗の行方を左右するカギと言っても過言ではないだろう。
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