現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ「スポーツカー人気」が再燃? 若年層が関心持つ要因はSNS? 一方「最後のガソリンMT」という危惧も後押しか

ここから本文です

なぜ「スポーツカー人気」が再燃? 若年層が関心持つ要因はSNS? 一方「最後のガソリンMT」という危惧も後押しか

掲載 更新 69
なぜ「スポーツカー人気」が再燃? 若年層が関心持つ要因はSNS? 一方「最後のガソリンMT」という危惧も後押しか

■販売好調なスポーツカー市場、その背景は?

 2022年1-6月の新車販売台数ランキングを見ると、コンパクトカーやSUV、ミニバンが上位を占めるなかで、トヨタ「GR86」やマツダ「ロードスター」といったスポーツカーの名前を見ることができます。
 
 近年、「若者のクルマ離れ」や「スポーツカー離れ」をといった言葉を聞くこともありますが、実際はどのような状況なのでしょうか。

これが走りのRS! ホンダ「シビックターボRS」が登場

 クルマの基本的役割は、いうまでもなく移動することですが、スポーツカーはその移動の時間そのものを楽しむことを目的としています。

 一方、それは裏を返せば、スポーツカーは利用シーンが限定されることが多く、決して多くの台数を記録するようなモデルではないということを意味しています。

 にもかかわらず、GR86やロードスターは好調な売れ行きを見せています。

 GR86の月間目標販売台数は700台とされていますが、2022年1-6月で8540台の販売を記録しており、2021年にフルモデルチェンジした直後ということを差し引いても順調に販売台数を伸ばしています。

 一方のロードスターは、2021年12月に発売された特別仕様車の「990S」が販売をけん引した結果、2022年1-6月で前年同期比148.4%となる4817台を記録しました。

 現行ロードスターは発売からすでに7年あまりが経過しており、この結果は驚異的な伸びと言えます。

 マツダの広報担当は、ロードスター好調の要因について、次のように話します。

「外出自粛を余儀なくされていたコロナ禍において、『移動』すること自体が特別な行為となったことで、ロードスターのようなスポーツカーが注目されるようになったと考えています。

 また、他社からも魅力的なスポーツカーが多く登場したことも追い風になっていると思います」

 さらにGR86の販売動向について、トヨタの関係者は「2022年4月、5月、6月と若年層における割合が高まっています。7月に開催されたGR86/SUBARU BRZのイベントでも若年オーナーも多く来場されており、若年層がスポーツカーを購入するというニーズは高まってるように感じています」と話しています。

 また若年層がスポーツカーに関心を集める要因について、大手広告代理店の担当者は次のように話しています。

「最近ではYouTubeやTikTok、InstagramなどさまざまなSNSで情報が発信できる時代です。
 これまでは各媒体を通じて情報を発信していましたが、SNSでユーザーがそのモノの魅力を発信できる時代となった現在では、例えばスポーツカーでも『楽しそう』『カッコいい』といったキーワードにハマれば自然と関心を持ちやすくなっています。

 そうしたことからも、スポーツカーをひとつのトレンドやファッションと捉える若者もおり、若年層がスポーツカーに関心を示してきているといえます」

※ ※ ※

 また、かつてのクルマ好きのかなでは、自動車業界全体の電動化が進むなかで、これまでのスポーツカーの典型であった「ガソリンエンジン × MT」という組み合わせの存続が難しいという噂もあります。

 そのため「スポーツカーを楽しむなら今のうち」という意識が働いたユーザーによる駆け込み需要が販売を後押しをしたという指摘もあります。

 とくに、2022年はGR86やロードスターに加え、日産新型「フェアレディZ」やホンダ新型「シビックタイプR」などは発売からすぐに受注が殺到。

 さらに、トヨタ「GRMNヤリス」や「GRカローラ」など新たなスポーツカーが続々と登場したことなども、スポーツカー市場全体が盛り上がっている証といえます。

■スポーツカー人気はこの先も続くのか?

 こうした現状から、1990年代をピークとした「国産スポーツカーブームが再び到来するのではとないか」という期待も覚えますが、話はそう簡単ではないようです。

 スポーツカーを厳密に定義するのは非常に難しいものですが、「2ドアクーペ」かつ「MT」という要素を必須とすると、2022年8月現在でラインナップされている国産車は、GR86/SUBARU BRZ、ロードスター、フェアレディZ、スープラなどです。

 またハッチバックではGRヤリス、GRカローラ、スイフトスポーツ。4ドアではシビックタイプRも存在しています。

 そのうち、GR86はSUBARU BRZと、スープラはBMW「Z4」と共同開発となっており、また、フェアレディZは「新型」と銘打ってはいるものの、実際には先代モデルの型式を継続しています。

 もちろん、これ自体は必ずしもネガティブなことではなく、優れたスポーツカーを手の届きやすい価格で提供するための「工夫」のひとつです。

 ただ、逆にいえば、こうした「工夫」をもってしなければ、新たなスポーツカーを提供できないということでもあります。

 当然のことながら、新車の開発には莫大な費用が掛かります。また、排出ガスや騒音などの規制も年々厳格化しており、そうした規制への対応も非常に多くの時間とコストが掛かります。

 新車価格を上げることでバランスをとる方法もありますが、多くの人に手の届く価格であることを優先すると、価格にも上限があります。

 100万台単位の販売が見込める主力モデルであれば新規開発をおこなうメリットもありますが、ほとんどのスポーツカーではそれほどの台数を販売するのは現実的ではありません。

 GRヤリス/GRカローラやスイフトスポーツ、シビックタイプRといったモデルはもちろん高性能を目指した開発はされているものの、それぞれ主力モデルの派生車であるため、単独で新規に開発コストをまかなうことを避けられています。

 一方で、スポーツカーの与えるイメージは、現代のクルマにおいては重要な要素です。

 そのため、実際の販売台数はそれほど多くなくても、ラインナップのなかにスポーツカーやスポーティグレードを用意する可能性は多いにあります。

 また、今後市場が拡大していくと見られるEVにおいては、その滑らかな加速感を活かしたスポーツカーが登場していく可能性は十分にあります。

 トヨタでは、EVに擬似的にMTの感覚を持たせるシステムの開発をおこなっているという噂もあります。

 ガソリンエンジンのみのスポーツカーの存続は難しくなっている昨今ですが、電動化時代になってもスポーツカーは形を変えつつ残っていくことは間違いないでしょう。

※ ※ ※

 スポーツカーの開発が難しくなっているなかで、ロードスターは単独での開発が続けられている稀有な存在です。

 コストパフォーマンスに優れたライトウェイトスポーツカーとして30年以上にわたって愛されているロードスターは、2016年には累計生産台数が100万台に達し、現在でも「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス世界記録を更新し続けています。

 限りなく高い壁ではありますが、ロードスターほどの人気を得ることができれば、スポーツカーの単独開発は決して夢ではないようです。

こんな記事も読まれています

フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
AUTOSPORT web
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
AUTOSPORT web
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
AUTOSPORT web
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
ベストカーWeb
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
AUTOSPORT web
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web

みんなのコメント

69件
  • GR86やBRZ、ロードスターはいろいろ犠牲にしたら乗れるけど
    スープラMTやフェアレディZのMTは逆立ちしても買えない、、、

    乗ってみたいなあ・・・ by23歳男
  • ロードスターが売れるのはわかる。
    あれはカッコいいし運転が楽しい。
    ハートトップとソフトトップが選べるし
    ATとMTも選べる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村