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かかる負荷は2011年の2倍に……ピレリF1タイヤがピーキーなわけじゃない!? 激戦およびマシンの性能向上で、タイヤの扱いがよりシビアに

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かかる負荷は2011年の2倍に……ピレリF1タイヤがピーキーなわけじゃない!? 激戦およびマシンの性能向上で、タイヤの扱いがよりシビアに

 ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラは、近年のF1でタイヤによる差が大きくなっているように見えるのは、各マシンのパフォーマンス差が縮まっているからだと説明した。

 今季はここまで、レッドブル、マクラーレン、フェラーリ、メルセデスの4チームが、いずれも複数回勝利。近年稀に見るほどの接戦となっている。

■岩佐歩夢が自身プロデュースのイベントを開催する理由……認知度拡大がF1シート獲得の”重要な要素”「レッドブルからのタスクのひとつです」

 そんな中で各ドライバーは、タイヤの扱い方が難しいと吐露。フェラーリのカルロス・サインツJr.はシンガポールGPの際、タイヤをうまく使いこなすことを「ピレリマジック」と命名した。

 ピレリのモータースポーツ責任者であるイゾラは「ピレリマジック」という言葉は聞いたことないとしながらも、それが重要視されているのは、各車のパフォーマンス差が小さくなっているからだと説明した。

「ピレリマジックという言葉は聞いたことはないけどね。でもそれがポイントだ。現在のチャンピオンシップの戦いがいかに僅差かということなんだ」

 そうイゾラは説明する。

「ピレリマジックは、魔法でもなんでもない。今年使っているコンパウンドは、昨年と同じだ。昨年の時点では、誰もピレリマジックなんて言っていなかった。全てのタイヤとコンパウンドのグリップ力は曲線的で、ピークがあるのは明らかだ」

「昨年までのマックス(フェルスタッペン/レッドブル)のように大きなアドバンテージがあれば、グリップがピークになっているかどうかは気にしなくていい。でも、コンマ1秒の差の中に3人も4人ものドライバーがいるなら、ピークを維持するのがいかに重要であるかが分かる」

「ピークから外れてしまうことを、彼らは受け入れられないんだ、コンマ1秒、あるいはそれ以下であっても、失うようなことになってしまえば、ポジションにも影響してしまう可能性がある。長いスティントを走るなら、長いことタイヤのグリップをピークに留めておくことが必要なんだ」

 ピレリのタイヤはピーキーであると訴えるドライバーもいる。しかしイゾラ曰く、これはチームとも合意した”システム”の影響であると説明する。

「我々はコンパウンドの挙動を特徴づけるために、ワーキングレンジもしくはワーキングウインドウと呼ばれているシステムを使っている。これはチームと同意したシステムなんだ。グリップのピークを測定し、そこから3%以内の領域がワーキングレンジだ」

 そうイゾラは語る。

「これは慣例的な数字であり、全てのチームと合意したモノだが、おそらく今ではもう最適な数字ではない」

「実際にチームは、3%以内に留めるという状況を許容したくないのだ。彼らは、1%かそれ以下に留めたいわけだ。つまりウインドウは、その分狭くなっている。比較の方法が違うので、(ピーキーになったという意見は)正しいモノではない」

「我々の仕事の一部は、ワーキングレンジをより広げることだった。それは実現できた。しかし現在は少なくとも4チームが優勝を争っており、どのチームもタイヤのピークを探すことに躍起になっている。彼らはグリップレベルの曲線が平坦になることを望んでいるが、それは不可能なことなのだ」

 また各チームは、タイヤの最低内圧が高くなったことにも不満を訴えている。内圧を低くした方が、グリップを得やすいからだ。

 ただイゾラは、今のF1マシンのタイヤにかかる負荷がものすごい量に増えているため、ある程度内圧を上げるのは避けられないと説明した。

「前年に取得したマシンのパフォーマンスをまず把握する。6月末までに最初の特別なシミュレーションを行ない、12月に2回目のシミュレーションを行なって、翌年のマシンのパフォーマンスを予測する。これは、パフォーマンスがどこまで進むのかというアイデアを得ることに過ぎない」

「その後、各イベントの3週間前に各チームのシミュレーション結果を受け取り、これを使って最大のキャンバー角と最低空気圧を定義することができる」

「最低空気圧は、さまざまな要素に左右される。直線での速度、負荷のレベル、高速コーナーの数、摩耗、かかるエネルギーなどだ。つまり、タイヤを安全に使うために考慮すべきパラメータが数多くあるのだ」

「毎年、タイヤにかかる負荷のレベルは確実に上がっている。興味深いことに、2011年の負荷と比較すると、今はおそらく2倍かそれ以上になっている。タイヤにかかるストレスがはるかに大きいことが、想像できるだろう」

「毎年、タイヤの新しい構造をホモロゲーションする時の目標は、新しい素材とコンセプトを取り入れ、より強いタイヤを作ることなんだ。重くするのではなく、同じ内圧でもより強いタイヤにするということだ」

「我々はできるだけ内圧を低く保とうとしている。内圧を低くすれば、タイヤの接地面積を最適化することができるからね。しかし各チームは、タイヤの構造をホモロゲーションした段階でマシンのパフォーマンスを上げてくる……シーズン序盤は内圧を低くしてスタートできたかもしれないけど、シーズン中はタイヤの内圧を上げて、パフォーマンスの向上に対応しなければいけないんだ」

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