これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。
当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、本格派のスポーツカーでありながら実用性も高かった、スズキ カプチーノについて紹介していこう。
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 カプチーノはバブルが生み出した常識はずれの軽スポーツ!
文/フォッケウルフ、写真/スズキ
■軽自動車に対する価値観とは?
全長3.4m以下、全幅1.48m以下のボディサイズは小まわりが効いて運転がしやすく、駐車スペースに困らない。エンジンの排気量は660ccに抑えられているが、車重の軽さを生かして市街地での使用を主体とするなら不満なく走れるうえに燃料消費量も抑えられる。
さらに税金や自動車保険料、車検費用は普通車よりも安いから維持費が抑えられるなど、コストパフォーマンスの高さが際立っている。「軽自動車のメリットとは?」に対する説明は、ザッとこんなところとなるが、軽自動車に乗るユーザーの多くは、こうした特徴に着目して選択しているはずだ。
現在でこそ軽自動車といえば“庶民の足”としての地位を確立しているが、1990年代には軽自動車の概念とか特徴にとらわれることなく、「スポーツカーとしての理想」を追求し、見事に具現化した「スズキ カプチーノ」というクルマが存在した。
4ウェイオープントップと呼ばれる画期的なルーフ機構によって、クーペ、Tバー、タルガスタイル、フルオープンという4つのバリエーションが楽しめた
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