元祖「量産型電気自動車」、三菱i-MiEV(アイミーブ)がマイナーチェンジにより軽自動車枠をわずか80mm超える全長となり、白いナンバーの登録車になった。i-MiEVマニアであれば、そのフォグランプを内蔵した新バンパーが海外仕様のそれと同形状なことに気付くだろうが、マイナーチェンジで全長を伸ばした目的はグローバルモデルとしての共通化ではない。
今回のマイナーチェンジでバンパーが延長した理由は、歩行者保護の新基準適合(法規対応)のためである。いわゆる歩行者脚部保護の基準が、継続生産車であっても平成30年2月24日の製作者には課せられるようになった。そのため、フロントバンパーの大型化が必要となったのだ。電気自動車のi-MiEVとしてのデビューが2009年、そもそもガソリンエンジンを積んだ軽乗用車「i」のデビューが2006年と基本設計が古いこともあり、歩行者保護の新基準に適合させるには、全長拡大が必須となった。
軽自動車の規格から飛び出るということは税金など軽自動車が持つ維持費のメリットを失うことでもある。そうなってしまったことについて「サイズを守ることが適わなくなりました」と表現する関係者もいるように、けっして良しとしているわけではないが、歩行者保護の新基準に適合できなければ生産終了となるわけで、苦渋の決断だったといえる。
その代わりといっては何だが、前後フェンダーの張り出し感を強調したデザインの前後バンパーや、スポイラー形状を強調したサイドエアダムを新採用することで、i-MiEVらしい独特のスタイリングを強調している。それにしても、もともとリアエンジンとして設計されたというユニークな生い立ちもあって、そのスタイルが持つ未来感は色あせない。なお、ボディサイズの変更は、全長のみとなっている(全長:旧型3,395mm から 新型3,480mm)。
ちなみに、i-MiEVが登録車になってしまったことで、軽自動車からEV(電気自動車)が消滅した、と思ってしまうかもしれないが、そうではない。三菱の軽商用EVであるMINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)はラインナップに残っている。商用ではあるが、軽乗用車のEVは健在だ。
(文:山本晋也)
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