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ヤマハと住友商事パワー&モビリティが熱電発電によりガソリン車で3.1%のCO2削減を実証

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ヤマハと住友商事パワー&モビリティが熱電発電によりガソリン車で3.1%のCO2削減を実証

排気ガスの熱から電力を回生してオルタネーターの負荷を低減

ヤマハは、住友商事パワー&モビリティと共同で、自動車排気ガスの熱エネルギーから発電を可能にする排熱発電ユニットの車両実証試験を実施し、同ユニットの車両CO2排出量削減に対する有効性を実証した。

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この排熱発電ユニットを自動車の排気管に搭載することで、これまで有効活用されていなかった排気ガスの熱から電力を回生してオルタネーターの負荷を低減し、さらにエンジン始動時にはこの熱を使って暖機を促進することで、車両のCO2排出量を削減することができる。

同実証試験では、排熱発電ユニットを車両に搭載し、台上で電力回生量とCO2排出量を測定。その結果、欧州WLTPモード走行時で実測1.9%(3.9g/km)のCO2排出量を削減し、さらに同ユニットの車両搭載位置を最適化することで最大3.1%(6.4g/km)ものCO2削減効果が期待される結果を得られた。

【開発の背景】

近年、脱炭素社会の実現にむけた各国の取り組みが加速しており、自動車分野においてもCO2削減が強く求められている。

熱電発電(Thermoelectric Generator、以下「TEG」)は古くから環境技術として注目され、自動車分野においてもCO2削減を実現する技術として広く開発が進められてきた。しかし、これまでの各社の検討ではTEGモジュールの性能や信頼性が不十分であったこと、また車両搭載にあたってのシステム検討が不十分であったこと等に起因し、今日まで実用化には至っていなかった。

両社では2021年3月より世界最高出力・最大サイズのTEGモジュール「YGPX024」のサンプル販売を展開し市場ニーズの調査を進めてきたが、今回、大きな市場規模でのビジネスが期待できる自動車用途において、本実証試験を実施。

【試験概要】

同実証試験では、FEV Europe GmbHに業務委託し、排熱発電ユニットと降圧コンバーターからなるシステムの車両搭載、およびシャシダイナモ上での台上試験を実施した。試験の詳細は以下の通り。

■テスト車両
ジャガー F-PACE(2Lガソリンターボ、SUV)

■排熱発電ユニットの構成
排熱発電ユニットの構成は、4個の『YGPX024』TEGモジュールと排気ガス用、および冷却水用の熱交換器をサンドイッチ状に積層した構造を有している。なお、今回使用した『YGPX024』は独自の構造と製法により、世界最高出力と自動車用途を見据えた信頼性を実現。

TEGモジュール「YGPX024」

排熱発電ユニット構成

■車両搭載方法
排熱発電ユニットは触媒下流の排気管へ設置され、またエンジン冷却水が同ユニットまで分岐、延長され接続。この際、冷却水の供給は車両に既設のウォーターポンプを流用している。また電気系統に関しては、TEGモジュールが発電した電力を降圧コンバーター経由でバッテリーへ回生する回路を既存のオルタネーターと並列に接続した。これにより、発電電力を直接車両のバッテリーに供給することができ、実車両を想定したシステムとして評価を実施した。

■評価方法
台上試験では、欧州WLTP(Phase4含む)、北米US06、エンジン定常回転状態におけるCO2排出量と電力回生量を実測することで、車両搭載時のCO2削減効果を確認した。

【試験結果】

各種走行試験におけるCO2削減量、電力回生量の主な結果は以下の通り。

●欧州WLTPモード走行
 CO2削減量:1.9%改善(3.9g/km)、最大回生電力:165W

●US06モード走行
 平均回生電力:97W

●エンジン回転数2,000rpm定常(シリーズハイブリッド車両を想定)
 回生電力:195W、オルタネーター発電量の40%に相当

なお上記試験では、試験車両のレイアウト上の制約のため、ユニットを通過する排気ガス温度が不十分であった。そこで排気ガス温度を上昇させた試験を実施したところ、排熱発電ユニットを最適位置へ搭載することでCO2排出量が最大3.1%(6.4g/km)削減できる試算結果を併せて取得している。

関連情報:https://www.yamaha.com/ja/

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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みんなのコメント

1件
  • ヤマハは技術あるね
    トヨタに持って行かれるだろうけどw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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