現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スカイラインの生みの親は「プリンス」! たった10年足らずしか存在しないのに「伝説」となった自動車メーカー

ここから本文です

スカイラインの生みの親は「プリンス」! たった10年足らずしか存在しないのに「伝説」となった自動車メーカー

掲載 16
スカイラインの生みの親は「プリンス」! たった10年足らずしか存在しないのに「伝説」となった自動車メーカー

 この記事をまとめると

■日産と合併する前のプリンス自動車工業が生んだクルマをプレイバック

ゴーン容疑者の功罪! カルロス・ゴーン氏がいなければ誕生しなかったであろう日産車5選

■プリンスから誕生したクルマの一部が日産を支えていた

■今でもプリンス自動車出身のクルマとしてスカイラインが生き残っている

 技術者集団の”プリンス”があったからこそ日産の名車が生まれた

 日産系列の販売会社を調べると日産プリンス●●販売(●●は地名等が入る)という社名の会社が見つかる。この「プリンス」という言葉が何に由来しているのか、ご存知だろうか。

 古くからのファンであれば常識かもしれないが、プリンスというのは「プリンス自動車工業」に由来する。同社は1966年、日産自動車に吸収合併されたが、プリンス自動車の販売店にルーツを持つ企業は存続、いまでも社名に残っているというわけだ。

 では、プリンス自動車とはどんなメーカーで、どのようなモデルを作っていたのだろうか。

 いまだに名前が残っていること、古くからのファンには伝説的な名前になっていることなどから歴史のある大きな会社だったと思うかもしれないが、結論からいうと「プリンス」という名前の自動車メーカーは10年足らずしか存在していなかった。

 その前身は「たま自動車」といい、プリンス自動車工業という名前になったのは1952年秋。この段階ではブリヂストンの創業者・石橋正二郎氏が主要株主となっていた。それから約1年半後の1954年春には、やはり石橋氏がオーナーとなっていた「富士精密工業」との合併に伴い、富士精密工業へと社名が変わる。その後紆余曲折があって、1961年春にふたたびプリンス自動車工業へと社名を変更したが、前述したように1966年夏に日産自動車に吸収され、その名前は失われた。

 このように会社として存続していた時期が短たこともあって、プリンスが作っていた乗用車は、実質的には2モデルしかないといえる。それが「グロリア」と「スカイライン」だ。そしてスカイラインがあったからこそ、プリンスの名前は伝説になった。

 その伝説的マシンこそが「スカイラインGT-B」だ。

 当時、各自動車メーカーがしのぎを削った日本グランプリで勝利するために、1.5リッタークラスだったスカイラインのフロントを伸ばして2リッター6気筒エンジンを詰め込んだのがスカイライン2000GT(1964年4月)で、第二回 日本グランプリでポルシェ904と互角に戦い、結果として2~6位にスカイラインが並んだことで、日本のスポーツセダンとして「スカイライン」の名前は記憶されることになった。

 よく知られるスカイラインGT-B(1965年2月)は、その2000GTにオプション設定だった3連ウェーバーキャブを標準装備したバージョン。第二回 日本グランプリで活躍したのはGT-Bと誤解されがちだが、レース用のホモロゲーションモデルがスカイライン2000GTで、レース仕様に近い状態にチューンナップした市販モデルがスカイライン2000GT-Bと捉えておくほうが正しい理解といえる。

 スカイラインがあり続ける限りプリンスの意思は受け継がれる

 さて、2000GTのベースとなったスカイライン(S50型)とは、どんなクルマだったのか。一言でいえば、日産ブルーバードやトヨタ・コロナをライバルとして想定したコンパクトなファミリーカーだった。ボディサイズは、全長4100mm・全幅1495mm・全高1435mm、スタンダードグレードのエンジンは1484ccの直列4気筒OHVで、最高出力は70馬力というものだった。

 ちなみに、2000GT-Bのボディサイズは全長4255mm・全幅1495mm・全高1410mm、1988ccの直列6気筒エンジンは125馬力を発生していた。いまでいうエボリューションモデルとして、どれだけインパクトがあったか理解できるだろう。そして2000GT-Bも全幅はベースと同じで、1.5m以下だったのは時代を感じさせる。

 ところで、スカイライン2000GTが積んだ6気筒エンジンを最初に搭載していたのが上級サルーンの「グロリア(S40型)」だ。1932年9月のフルモデルチェンジ時には、1862ccの4気筒OHVエンジンを積んでいたが、翌年に追加された「グロリアスーパー6」には国産2リッターモデルとして初めて直列6気筒SOHCエンジンが搭載された。そして、この「G7型」エンジンがスカイライン2000GTに展開されることになった。なお、グロリアスーパー6のボディサイズは、全長4650mm・全幅1695mm・全高1480mm、最高出力は105馬力となっていた。

 そんなグロリアが誕生したのは、スカイラインの変節が背景にある。コンパクトなファミリーセダンとなったS50型はスカイラインとしては2代目で、初代スカイラインはもっと大柄なボディの上級サルーンだった。こちらはトヨタ・クラウンや日産セドリックをライバルとして想定したモデルであった。つまり、初代スカイラインの後継モデルがグロリアで、2代目スカイラインはまったく別のカテゴリーにシフトしたのである。

 そんな初代スカイラインにはいくつかのバリエーションが用意されたが、いま見ても新鮮なスタイリングで印象的なのはスカイラインスポーツ(BLRA-3型)だろう。イタリアのカロッツェリア「ミケロッティ」に依頼したというボディデザインは、国産車とは思えないほどエキゾチックでセクシー。つり目に配置した4灯ヘッドライトも印象的だ。

 ほぼハンドメイドで作られたというスカイラインスポーツの総生産台数は、クーペとコンバーチブルを合わせても60台足らずといわれている。販売実績としては失敗作だが、スカイラインというブランドの礎となった存在としては忘れるわけにはいかないだろう。

 あらためて振り返ると、もともとプリンスのモデルに使われていたスカイラインという車名がいまだに現役で、しかも日産ブランドにおいて欠かせない存在になっているのは意外といえば意外だ。そしてスカイラインの名前が続く限り、プリンス自動車の伝説は折を見て思い返されることになるのだろう。

こんな記事も読まれています

日本生まれ育ちはドイツ? 日産とワーゲンの合作名車[サンタナ]の評価はいかに 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】
日本生まれ育ちはドイツ? 日産とワーゲンの合作名車[サンタナ]の評価はいかに 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】
ベストカーWeb
SYM「ジェット X」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
SYM「ジェット X」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
オフロードに強いクールな一台! 三菱 デリカD:5がベースのキャンパー
オフロードに強いクールな一台! 三菱 デリカD:5がベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[クラウンスポーツ]より14年も早かったの!? 早すぎた[スカイラインクロスオーバー]今思えばアリじゃない!?
[クラウンスポーツ]より14年も早かったの!? 早すぎた[スカイラインクロスオーバー]今思えばアリじゃない!?
ベストカーWeb
えぇ……エンブレム多すぎじゃない?! 主張が激しすぎた日産ミニバンのパイオニアがヤバすぎ
えぇ……エンブレム多すぎじゃない?! 主張が激しすぎた日産ミニバンのパイオニアがヤバすぎ
ベストカーWeb
椅子取りゲームとプラマック×ヤマハ。ヤマハが新型エンジンで試す事/MotoGPの御意見番に聞くオランダGP
椅子取りゲームとプラマック×ヤマハ。ヤマハが新型エンジンで試す事/MotoGPの御意見番に聞くオランダGP
AUTOSPORT web
KINTO 法人・個人事業主向けサポートデスク開設 ユーザーごとに専任担当が対応
KINTO 法人・個人事業主向けサポートデスク開設 ユーザーごとに専任担当が対応
グーネット
参加型イベント「マツダファンフェスタ2024」開催!家族でマツダ車を満喫する2日間に
参加型イベント「マツダファンフェスタ2024」開催!家族でマツダ車を満喫する2日間に
グーネット
軽自動車にナンバーの[封印なし]!! [車庫証明]も不要な意外なワケ
軽自動車にナンバーの[封印なし]!! [車庫証明]も不要な意外なワケ
ベストカーWeb
アバルト「695」最後を飾る限定車!ゴールド×黒のコントラストで重厚感を演出
アバルト「695」最後を飾る限定車!ゴールド×黒のコントラストで重厚感を演出
グーネット
三菱「トライトン」が“移動するDJブース”に!全国のダンスイベントを盛り上げる
三菱「トライトン」が“移動するDJブース”に!全国のダンスイベントを盛り上げる
グーネット
333馬力を放つ『ゴルフR』『Rヴァリアント』が世界初公開。進化を続けるフォルクスワーゲン最強モデル
333馬力を放つ『ゴルフR』『Rヴァリアント』が世界初公開。進化を続けるフォルクスワーゲン最強モデル
AUTOSPORT web
大変失礼だけど[イタフラ車]だけで大丈夫なの!? しかも土地代バカ高い世田谷だよ!? 老舗ラテン系専門中古車店のビジネスの実態が衝撃
大変失礼だけど[イタフラ車]だけで大丈夫なの!? しかも土地代バカ高い世田谷だよ!? 老舗ラテン系専門中古車店のビジネスの実態が衝撃
ベストカーWeb
アロンソの“個人的な要望”から生まれたV12+6MTの限定車『ヴァリアント』がグッドウッド出走へ
アロンソの“個人的な要望”から生まれたV12+6MTの限定車『ヴァリアント』がグッドウッド出走へ
AUTOSPORT web
「失敗作の汚名挽回!!」大胆イメチェンで一発逆転!! 大成功したクルマたち
「失敗作の汚名挽回!!」大胆イメチェンで一発逆転!! 大成功したクルマたち
ベストカーWeb
ガソリンがリッター424円! 激高なアウトバーンのスタンドで給油せずに節約するためにとった方法とは?【みどり独乙通信】
ガソリンがリッター424円! 激高なアウトバーンのスタンドで給油せずに節約するためにとった方法とは?【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
フォルクスワーゲンが新型車5モデルを同時に発表|Volkswagen
フォルクスワーゲンが新型車5モデルを同時に発表|Volkswagen
OPENERS
【635ps/750Nm】トップ・オブ・新時代ディフェンダーあらわる ランドローバーからディフェンダー・オクタ発表
【635ps/750Nm】トップ・オブ・新時代ディフェンダーあらわる ランドローバーからディフェンダー・オクタ発表
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

16件
  • >「ポルシェ904と互角に戦い」

    実際はそんな次元ではなく、904の式場さんが「もし、追いつけたら1週だけ前を走らせてくれ」とお願いされていて、周回遅れに捕まっていた内に追い付かれたので「前にいかせてあげた」と生沢さん本人の前で仰っていましたが。
  • 富士精密を遡ると中島飛行機。富士重工(スバル)と祖が同じ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

456.9948.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.52050.0万円

中古車を検索
スカイラインの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

456.9948.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.52050.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村