■メルセデス・ベンツ「CLA」と「GLC」のクーペ、賢い選択はどっち!?
もともとクーペとは2ドアのクルマのことを意味していました。しかし2000年代になると、欧州プレミアムブランドからニッチなマーケットをターゲットにしたクーペスタイルの4ドアセダンやSUVクーペが誕生します。
4ドアクーペの先駆けとなったのが、2005年に登場した初代メルセデス・ベンツ「CLSクラス」で、SUVクーペは2008年に登場した初代BMW「X6」です。
既存のプラットフォームを改良してクーペスタイルに仕立てたこれらのクルマは、予想以上の反響を受け、格下モデルでも同じ手法が取られることになります。
メルセデス・ベンツの場合、CLSクラスの格下モデルとして「CLAクラス」がそれにあたり、BMWの場合、X6の格下モデルとして「X4」が販売されることになります。
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初代CLAクラスは、2013年に発表され、当初の4ドアクーペに加え、2015年にはステーションワゴンの「CLAシューティングブレーク」も誕生しています。
現行のCLAクラスは、2019年1月に4ドアクーペが発表され、同年3月にシューティングブレークが発表されました。
「GLCクラス」は2015年に「GLKクラス」の後継として登場しました。これは当時、メルセデス・ベンツにおいて車名を車格に合わせてわかりやすく整理したためです。
SUVの車種を示す「GL」と、車格を表す「C」を合わせてGLCとなりました。プラットフォームはその名が示すとおり、「Cクラス」との共用となります。
実質的にはセダンであるCLAクーペとSUVであるGLCクーペですが、じつは最大の競合車は同ブランドのCクラス・セダンであったりします。
そこで同じ排気量の1991cc直列4気筒ターボエンジンを搭載し、同じく四輪駆動の「CLA 250 4 MATICクーペ」と「GLC 300 4 MATICクーペ」をCクラス・セダンと比べてみました(CLA 250 4 MATICクーペのエンジン型式はM260、GLC 300 4 MATICクーペのエンジン型式は264M20です)。
両車と比べるCクラス・セダンは、現在日本で発売されているモデルのなかでもっともスペックが近い、1496ccの直列4気筒ターボを搭載し四輪駆動である「C200 4MATIC ローレウスエディション」(以下C200)です。
■意外と大きいCLAクーペ、意外とスポーティなGLCクーペ
まずボディサイズです。CLA 250 4 MATICクーペは全長4695mm×全幅1830mm×全高1430mm、GLC 300 4 MATICクーペは全長4730mm×全幅1930mm×全高1600mmです。一方のC200は、全長4705mm×全幅1810mm×全高1430mmです。
CLA 250 4 MATICクーペとC200は、ほぼ同サイズといっていいでしょう。GLC 300 4 MATICクーペは、C200に比べ全高だけでなくひとまわり大きいサイズといえます。
通常時のラゲッジスペースを比べてみます。CLA 250 4 MATICクーペは460リッター、GLC 300 4 MATICクーペは500リッターから1400リッターです。C200が435リッターなので、意外と下位クラスのCLA 250 4 MATICクーペの方が25リッター広いということがわかります。
次に車内スペースを比べてみます。シート座面から天井までの高さは、CLA 250 4 MATICクーペが前席1023mm/後席908mm、GLC 300 4 MATICクーペが前席1065mm/後席1005mmであるのに対し、C200が前席1040mm/後席940mmです。
CLA 250 4 MATICクーペは、C200に比べてそのスタイリングを重視するために、後席のヘッドクリアランスを犠牲にしていることがわかります。クーペスタイルといえ、GLC 300 4 MATICクーペはさすがにSUVなので、後席でも余裕を持ったヘッドクリアランスを確保しています。
また室内幅は、CLA 250 4 MATICクーペが前席1457mm/後席1454mmであるのに対し、C200が前席1455mm/後席1460mmと、ほぼ変わりがありません。
運転席に座ると、3車の世代の違いが明確になります。CLA 250 4 MATICクーペはインストゥルメントクラスター上方のカウルが廃止され、ワイドスクリーンディスプレイがダッシュボード上部に配置されています。
GLC 300 4 MATICクーペとC200は、メーターパネルとインフォテイメントのディスプレイがセパレートされたひと世代前のデザインとなっています。
エアコンのエアアウトレットのデザインも同じ円形でありながら、CLA 250 4 MATICクーペはジェットエンジンのタービンを思わせるスポーティなものを採用し、奥の部分に色のアクセントが施されていて、アフターバーナーを想起させるものとなっています。
CLA 250 4 MATICクーペとGLC 300 4 MATICクーペの最高出力は、それぞれ224馬力と258馬力となっています。しかし、車検証上の重量は前車が1885kg、後車が2165kgであるため、馬力荷重比はともに119馬力/tです。
ともに同じ四輪駆動ですが、CLA 250 4 MATICクーペが、前後100:0から50:50の可変トルクであるのに対し、GLC 300 4 MATICクーペは前後31:69の固定トルクとなっています。ちなみにC200は前後45:55の固定トルクです。
ステアリングフィールにこだわるのなら、GLC 300 4 MATICクーペがもっともFRに近い感覚を味わうことができます。
※ ※ ※
車両価格は、CLA 250 4 MATICクーペが534万円(消費税込、以下同様)、GLC 300 4 MATICクーペが807万円、C200が、614万円です。
クーペライクな4ドアを選ぶ最大の理由は、スタイリッシュなデザインにあります。その点、CLA 250 4 MATICクーペもGLC 300 4 MATICクーペもともに最新のデザインを採用し、スポーティな印象です。Cクラス・セダンでは飽き足らない人には、2車を選ぶ理由はそれだけでもありそうです。
Cクラスよりも安価にメルセデス・ベンツの最新デザインのクルマに乗りたいならば、CLA 250 4 MATICクーペはベストな選択といえます。また、アウトドアなどに積極的に出かけるライフスタイルならば、GLC 300 4 MATICクーペは賢い選択のひとつです。
ともにニッチな市場をターゲットにしているクルマなので、コンサバティブなCクラスとは異なり、同型車と一緒になる機会もかなり減ります。メルセデス・ベンツに乗りたいけれど、個性も発揮したいという方には、オススメの2台です
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