ダイハツの新車開発情報を立て続けにキャッチしました。
思えば昨年末から今年にかけて、スズキがスペーシア、クロスビーと新車攻勢を仕掛けてきております。これに「押されっぱなし」のダイハツではありません。もちろん対抗策を用意しているようです。
すべてわかった!! SUVの目玉! スバル新型フォレスターの全貌
本稿ではダイハツが着々と進めている魅力的な新型車開発をキャッチした、流通ジャーナリストの遠藤徹氏に解説していただきます。
文:遠藤徹
■ラッシュ/ビーゴ後継車、着々と開発が進んでいる
ダイハツの開発企画関係者によると、
「東京モーターショー2017に参考出品したような1LクラスのベーシックコンパクトSUV(「DN-TREC」のこと)の市販化に向けた開発は確かに進めている」
と筆者に断言している。
したがって近い将来、このクラスの新型車を国内投入するのは間違いなさそう。
昨年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「DN TREC」。コンパクトサイズのSUVで市販化に向けて開発中とのこと
コンセプト的にはスズキのクロスビーに近い。搭載するパワーユニットは3気筒1リッターNAやターボで、2WD、4WD、CVTを組み合わせたパワートレインになる。
プラットフォームはトールやブーンまたは同クラス用の新開発ユニットを採用する。
発売時期は開発の進捗状況にもよるが、2020年秋頃が有力。
当然トールやブーンのように、ダイハツブランドだけでなくトヨタブランドでも併売(OEM供給)を予定。いってみれば、2006年~2016年に販売されていたラッシュ/ビーゴの後継車となる(C-HRが事実上の後継車となっている)が、それよりもワンサイズ小さい設定になりそう。
冒頭のダイハツ開発企画関係者によると、
「当社の小型車用プラットフォームは現在ひとつだけだが、将来はもうひとつ加える。1.5Lのコンパクトクラスまで守備範囲を拡大するのを考慮したものだ」
と突っ込んだ説明をする。これは何を意味するか。
SUVであればホイールベースの長い3列シート6~7人乗り用だし、3列シートのコンパクトミニバンも考えられる。
トヨタの現在のSUVラインアップはC-HRが最も小さいが、こちらはコンパクトよりやや上級タイプであり、ライバル他社のコンパクトSUVよりも価格が高めの設定になっている。
つまり車両本体が消費税込200万~250万円の価格帯についてはオープンポイント(ラインアップの「隙間」)になっているので、これをカバーする狙いがありそう。
ダイハツサイドから見るとライバルのスズキが設定したクロスビーの対抗馬であり、メーカーや系列店にとっては収益力の高い登録車のベーシックコンパクトSUVの投入で、軽自動車に偏りがちな商品ラインアップを是正するメリットにも考慮しているといえるだろう。
◆ダイハツ開発関係者の話
昨年(2017年)に開催した第45回東京モーターショーに参考出品したSUV、ミニバンのプロトタイプ2モデルは将来の市販を想定して製作したものだ。
ダイハツの小型車はこれまでひとつのプラットフォームだけだったが、近い将来にはもうひとつ加えてふたつとする方針だ。これによって1~1.5Lクラスまでの守備範囲に拡大される。モデルラインアップは現在の5ドアハッチバック、ハイトワゴンにSUV、3列シートミニバンが加わる。いずれもダイハツブランドのほか、トヨタにOEM供給し量産効果を図ることになる。
◆首都圏ダイハツ販売店の話
これまでダイハツは、東京モーターショーにプロトタイプを参考出品するとほとんどが1~2年後に市販されてきた。なので「DN-TREC」のようなコンパクトクラスの新型クロスオーバーSUVの投入は間違いないと予想している。
これでスズキのクロスビーと対抗できるようになる。
軽自動車よりも小型車の方が利幅は大きいので販売店にとってはぜひ扱いたいモデルと受け止めている。
ただ多くの場合、トヨタブランドと併売になるので、販売力で大差をつけられる。しかもトヨタ系列店扱いとなると、おそらく全チャンネル扱いだから、トールのように販売施策(低金利キャンペーンや値引き)を積極的に展開することになると思う。
■次期型タントに新ハイブリッドが!? 間に合うか!?!?
続いてもう一台の新型車の動向も紹介しておく。
こちらは2018年中にデビューすると見られている、新型タント。
次期新型タントは今年末をめどに開発が進められている。ダイハツの開発企画関係者によると、
「次期型はプラットフォーム、エンジンなど基本コンポーネント、足回りのすべてを刷新する気合の入ったモデルで自信をもって送り出したい」
と胸を張っている。
今年の末にも登場予定の新型タント(本誌予想CG)。ライバルであるホンダN-BOXやスズキスペーシアを使い勝手や燃費で上回る狙い
概要はホンダN-BOXが採用しているエンジンを傾け、前方へ移動させるレイアウトを採用することで、同クラス最大の居住空間を実現させる。
軽自動車の場合、ボディサイズが決まっているので、こうしたパワーユニットのレイアウト変更で室内スペースの最大限確保が重要になる。
現行型と同じように助手席側のセンターピラーをレスにすることで大きな荷物や長尺物の出し入れをスムーズにし、使い勝手の向上を図るのは従来モデルと同様。
パワートレインは熱効率を向上させた新開発660cc、NAエンジンユニットを搭載。省燃費&高性能を高次元で両立させている。
いっぽう噂されているダイハツ製の新型ハイブリッドについても新情報。
「モーターアシスト方式のマイルドハイブリッドは、スズキが先行しており追随になるので採用しない。現在、1モーター&リチウムイオンバッテリー方式でEV走行可能な軽用ストロングハイブリッドの開発を進めており、これが間に合えば同時に搭載車を発売する」(冒頭の開発関係者)
という。
フルハイブリッドユニットは当然親会社であるトヨタの技術協力によるものだが、現在トヨタは2モーター方式だけしか持っていないが1モーターやマイルド方式も開発しているので、ダイハツへの供給は可能といえる。2モーターではなく、1モーターを採用するのはコスト面を配慮しているのはいうまでもない。
軽自動車ではフルハイブリッド化は両側スライドドアで重い車両ほど低燃費の効果が期待できるので、次期型タントが第1弾として採用を目指しているようだ。したがってミライースのような軽いボディへの設定はない。
安全パッケージ「スマートアシスト3」はさらに自動ブレーキの停止速度を高めるなど進化させるが、「3」を外して別の呼称で命名する可能性もある。
現行タントは2017年1~12月累計販売台数(軽のみ)でホンダN-BOX、ダイハツムーヴに続いて堂々3位(14万1312台)の売れ行き。それでも前年比90%とやや落ち込みが見える。もし年末にフルモデルチェンジと新型ハイブリッド追加なら、来年は一気にトップも狙える実力車
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