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残価率も中古価格も下落気味! SUV人気は変わらずも価値に変化が起きているワケ

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残価率も中古価格も下落気味! SUV人気は変わらずも価値に変化が起きているワケ

 この記事をまとめると

■初代トヨタ・ハリアーの登場によりそれまでのSUVの概念と価値が一変した

超売れ筋車種でもリセールが高いとは限らない! 下取りで高値が付くクルマの条件とは

■SUVは残価率の高さがウリだったが納期遅延解消により残価設定額は落ち着きを取り戻しつつある

■SUVが適正価格になりつつあるなか、ノア&ヴォクシーはアルヴェルの受け皿として再販価値を上げている

 初代トヨタ・ハリアーがSUVを変えた

 世界的に人気が高いのがSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)。もともとは、荒野を走るのがぴったりなような、表現するとしたらジープを乗用車っぽくしたような感じのモデルで、狩猟などで山間部を走るなどの目的が主なこともあり、3ドアタイプがメインであった。かつては「SUV版ロールスロイス」といわれたレンジローバーも、英国貴族がキツネ狩り(現在は禁止されている)に行ったあとにそのまま街へ出てもおかしくないようなSUVということで開発されたともいわれている。

 日本でも1990年代あたりに背面にスペアタイヤを背負った、「クロスカントリーSUV」といわれたモデルがアウトドアブームとともに大人気となり、各日系メーカーがラインアップしていた。

 SUVの風向きが変わったのは初代トヨタ・ハリアー(海外名:初代レクサスRX)であった。「セダンとSUVのクロスオーバー」スタイルを採用した初代ハリアーは、日本よりも世界市場において、レクサスと言うプレミアムブランド扱いとなり、「泥臭さのない都市型クロスオーバーSUV」という衝撃を与えた。世界的にはほぼそれまで見たことのない新しいジャンルとして受け入れられたのである。

 それまでは、ほぼトラックシャシーベースのSUVしか存在していなかったアメリカでは、SUVの販売台数は小型ピックアップトラックと合算されていた。しかしその後、各メーカーからハリアーにインスパイアされたかのように続々とクロスオーバーSUVが登場してくるようになり、いまではSUVという独立したカテゴリーでカウントされている。たとえば2022暦年(1~12月)締め年間新車販売台数では、総台数の約54%がSUVとなっている。

 SUVが販売の主流となっているのは、中国、欧州、東南アジアなどで、世界へ拡大しており、日本でも世界のトレンドに少し遅れる形でSUVのラインアップが増えて人気となっている。

 日本国内にてSUVが高い人気を維持する理由のひとつが再販価値の長期間の高値傾向にある。トヨタや日産、ホンダあたりのSUVはとくに人気が高いのだが、日本で使われたあとの日系メーカーのSUVの結構な台数は、ロシアなど海外に輸出される。低年式から高年式までとにかく日本からの中古SUVは海外で人気が高い。日本の道路整備は整っておりクルマ自体のへたりも少なく、一般的には諸外国に比べると走行距離も少なめとなっている。ロシア辺りでは日本の中古車の走行距離はならし運転程度ともいわれているとの話を聞いたことがある。

 いまほどSUV人気が高くなっていなかった15年ほど前でも、初度登録から10年以上経過し、過走行(10万km以上)で内外装も傷んでいる下取り予定車を、あるセールススタッフが出先で下取り査定してざっくりと10万円の値付けして営業所に戻ってきたあと、よく調べたら60万円になったといった話も聞いたことがある。それ以降は出先での下取り査定はできるだけ控え、低年式で価値がほとんどないように見えても、目測だけではなくしっかり調べながら査定するようになったそうだ。

 再販価値は落ちてもSUV人気に陰りは見えない

 新車購入の際に残価設定ローンの利用が目立ってきているのもSUVブームに拍車をかけた。3年や5年後の当該車の残存価値を設定残価率から算出し、支払最終回分として据え置くことで月々の支払負担が軽くなるのだが、セダンやコンパクトハッチバックに比べれば、同年式車で比較してもSUVのほうが残価率は高いケースが目立っている。しかも、人気が高いので設定残価より値落ちスピードが遅いケースも多く、支払い途中で下取り査定額にて残債整理してもお釣りが残る車種も珍しくなかった。

 しかし、そんなSUVの高い再販価値にも陰りが見えてきていると販売現場で聞いた。事情通によると、「再販価値が下がったというよりは、2022年あたりからの新車の深刻な納期遅延により新車を待てない人が中古車に流れる現象が顕著となりました。しかし、中古車市場も新車の納車が進まなければなかなか市場にタマ(中古車)は流通しないので、買い取り額が急騰し、その流れで販売価格も異例ともいえる高騰となりました。つまり、ここのところの高値状態が異常なだけで、通常に戻ってきたといったほうが状況説明としては正しいかもしれないですね」とのことであった。

 新車の納期遅延も2022年より現在のほうがはるかに改善しており、中古車市場でも完全復調とまではいかないものの、目立ったタマ不足傾向は改善されている。そのため、中古車販売価格が落ち着きを見せており、下取りや買取価格も落ち着いてきているというのが現状のようである。

 たとえば、2020年6月に登場した現行トヨタ・ハリアーは、発売以来HEV(ハイブリッド車)の4WD Zレザーパッケージが深刻な納期遅延や新規受注停止を繰り返していたが、売れ筋のZレザーパッケージの生産比率を高めていることもあるようで、本稿執筆時点で注文を入れても他グレードより早めの2024年5月以降が納車予定時期となっている。つまり、新車の納車が待ちきれないからと中古車を探す必要もないのである。

 SUVの再販価値全体が下がったというよりは、ここのところの一時的な狂乱的再販価値上昇が収まりを見せたというのが本当のところのようだ。

 再販価値が上昇しているモデルもあるという情報も入っている。それはトヨタ・ノア&ヴォクシーだ。短期間での乗り換えが少ないこともあり、さらに新車販売での大幅値引きが恒常化していたので、高年式車ほど割高感が目立っていたのだが、ここ最近はそれがより顕著になってきているというのである。

 ノア&ヴォクシーは、数カ月先に一部改良を控えており、抱えるバックオーダー消化のためにそろそろ全面的な新規受注停止になるとされているが、ここ最近は、2年待ちも覚悟といわれていた納車予定時期が飛躍的に改善されていたので、新車購入希望者が中古車に流れるというケースも想定しにくい。

 新車販売では新型アルファード&ヴェルファイアの価格が高くなってしまい、ノア&ヴォクシーに流れるという現象も起きていると聞く。そのような流れのなか、中古車でも、すでに主要メーカーオプションを装着した希望車種ならば新車よりも短期間で手にすることができるということもあり、一部新型アルファード&ヴェルファイアの客が流れ、引き合いが多くなって再販価値が上向いているのかもしれない。

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みんなのコメント

16件
  • mamo
    SUVに限らずすべての車だよ。旧車や玉数少ない車以外はもう従来通りになるよ。
  • mid********
    流行りモノはブームで大量に売れた商品が中古市場に出るとき、流行が収束して需要が減っているから安くなるのは当然だ。
    SUVは便利に使えるから、そこそこの値段で持ち堪えるだろうけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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