欧州車で搭載が進む48Vハイブリッドを日本車よりも早く採用
2018年春に開催された北京モーターショーで、中国浙江吉利控股集団(以下:ジーリー)の“博瑞GE”というセダンに、1500ccターボエンジンベースの、48Vマイルドハイブリッドユニットが搭載され発表された。
欧州、とくにドイツ系ではプレミアムブランドが盛んにこの48Vマイルドハイブリッドユニットの搭載を進めているが、日系ブランドがマゴマゴしているうちに、中国車が先に搭載してしまったことになる。新車販売市場がまだまだ成長期の段階ということもあり、世界のトレンドに敏感でいち早く取り入れるそのレスポンスの良さは、残念ながらいまの日系ブランドでは感じることができないのが残念である。
そして今回の上海ショーでジーリーブースを訪れると、コンパクトハッチバックのGSやコンパクトSUVの展示車にも、48Vマイルドハイブリッドユニット搭載モデルが展示されていた。
中国が進めているNEV(新エネルギー車/新能源車)規制の対象はFCHEV、BEV、PHEVのみとなっており、マイルドかどうかに関係なくHEVは対象外となっているのに、ジーリーはMHEVの採用に積極的なように見える。生臭い話をすれば開発コスト償却のためにも搭載車種の拡大は必要だろうが、もちろんほかにも狙いがあるはずだ。
アルファードを意識した中国製ミニバンも注目度高し
同じジーリーブースで1台のミニバンが、コンセプトカー以上に来場者の注目を浴びていた。その名は“嘉際”。リヤサイドドアはスライド式ではなくヒンジ式を採用。車高をおさえた乗用車ライクなスタイルはサイズからしても、クライスラー・パシフィカにキャラが近いように見えた。展示車は1500ccターボベースのPHEVユニットを搭載していたが、今年5月までには1500ccターボベースのマイルドハイブリッドユニットも追加予定とのこと。ほかに1800ccターボもラインアップされている。
計器盤は流行りの大型ディスプレイ上でのデジタル表示となり、インパネセンター部には12.3インチの大型モニターが鎮座しており、安全運転支援など各種ハイテクデバイスも充実している。
気になって眺めていると、日本語で話しかけてくるひとがいた。そのひとはジーリーの車両説明員であった。嘉際についてあれこれ聞いていると、「トヨタさんは、なぜミニバンを中国で現地生産するとか積極的に動かないのか? アルファードは日本からの輸入になるしハイブリッドがない(今回のショーでV6からハイブリッドに切り替えられた)」と、かなりトヨタを意識しているような雰囲気を感じ取れた。
今回のショーではホンダもミニバンにハイブリッドモデルを追加してきているが、中国メーカーから見ると、中国市場のニーズをリアルタイムで捉え切れていないように見えるようであった。
ただ決定的に違うのはジーリーのミニバンは48Vになっていること。48V化は自動運転など、今より電子制御化が進み、電力消費が今以上に進む近い将来に備えたものとされている。つまり日本車より未来を見越して開発されているのである。ハイブリッドといえば同一ライン上のようにも見えるが、そもそもジーリーのほうが一歩も二歩も進んでいるように感じるし、簡易型のハイブリッドといことで非常に合理的にも見える。
前出の説明員氏は日本人らしい人に片っぱしから日本語で話しかけており、日本人の反応をリサーチしているようであった。日本車のなかで数少ない優位性の高いカテゴリーであったミニバンも、中国メーカーの熱心な研究及び開発の前には、優位性を失うのも時間の問題かもしれない。
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