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スズキが22年ぶりに「鈴鹿8耐」に帰ってきた!「カーボンニュートラル」で臨んだワークスチームの気になる結果は…?

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スズキが22年ぶりに「鈴鹿8耐」に帰ってきた!「カーボンニュートラル」で臨んだワークスチームの気になる結果は…?

22年ぶりのワークス参戦で素晴らしい結果に

“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会(鈴鹿8耐)が2024年7月19日(金)~21日(日)、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットで開催。その鈴鹿8耐にスズキが22年ぶりのワークス体制で参戦しました。ゼッケン0をつけEXPクラスへ参戦した「Team SUZUKI CN CHALLENGE」のスズキ「GSX-R1000R」(生形秀之/濱原颯道/エティエンヌ・マッソン組)は見事8時間を走り切り、総合8位でチェッカーフラッグを受けました。

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サステナブルで再びレースへ

スズキは、長らく活動を続けてきたMotoGP(FIMロードレース世界選手権)そしてEWC(FIM世界耐久選手権)から2022年シーズンをもって撤退をしていた。その理由についてスズキは「サステナビリティの実現に向け、経営資源の再配分に取り組まねばならない」としての決断だったとしている。

ところが、その撤退から1年半後の2024年の鈴鹿8耐に、2002年以来となる22年ぶりのワークス体制で参戦をした。そのチーム名に「CN CHALLENGE」と入っているように、この参戦はカーボンニュートラル(CN)社会の実現のため、環境負荷の低いさまざまな新開発部品を投入した2輪車で、鈴鹿8耐に参戦し、課題を克服しながら耐久レースの完走を目指し、環境性能技術向上につなげていく取り組みである。

今回の8耐に参戦する車両「スズキGSX-R1000R」には、40%バイオ由来のFIM公認サステナブル燃料「エルフMoto R40 FIM」をはじめ、ヨシムラジャパンの「触媒内蔵サイレンサー」や、ブリヂストンの「再生資源・再生可能資源比率を向上したタイヤ」、MOTULの「バイオ由来ベースオイル」、JHIの再生CFRPプリプレグ材による各種「カウル」。そしてトラスの「スイスBcomp社の天然亜麻素材を使用した前後フェンダー」など数々のサステナブルアイテムを投入。そして実験的クラスとして設定されている「EXP(エクスペリメンタル)クラス」からの参戦となった。

話は意外なほど早く展開

今回、その参戦について、田中 強(たなか つよし)スズキ2輪事業本部本部長に直接話を伺うことができた。そもそものこの参戦のきっかけは2023年の8耐の現場でFIM(国際モーターサイクリズム連盟)側から持ち掛けられた提案であった。

「スズキさん、興味はありませんか? 参戦するなら協力します」

FIMからの問いかけに、いったん会社に持ち帰った。

「将来的に検討していかなきゃなぁ、くらいに思っていたのだけど、秋ごろにはこの参戦について検討してみようという話になって」(田中氏)

話は意外なほど早く展開を始めた。その時、社内にはレースの体制もなく、車両もない。準備期間は1年もない。できるかどうか、わからない。

「いろいろと悩みつつ、ヨシムラさんに声をかけたところ全面的に協力をしてくれるという話になりました。燃料を確認してみたら、これ、イケるんじゃないか? ということで参戦に至りました」(田中氏)

それは2023年10月過ぎのことだった。

車両があるだけではだめで、レースにどこまでアジャストできるのか? そして8耐を走り切る機材も必要で、さまざまなものを借りながら、なんとか目途がついて間に合ったという。その準備の中でさまざまなサステナブルなアイテムの情報も集まってきていた。燃料の確認のためのエンジンのベンチテストだけで、何のテストもしていなかった段階だったものの、春先の東京モーターサイクルショーでの参戦発表となった。

CNチャレンジのメンバーは、スズキ社内で選抜

このチームを引っ張るのは、佐原伸一チームディレクターだ。

「MotoGP撤退の理由がサステナブルな開発にリソースを集中させるためにというものでした。そこから一転、サステナブルな開発を促進させるためにレースに出る、となった時のリーダーは、そのMotoGPのプロジェクトリーダーを務めていた佐原しかないだろう」

その佐原氏に田中氏が注文したのは「社内の人間でチームを構成しろというオーダーです。2輪の部署だけでやるのではなく」だった。

さっそく佐原氏は全社員に対して、「こういう取り組みをします。やりたいメンバーは上長の了解を得てたうえで応募してください」という募集を掛けたという。というのも、この8耐参戦については、専任ではなく、自身が抱えている業務をやりながら参加することが前提なのだ。そうなると時間が取られ自身の業務に支障をきたす可能性もある。

「つまりこのプロジェクトは周りのサポートがなければ参加できないんです。その協力を得られる人は手をあげてください、ということです。100名弱の応募がありました。4輪であったりマリンであったり、生産技術や管理部門だとか品質部門からも応募がありました」(佐原氏)

レースなのでライダーの安全なども考え、コアメンバーは経験者を選んでいるが、それ以外は、面接などを行って社内から15名ほどが採用となった。

「チームは30名弱ですが、スズキの新しい取り組みをするってところに自分も少しでも力になりたいといって応募してくるメンバーもいました。いま見渡してみると、ほんとうに良いメンバーが集まったなぁというのが正直な感想です。今回のチャレンジは、2輪の取り組みではなく、スズキ全体の取り組みとしてやりたかったのです。で、今回の壮行会に300名くらい集まって、応援メッセージも450件以上、と全社が応援してくれているという印象があります」(佐原氏)

来シーズンの活躍にも期待!

2024年5月に実車でのテストを開始。鈴鹿を走るのに問題ないレベルまで社内で仕上げ、6月の公式テストで初めて鈴鹿で走行をした。今回、8耐ライダーとしてチームに合流した生形秀之選手に話を聞くことができた。実際に事前に走行をしたのは、鈴鹿で行われた合同公式テストのみとなる。

「もちろんキャラクターの違いはありますが、大きな問題もなく、違和感なく走れました。本番のレースウィークになっても、細かなところで気になる点はいくつかあるけれど、きちんとまとまっていました。きっちり8時間を走り切って結果を残すだけでなく、来年に向けて、次はもっとトライをしていこうという話もあります。このチャレンジがさらに成功していくことを期待しています。自分としても、今回この新しいチャレンジに少しでも関わることができたことをうれしく思っています」(生形選手)

続けて田中氏は次のようにコメント。

「われわれは高いレベルでの負荷をかけたうえでサステナブルアイテムの検証をして、それらをフィードバックしていくという技術開発をしています。セッティングが決め切れていない部分もあるのですが、時間を掛ければもう少し詰められるところだと思います。それは今後の課題ですね。順位を狙っているプロジェクトではないのだけれど、遅く走っても仕方ない。自分たちのポテンシャルはどのくらいか? というところを結果で出したいですね」

その結果は総合8位であった。

続けて佐原氏は話す。

「このプロジェクトは今回の1回で終わる話ではないですからね。課題を抽出して、克服して、さらに検証していかなければならない。サステナブルな割合ももっと高めていかねばならないですからね」

今後もこのサステナブルなモータースポーツ活動を注視していきたい。

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