この記事をまとめると
■FIA世界耐久選手権に2022年から参戦しているフランスのプジョー
2024年のFIA世界耐久選手権ハイパーカークラスを盛り上げるのはアルピーヌだ! テスト中の新マシン「A424」のフィーリングをチーム代表に聞いた
■出場マシンでもあるプジョー9X8は2020年のル・マン24時間耐久レース前に発表された
■680馬力の2.6リッターV6ツインターボエンジンで後輪を駆動し、前輪にはモーターを備える
2022年からLMHクラスで戦うプジョーのハイパーカー
2021年から新たなトップカテゴリーとしてLMH(ル・マン・ハイパーカー)クラスが導入されることが決定したWEC(FIA世界耐久選手権)。LMHはそれまでのLMP1車両に代わる存在となるモデルで、市販されるハイパーカーをベースにコンペティションモデルを製作するのがその基本。
エンジンはリヤミッドに搭載され、駆動輪は後輪。フロントには最高出力で272馬力のエレクトリックモーターの搭載が可能で、システム全体の総合出力は680馬力に制限されるというのが大まかな車両規制だった。
このLMHクラスに2022年からプジョーが進出するという発表をしたのは2020年9月、この年のル・マン24時間レースがスタートする前日のことだった。
この時点ではまだ搭載エンジンの詳細など、その細かな仕様は明らかにされなかったが、その開発はプジョーのモータースポーツ部門であるプジョースポールと、フランスの石油会社大手、トタルのコラボレーションによって進められること。そしてあくまでも現在の段階でレギュレーションから予想した姿にすぎないと前置きして公開された3枚のデザイン・スケッチが公開されたのみだった。
ヘッドライトやテールランプには、一般のプジョー車にも見られる3本線のライティングが採用され、それによって1992年と1993年のル・マン24時間を制した905、あるいは2009年の同レースで勝利を飾った908のDNAをまずは表現してきた。
開発が進むなか、徐々にその詳細が明らかになってきたプジョーのLMHカー。2020年12月にはミッドに搭載されるエンジンが2.6リッターのV型6気筒ツインターボガソリンであることや、これに7速のギヤボックスを組み合わせることなど、主要なメカニズムの構成も発表され、さらに2021年7月にはその車名が「9X8」であることも明らかにされた。
リヤウイングなしでもダウンフォースを発揮する斬新スタイリング
「9」とは905や908といったル・マンウィナーの後継車であることを示し、「X」は駆動方式が全輪駆動であること、そしてそれを実現するためにフロントにエレクトリックモーターを搭載していることを表し、最後の「8」はプジョーの現行モデルの末尾に添えられるものと同じ数字を掲げることで、9X8もまた最新のハイパーカーであることを強くアピールしたものと考えられる。
注目のスペックは、フロントのモーターが272馬力、ミッドのV型6気筒ツインターボエンジンが680馬力で、これはLMHカーのレギュレーションにおける上限値。
ちなみにシステム全体での最高出力も680馬力に制限されているので、エンジンがフルパワーを発生している状況下では、フロントのエレクトリックモーターは駆動できない。バッテリーはプジョースポールと、トタルの子会社であるサフトとの共同開発と発表されている。
正式発表前に公開されたデザインから、実際の9X8のデザインが大きく異なるのは、リヤウイングが備わらないことだ。これはリヤウイングによって得られるダウンフォースがなくても、レギュレーションで定められた、その最大値をクリアすることができたためだったが、2024年シーズンでは、新たなアップデートのなかに、リヤウイング装着というメニューも用意されているという。
ちなみに、この9X8の市販モデルには、2021年に発表された新しいプジョーエンブレムを始め、最新のインテリアデザイン、i-Cockpitコンセプトが採用されている。今後のレースでの活躍に期待したい1台だ。
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みんなのコメント
しっかりとした空有力学で考えられた設計とデザインなのでしょう。
賞賛します。
あの位置が一番効率が良いのも理解しているんですけどね・・・