月に3台ペースで作られるルーフCTR
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
【画像】ルーフCTR ほかにもある レアなスペシャルビルド・モデル 全123枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
筆者は今でも、マクラーレンF1の試乗レポートの内容を覚えている。ギアは6速、320km/hで走行中にV型12気筒のスロットルボディを全開にすると、F1は再び加速を始めた。驚きと賞賛の内容だった。
史上最高のスーパーカーにまつわる話題は事欠かない。空気の壁が立ちはだかる中で、強力な加速力に浸るというのは、どんな体験だったのだろう。ドライバーのアドレナリンが沸き立つさまは、実際に体験しなければわからない。
昔の記憶でスタートしたが、AUTOCARはルーフCTR アニバーサリーへの試乗機会を得た。ドイツ中部のプファッフェンハウゼンを拠点とするルーフ社が、月に3台のペースで組み立てているクルマだ。
黄色いポルシェ911の姿を見て、かつてのルーフCTR、イエローバードを思い出す読者もいるだろう。1987年、342km/hの最高速を誇る最速のロードカーだった。
ルーフ社による新モデルの話を聞いて、じっとしてはいられない。新しいCTRは50台が作られる予定で、目がくらむほどの価格が付いている。
内容は興味深い。ルーフ社といえば、クラシック・ポルシェや最新の911をチューニングし、洗練された高速マシンを生み出すブランドだった。そのアプローチから、確実な一歩を踏み出している。
ハンス・メツガーが設計を手掛けた3.6Lフラット6のエンジンブロック以外、ボルシェ由来の部分はCTRにほとんどない。シャシーも完全なオリジナルだという。
ボディもシャシーもカーボン製のオリジナル
CTR アニバーサリーの場合、ブラッサム・イエローのボディと5スポークのホイール、フレアフェンダーのボディは、1987年のルーフ・イエローバードを彷彿とさせる。しかし、中身はまったくの別物だ。
過去には993型911をベースとした、527psのCTR 2なども手掛けてきた。ミドシップで700psのCTR 3は宇宙船のようなフォルムをまとい、フェラーリ・エンツォやパガーニ・ゾンダと競い合う存在だった。
だがCTR 2もCTR 3も、このCTRのようにイエローバードの精神を受け継ぐものではなかった。見た目はレトロな911に見えても、実態を表現するものではない。
イラストで描いたように滑らかな911風ボディは、初代アウディTTのデザイナー、フリーマン・トーマスの手によるもの。すべてカーボンファイバー製で、メカニズムも最新といっていい。
シャシーの中心をなすのは、1000万ユーロ(12億8000万円)を投じて開発されたルーフ社オリジナルのカーボンファイバー製タブ。DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)やWEC(世界耐久選手権)での経験を持つ技術者によって製造される。
このタブに、ダブルウイッシュボーン式のサスペンションを支えるスチール製のサブフレームが組み付けられる。ピッチングやスクワット、ロールなどの動きを調整できるアクティブ・ダンパーを備え、プッシュロッドで伸縮される。
細部まで美しく仕上げられている。ルーフではおなじみのフォレスト・グリーンに塗られたスプリングケースが鮮やかだ。
3.6Lツインターボは710psと89.5kg-m
ブレーキは、4輪ともにブレンボ社製のカーボンセラミック・ディスク。911 GT2 RSのものと似ているが、ルーフ用に開発されたものだという。
鍛造製でセンターロック式の19インチ・ホイールが、大きいホイールアーチをきれいに埋める。コンパクトなボディが故に、5スポークがだいぶ大きく見える。特に気をもむことなく、英国の狭い駐車場にも停めることができるだろう。
乗りやすそうなボディサイズではある。だが、3.6Lツインターボエンジンの最高出力は710psもある。
グラスエリアの形状は993型911とまったく同じ。シャシーはかつての911カレラ3.2ではなく、ル・マン・プロトタイプの方に近い。創業者のアロイス・ルーフの願望に基づいた、混じり気のないスーパーカーといっていい。
パワートレインは、グループC時代のレーシングマシンを彷彿とさせる。最大トルクは89.5kg-mもある。ルーフ社が開発したエンジン内部のチタン製部品と新しいヘッド、電子制御システムが支えている。
トランスミッションは、強化されたトルクコンバーター式のATや、デュアルクラッチATではない。7速マニュアルが組み合わされる。一筋縄ではいかなそうだ。
ルーフ社の確かなネットワークにより、ドイツ機械工業の重鎮、ZF社が特注のマニュアル・トランスミッションを用意してくれた。これに、CTRではデュアルマス・フライホイールが組まれる。
CTRの自然吸気版、カミソリのようにシャープなSCRには、軽量なシングルマスが採用される。デフはもちろんリミテッドスリップ。不可欠だろう。
低速域ではマナーに優れ順応しやすい
鮮やかなイエローのルーフCTR アニバーサリーのシートに座る。とても新鮮でありながら、どこか懐かしい、不思議な感覚に襲われる。
現代的なポルシェ製のステアリングホイールと、足元に露出したカーボンファイバー製パネルがなければ、古い空冷の911に乗っているように思えてしまう。このような細かい部分も、ルーフ社がカスタマイズを受けてくれる。
車内はタイトだが、スポーツカーとして居心地が良い。グラスエリアが広く、全周に渡って視界良好。宇宙飛行士のヘルメットのようだ。
狭く閉じ込められた感覚のある、現代のスーパーカーとは異る。ルーフが手掛けたツインターボ・フラット6の実力を解き放つのにも、適した環境といえる。
走り始めは、穏やか。CTRへすぐに順応できる。クラッチペダルはほど良く重く、難しさもない。
ブースト圧のかからない状態では、エンジンはマイルド。アイドリングは少し安定せず、低回転域での勇ましいサウンドが示す以上に、マナーが良い。
ステアリングは油圧アシスト付き。低速域での重さも丁度いいが、速度が増すと指先での繊細な操舵を可能としてくれる。切り初め、ほんの数度傾けた時の反応もすこぶる良いようだ。
ルーフCTRは素晴らしく軽快に走る。滑らかに道を進む。洗練されたサスペンションは入力が加わると、現代のマクラーレンのように見事な精度で処理してくれる。
この続きは後編にて。
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