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ジェイテクト CASE時代に向け開発を加速

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ジェイテクト CASE時代に向け開発を加速

電動パワーステアリングや4WDシステムの「ITCC」などで世界No1のシェアを誇るサプライヤーとして知られるジェイテクトが、2019年の事業総括と、新規ビジネスのプレゼンテーションを行なった。

2019年の事業に関して、ジェイテクトの安形哲夫社長は、原価改善などを推進したものの、主要な部品の販売価格の低減要求が強く売上高もダウンしたことと、予想より円高に推移したこと、さらにCASEに対応する研究開発費の増大などにより、大幅減益になったことを説明した。

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そのため通期見通しも、円高が依然として進行していることなどを考慮し、当初より売上高は5.3%ほど低い見通しに修正し、減収・減益になるとしている。しかし、こうした状況においてもCASE対応の取り組みはさらに進めるという。

CASE時代に向けての取り組み

ジェイテクトは、デンソー、アイシン、アドヴィックスとの合弁会社である「Jクワッド・ダイナミックス」に加わっており、自動運転用の統合制御システムの開発を行なっている。中でもジェイテクトはステアリング系ユニット、ステアリング制御システムなどを担当している。

具体的には、自動運転時のシステムとドライバー間での操舵権限の移譲技術や高精度な操舵角制御などの研究開発を行なっている。また乗用車より早い時期に実現すると予想されるトラックやバスなど大型輸送車両用自動運転システムに関しては、産学官が連携する次世代交通システムに位置づけられている。

ジェイテクトが開発しているコラム同軸・電動アクチュエーター付き油圧パワーステアリング・システムは内閣府の戦略的イノベーション・プログラム(SIP)や、経産省の次世代物流システム・プロジェクトに参画している技術だ。そして、このステアリング・システムと、バス停への正確な発着を行なう「正着制御」を搭載したバスが、2020年に東京・臨海地区で行なわれるSIP自動運転プロジェクトの一環として羽田空港周辺で実証実験が行なわれることになっている。

また、ジェイテクトは電気駆動化にも対応し、電気駆動車向けオイルポンプ、駆動モーター用の軸受や電動アクチュエーター、リチウムイオン電池生産ライン・システムなどの分野でもさらに技術開発、販売促進を加速させることになっている。

例えば、ガソリン車のアイドルストップに対応したトランスミッション用電動オイルポンプを電気自動車の駆動モーター冷却用のオイルポンプとして活用したり、独立制御のモーターをリヤ駆動システムに使用するなど既存技術を使用して新規製品とする戦略だ。

新規開発製品

ジェイテクトが以前から開発していた高耐熱リチウムイオン・キャパシターは、2019年10月から花園工場で量産が開始されている。このキャパシターは-40度~+85度(電圧制限をすれば105度でも作動)という高耐熱性を持つため、自動車用に最適で、ラックパラレル式電動パワーステアリング(RP-EPS)の補助電源システムとして使用されることが決定している。大型車でステアリングに高負荷がかかるケースでは12V電源だけではEPSモーターの出力が不足するような時に補助電源として使用するのだ。

また自動運転時代には、電源喪失などに備えた2重電源化によるバックアップ(フェイラー・オペラビリティ)が必須で、高耐熱リチウムイオン・キャパシターは非常用電源としても最適とされている。

またこの高耐熱リチウムイオン・キャパシターは、乗用車用以外に、工作機械、農機、建設機械、医療機器、航空機や人工衛星など、幅広い分野ので利用が想定されており、実際に他産業からの問い合わせも極めて多く、将来性が期待されている。

次世代に向けたポートフォリオでは、少子高齢化、労働力不足、環境問題など社会的な課題に向けて、ジェイテクトが持つ技術を適用し、新たなビジネスに繋げる戦略を掲げている。

その一環として、すでにジェイテクトは女性労働者や高齢な労働者のための工場作業者用のパワースーツの開発などを行なっており、今回、高齢者などの自立歩行を支援する「J-ウォーカー・テクニック」が披露された。従来からある歩行器にウォーキング運動機能をプラスしたのが「J-ウォーカー・テクニック」で、モーター内蔵の歩行器に歩行中の腕振り運動を行なえるようにハンドルは自由に伸縮するようになっている。

またこの「J-ウォーカー・テクニック」はスマートフォンと連携し、歩行距離や心拍数などを記録でき、さらに介護施設側ではトレーニング効果のデータなどの蓄積、整理ができるようなシステムを想定している。現在は実際に介護施設等と協力し、実証実験を行なっているという。

これ以外に、新たな井戸水管理システムも将来性のある技術と想定されている。現在の社会的な課題としてグローバル規模で水不足が恒常化しており、特に新興国の水不足が問題となっている。特にインドなどでは人口増、経済発展により水不足が深刻化しているという。そのためジェイテクトが持つ水位計の技術と最新のIoT技術を組み合わせ、井戸の流入量、揚水量をセンサーと通信技術を使用しクラウドで最適管理し、井戸を枯れさせず、長寿命化を図ることを目指し「J-ウェル」を開発中だ。

このシステムは、水不足が深刻なインドを最初の市場と考え、実証実験を展開する計画となっている。

ジェイテクトは、ソフトウエア・ビジネスでは製造業マッチング・サービス「ファクトリー・エージェント」も新規に展開している。ジェイテクトは全国の工場への工作機械の納入実績も多いため、工場を持つ製造業の実態に詳しいため、特に中小製造業において、後継者のいないという課題や稼働率の低迷という問題を抱えている現状に効果的なソリューションを生み出している。

こうした製造業にスタートアップや大学からの試作依頼など従来にはなかった業務、発注先をクラウド上でマッチングさせるというのが「ファクトリー・エージェント」で、新たなビジネスとして動き出している。

「ファクトリー・エージェント」のシステムとしては、発注先は複数社同時見積もり、製造過程の進行管理、納品、検収、支払いなどをすべてサイト上で完結できるようになっている。

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