■トヨタが誇る高級ミニバン「アルファード」。中国でのアルファード人気の現状は?
2023年のフルモデルチェンジで登場した4代目も変わらずに大人気ですが、一方でライバルの多い中国市場ではどう評価されているのでしょうか。
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トヨタ アルファードは2002年に初代モデルが登場、当初は完全国内市場向けの車種としてボディサイズを日本の道路事情に合わせるだけでなく、他車種のプラットフォームやパワートレインを流用するなど、豪華さとコストダウンを上手に組み合わせた車種となりました。
その後、2008年に登場した2代目モデルでは初となる左ハンドルモデルを設定し、中国や台湾といった中華圏でも展開されるようになります。
この頃から中国ではアルファード人気が徐々に高まりつつあり、その一因は香港の著名人や映画スターなどが移動用としてアルファードを愛用していたことからとも言われています。
中国のミニバン市場では米・ビュイックが中国専売車種として大型ミニバン「GL8」を現地生産・販売するなど、ミニバンとしての選択肢はゼロではありませんでした。
ですが、当時は室内の広さを最優先に設計されたファミリー向けの印象が強く、内装も当時のアメリカ車らしい野暮ったいものでした。
2010年10月に中国で発売された2代目アルファードは2.4リッターモデルと3.5リッターモデルの2種類を用意、それぞれ56.88万元と68.88万元から販売されました。
当時のレートが1元=12円ほどですので、日本円に換算すると約682.5万円と約826.5万円、日本における価格の約2倍となります。
これはアルファードが輸入車であるために25%の関税(2018年からは15%)が課せられていることが大きく影響しています。
2015年には3代目アルファードが登場しますが、その間にライバルのビュイック GL8も徐々に高級路線を強調させていきます。
2017年に登場した3代目GL8ではこれまでのトーションビーム式リアサスペンションを廃止、マルチリンク式へと大幅にアップデートしました。
GL8は現在、4代目となる「GL8センチュリー」が最新モデルとして46.99~68.99万(約1026~1507万円)で販売されています。
これに加え、2019年前後からは中国全体で大型ミニバン需要がより顕著になり、さまざまなメーカーが初の大型ミニバンをリリースしていきます。
独・フォルクスワーゲンも2019年に中国専売の大型ミニバン「ヴィロラン」を発表しました。
ヴィロランは全長5346 mm x 全幅1976 mm x 全高1781 mm、ホイールベース3180 mmという余裕のあるボディ設計を誇ります。
3代目アルファードの全長4945-4950 mm x 全幅1850 mm x 全高1935-1950 mmと比べても一目瞭然です。
また、先述のGL8も約5.2メートルの全長を誇ったりと、中国市場におけるライバルと比較してアルファードの小ささが目立っていくようになります。
トヨタも相次ぐ新ライバルの登場に負けじと、2019年には姉妹車「ヴェルファイア」初となる中国仕様、そしてレクサス初のミニバン「LM」を発表しました。
ただ、アルファードのネームバリューがあまりにも大きすぎるゆえにヴェルファイアは影が薄く、販売は伸び悩みます。
2021年にはヴェルファイアを「クラウンヴェルファイア」へと改称しましたが、それでも同価格帯のアルファードと、より上級のレクサス LMに板挟みされていることには変わりなく、高級ミニバン市場におけるプレゼンスを発揮できずにいる印象です。
その間にも、2020年から2021年にかけて、中国メーカーによるミニバン車種の新規投入が激化していきます。
中でも代表的なのが、BYDの「デンツァ」ブランドより登場した「D9」です。
D9はプラグインハイブリッドモデル(PHEV)を33.98万元(約742.3万円)、純電動モデル(BEV)を37.98万元(約829.7万円)という低価格で投入し、拡大するEV需要に上手く乗りました。
中国の大都市部においてEV(含PHEV・BEV・FCEV)はナンバープレートの発給制限対象外なのに加えて税制面の優遇もあり、ミニバン市場においても中国メーカーのEVが目立ってきています。
実際にデンツァ D9は2023年通年で11万7978台を販売、2024年に入ってからも毎月1万台を記録してランキング首位に輝き続けています。
デンツァ D9以外にも、ジーカーの「009」や、トランププチの「E9」、WEYの「高山」。
中国の歴史ある高級車ブランドとなる紅旗の「HS9」、理想の「MEGA」、シャオペンの「X9」など、ここ1、2年で中国メーカーによる高級EVミニバンが数多く誕生しました。
一方で、トヨタはアルファードとヴェルファイアのフルモデルチェンジを2023年に発表しました。
先代モデルの登場時と比べるとより多くの競合車種が登場しましたが、依然としてアルファードは中国でも高い人気を誇ります。
アルファードは2023年2月からの1年間で約2万台を販売と、台数にしてみれば中国勢より少ないかもしれません。
ですが、メーカー希望小売価格89.90万元(約1964万円)の輸入車であると考えるとかなりの大健闘と言えるでしょう。
また、これに加えてディーラー独自で優先納車のための上乗せ価格を設定することは珍しくなく、実際の乗り出し価格は日本円で約2500万円近くになることもあります。
アルファードの人気ぶりは中古車価格にも現れています。
2023年時点での3代目モデルの5年後残価率は87.84%、ヴェルファイアでも71.83%と中国の中古車掲載サイト「二手車之家」で紹介されています。
このサイトを見てみると、最新型アルファードの未登録車が100-115万元(約2184-2512万円)で掲載されているのがわかります。
また、約9万キロ走行の先代HEVでも94.44万元(約2063万円)と、リセールバリューの良さは中国でも変わりません。
まだまだ高い人気を誇るものの、大都市部での規制対象となるHEVしか販売しないようでは、PHEVやBEVを取り揃える中国勢にシェアを奪われていくことでしょう。
幸いにもアルファードとヴェルファイアはPHEVモデルの追加を予定しているため、これが中国市場でも展開されれば人気にさらなる火がつくことと予想されます。
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