交差点を曲がるだけで実感できるドライビングアシスト機能
ロードスターを除いた、ほとんどのマツダ車には「G-ベクタリング コントロール」という機能が備わっている。さらに、SUVの上級モデル「CX-5」と「CX-8」では「G-ベクタリング コントロール プラス」という進化版が与えられている。
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この機能を非常に大雑把に言うと、コーナリング性能を高めるものである。そう聞くとなかなか日常では感じづらいという印象も受ける。しかし、マツダの「G-ベクタリング コントロール」は限界性能を上げるという機能ではなく、クルマの動きをスムースにして、ドライバーは運転の楽しみが増し、同乗者は揺れの少ない快適なドライブが楽しめるというドライビングアシスト機能だ。
具体的には、コーナリング全体における進入(減速G)、旋回(横G)、立ち上がり(加速G)というG(加速度)のつながりを滑らかにすることが狙いだ。そのためにステアリングの微小な操作に対して、エンジンの出力を微調整することで荷重移動をアシストしている。
たとえばステアリングを切り込もうとするとエンジン出力を絞って前輪に荷重を載せ、応答性を高めるといった制御をしている。逆にコーナーからの立ち上がりでは駆動トルクを元に戻して、後輪に荷重を移し、車両安定性を増している。それもこれも、瞬間的にわずかなトルクをレスポンスに優れたエンジンを持っているから可能になった技術である。
こうしたドライビングアシストはコーナリングの気持ちよさだけにつながるわけではない。真っ直ぐ走っているときの路面の凹凸などによる修正舵も最小限としてくれるので、疲労感を抑えることもできる。さらに、結果的にステアリング・レスポンスを高めてくれるので緊急回避のときにも有効なのだ。
また、「CX-5」と「CX-8」では「G-ベクタリング コントロール プラス」ではエンジン出力の微調整に加えて、ブレーキによる車両姿勢制御(ヨーモーメント制御)を“プラス”している。これにより、さらに運転しやすく、車両安定性を高めることに成功した。
ここまで読めばおわかりいただけただろう、「G-ベクタリング コントロール」は、どんなスピードであっても、運転をアシストしてくれるし、ドライバーは上手になった気分が味わえるデバイスだ。だから、直線を走って、そこから交差点をひとつ曲がるだけで、その差は明確に出てくる。つまり、ディーラーにおける市街地試乗でも十分に効果は味わえるはずだ。
ただし、電子制御にありがちな介入感はまったくなく、かなりナチュラルな仕上がりとなっているのも美点であり、「G-ベクタリング コントロール」の機能がないクルマと乗り比べをしないと、その差が存外に大きいことには気付きにくいかもしれない。
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