スズキGF250純正ピストンを流用した本当の理由
OHVのC100エンジンを「モデナイズ」 (=現代では当たり前の技術を採用)することで、マフラーからの白煙対策ができないものか? オーバーヒート時の、焼けるようなオイル臭さを減らせないものか……。現代では当たり前のようなことですが、OHVエンジン時代のスーパーカブC100にとっては、理想的なお話しでもあります。
【画像】モディファイしたスズキ製ピストンをスーパーカブC100にドッキング! ピストン組込の様子を画像で見る(9枚)
旧車ミーティングに参加していつも感じるのは、モクモクとマフラーから白煙を吹き出す2ストエンジンモデルには、ある種の郷愁!? のような想いがめぐりますが、4ストエンジンモデルのマフラーから白煙を吹いたり、エンジンオイルが焼ける臭いがするのは、どうも今ひとつだと感じてしまいます。
特に、1960年代以降の4ストエンジンモデルが、そんなコンディションだと、がっかりしてしまいます。そんな想いをめぐらせているのは、おそらくぼく一人だけではないと思いますが……理想的には、白煙やオイル焼けの臭いがしないエンジンが良いですね。特に、スーパーカブC100シリーズは、身近なモデルだからこそ、そうあってほしいといつも思います。
他機種用ピストンの流用で「モダナイズ」しようと考えた最大の理由は、ボアアップなどの排気量アップやパワーアップではなく、C100時代のようにピストンリングのオイルリング(=シリンダー内壁のエンジンオイルをかき落とす役割のピストンリング)が「一体鋳造式」ではなく、ハガネ素材かつプレス構造を採用した、現代モデルのような「3ピース構造」のオイルリングを採用したピストンを流用できないものか!? と、いうところにあります。
オイル上がりの防止としては、一番確実かつ効果的だからです。鋳鉄シリンダーなので、オーバーヒートしやすい傾向で、一体構造の鋳鉄リングだと、熱の影響で張力が低下してしまいます。そこで、現代的な3ピースリングを使えれば、ピストンリングの張力を、ある程度は維持できるのではないか!? と考えました。
その結論として見つけたピストンが、スズキの250cc水冷2バルブ4気筒エンジン用、モデル名としてはGF250用のピストンでした。
物理的な寸法関係が違いますので、単純なポン付けは不可能です。以前にリポートしたように、ピストンピン径の変更やピンクリップ溝の追加工、C100ヘッドの燃焼室形状に合わせるため、ピストントップのスキッシュエリアを加工しなくてはいけません。そんな対応加工が可能なピストンでした。しかも吸排気バルブリセスを加工しなくて済んだのは、とにかく幸いでした。
使い易いピストンリングコンプレッサーを見つけよう
エンジンの分解組み立て時に、いつも思うことがあります。それは、ピストンリングコンプレッサーです。ぼくの場合、ボアサイズごとに使い分けることが多いです。ですから「許容範囲を広く取ったもの」は、逆に使いにくいことが多く、好きにはなれません。専用ボアサイズに近いものが、やっぱり使いやすく感じます。
スーパーカブC100/C105の場合は、φ40~43ミリピストンを使う機会が多く、OHC横型エンジン系の場合は、φ47~52ミリのピストンを使うことが多いです。
いずれにしても、工具ショップのストレートから発売されている「樹脂製ピストンリングコンプレッサー」を利用する機会が多いです。この商品は使いやすく、すでに何セットか購入しています。現状は3種類のサイズですが、もう少し大きなボアサイズ用があっても良いのでは? などとも思います。とにかく使い易さが抜群です!!
ピストンリングの中には、張力が妙に強いモデルもあります。この特殊工具を利用すると、ベルト状の帯を指先で締めることで、リニアにつまみ方を微調整しながら作業進行できる点が好きです。工具に自分勝手な追加工を行うことで、さらに使い勝手が良くなります。ホンダ4ミニ用のピストンリングコンプレッサーで困った経験がある方は、是非、お試しください。お値段もたいへんリーズナブルです。
オーバーヒート時や連続的な空吹かし時に、マフラーから「白煙」が出てしまうので、対策を施したC100エンジン+スズキピストンですが、完全冷間時からのエンジン始動でも、白煙は一切吹くことなく、暖機時の空吹かしでも、白煙や油臭さは皆無になりました。
ガレージ内でエンジン始動しても、焼けたオイルや排気ガスで眼がチクチクすることもありません。スパークプラグの焼け具合を確認すると、以前ならエンジンオイルの影響で、湿気感が多くありましたが、現在は、オイル焼けなどの不純物は無く、C50エンジンのように良く燃えている印象に変わりました。作業の様子はギャラリー写真とキャプションをご参照ください。
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