モデルチェンジをするたびに新車価格が上昇している。特に、近年のフルモデルチェンジにおいては、その「上げ幅」に驚き、戸惑っている人も少なくないだろう。
では、モデルチェンジのたびにどれくらい車両本体価格が遷移していったのか? 5つのモデルを例に挙げて考察してみた。
シビックタイプRは初代が199万円 最新は550万円と約3倍! 国産スポーツ歴代の新車価格の推移5選
文/松村透
写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱
※この情報は2022年5月31日現在のものです
■モデルチェンジを繰り返すたびに、高くなっているという事実
1989年のデビュー以来、いちども途切れることなく販売されているマツダロードスター。こうして魅力的なモデルを造り続けてくれるだけでも感謝すべきことかもしれない
原材料の高騰、各種安全装備の標準化(またはオプション設定)、人件費な光熱費など、開発に掛かる諸経費。そして車両本体価格に含まれる利益。仕方がないこととはいえ、クルマの価格が高騰している。
それに加えて、旧車およびネオクラシックカーの価格高騰。憧れやかつての想いをふたたび・・・というオーナー予備軍の希望をことごとく打ち砕く状況が続いている。
■旧車・ネオクラシックカーはいまや新車以上の価格に・・・
10年ほど前には100万円以下で売られている個体も珍しくなかったR32スカイラインGT-R。それがいまや・・・
私事で恐縮だが、10年ほど前、地元の中古車販売店に置かれていたスカイラインGT-Rの中古車(R32型)が目に留まった。ガンメタ、平成元年登録、走行距離12万キロ、修復歴あり・・・。プライスタグに掲げられていた車両本体価格は89万円だった。
かつて、中古車でも300万円を切らない時代を知っているだけに、安くなったなぁという想いとともに、ショックを受けたことを覚えている。嫁ぎ先次第では数年以内に廃車かも致し方ないか・・・。
それから数日後、その店舗を前をとおってみたところ、前述のスカイラインGT-Rは店頭から姿を消していた。相場のなかでもかなり安い部類に入る個体だけに、誰かが見初めて契約したのかもしれない。そして、筆者自身もその後の行方は分からない。
現行(R35型)GT-Rの新車価格が高くなったため、10代のころに断念したR32GT-R購入計画を密かに考えていた時期だったこともあり、このときの記憶は鮮明に覚えている。
その後、R32GT-Rまでもがこのような相場を形成するとは夢にも思わなかったが・・・。それは以下のモデルも同様だ。
■歴代モデルの価格の推移(いずれもデビュー時)
シビックタイプR:価格差は約3倍(初代と現行)
インテグラタイプRに次ぐモデルとしてシビックタイプRがデビューしたのは1997年8月。1.6L NAエンジンだったものが、2.0Lターボエンジンを搭載し、いまや最高出力320psをたたき出すまでにいたった。
モデルチェンジするたびにパワーアップし、ボディは大きくなり・・・。200万円前後だった車両本体価格も、いまや500万円オーバーの域に。
初代:EK9型
・デビュー年:1997年8月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1595cc
・最高出力/最大トルク:185ps/16.3kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4180×1695×1360mm
・新車価格:169.8~219.8万円
・中古車の平均価格:274.6万円
初代シビックタイプR(EK9型)のデビュー年は1997年8月
2代目:EP3型
・デビュー年:2001年12月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1998cc
・最高出力/最大トルク:215ps/20.6kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4140×1695×1430mm
・新車価格:220~255万円
・中古車の平均価格:153.2万円
2代目シビックタイプR(EP3型)のデビュー年は2001年12月
3代目:FD2型
・デビュー年:2007年3月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1998cc
・最高出力/最大トルク:225ps/21.9kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4540×1770×1430mm
・新車価格:283.5~477.8万円
・中古車の平均価格:289.1万円
3代目シビックタイプR(FD2型)のデビュー年は2007年3月
4代目:FK2型
・デビュー年:2015年12月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1995cc
・最高出力/最大トルク:315ps/40.8kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4390×1880×1460mm
・新車価格:428万円
・中古車の平均価格:430.9万円
4代目シビックタイプR(FK2型)のデビュー年は2015年12月
5代目:FK8型
・デビュー年:2017年9月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1995cc
・最高出力/最大トルク:320ps/40.8kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4560×1880×1440mm
・新車価格:450~550万円
・中古車の平均価格:519万円
現行モデルにあたる5代目シビックタイプR(FK8型)のデビュー年は2017年9月
日産スカイラインGT-R(第2世代):価格差は1.46倍(R32とR34を比較)
いわゆる「第2世代GT-R」の中古車相場の高騰がすさまじい状況だが、R32型スカイラインGT-Rがデビューした当時は400万円台半ばで販売されていた。
いま振り返ってみると、R33型、R34型とモデルチェンジを重ねても、極端に車両本体価格が上昇するわけではなかったことに気づかされる。
BNR32型:
・発売開始:1991年8月
・エンジン:直列6気筒DOHCツインターボ
・排気量:2568cc
・最高出力/最大トルク:280ps/36kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4550×1760×1340mm
・新車価格:430.5~529万円
・中古車の平均価格:716.3万円
スカイラインGT-R(BNR32型)のデビュー年は1991年8月
BCNR33型:
・デビュー年:1995年1月
・エンジン:直列6気筒DOHCツインターボ
・排気量:2568cc
・最高出力/最大トルク:280ps/37.5kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4680×1780×1360mm
・新車価格:478.5~1200万円
・中古車の平均価格:660.5万円
スカイラインGT-R(BCNR32型)のデビュー年は1995年1月
BNR34型:
・デビュー年:1999年1月
・エンジン:直列6気筒DOHCツインターボ
・排気量:2568cc
・最高出力/最大トルク:280ps/36kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4660×1790×1360mm
・新車価格:499.8~630万円
・中古車の平均価格:1784.2万円
スカイラインGT-R(BNR34型)のデビュー年は1999年1月
三菱ランサーエボリューション :価格差は1.97倍(初代とXのGSRを比較)
1992年デビュー以降、着実にモデルチェンジを重ね、進化を繰り返してきた「ランエボ」ことランサーエボリューションシリーズ。
初代モデルが250万円前後で販売されていたことに驚きだが、エボXは500万円台に。根強いファンが多いだけに、復活が望まれる1台だ。
初代:CD9A型
・デビュー年:1992年10月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:250ps/31.5kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4310×1695×1400mm
・新車価格:220.8~273.8万円
・中古車の平均価格:278万円
初代ランサーエボリューション(CD9A型)のデビュー年は1992年10月
2代目:CE9A型
・デビュー年:1994年1月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:260ps/31.5kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4310×1695×1420mm
・新車価格:230.8~289.8万円
・中古車の平均価格:287.6万円
2代目ランサーエボリューション(CE9A型/ランエボ2)のデビュー年は1992年10月
3代目:CE9A型
・デビュー年:1995年2月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:270ps/31.5kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4310×1695×1420mm
・新車価格:273.8~296.8万円
・中古車の平均価格:164.4万円
3代目ランサーエボリューション(CE9A型/ランエボ3)のデビュー年は1995年2月
4代目:CN9A型
・デビュー年:1996年8月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:270ps/36kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4330×1695×1420mm
・新車価格:249.8~299.8万円
・中古車の平均価格:236.2万円
4代目ランサーエボリューション(CN9A型/ランエボ4)のデビュー年は1996年8月
5代目:CP9A型
・デビュー年:1998年1月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/38kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4350×1770×1420mm
・新車価格:259.8~324.8万円
・中古車の平均価格:272.2万円
5代目ランサーエボリューション(CP9A型/ランエボ5)のデビュー年は1998年1月
6代目:CP9A型
・デビュー年:1999年1月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/38kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4350×1770×1420mm
・新車価格:259.8~324.8万円
・中古車の平均価格:332.7万円
6代目ランサーエボリューション(CP9A型/ランエボ2)のデビュー年は1999年1月
・デビュー年:2000年1月(トミー・マキネンエディション)
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/38kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4350×1770×1420mm
・新車価格:259.8~329.8万円
・中古車の平均価格:429.8万円
6代目ランサーエボリューション(CP9A型/ランエボ6.5)のデビュー年は2000年1月
7代目:CT9A型
・デビュー年:2001年2月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/39kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4460×1770×1450mm
・新車価格:251.8~299.8万円
・中古車の平均価格:281.2万円
7代目ランサーエボリューション(CT9A型/ランエボ7)のデビュー年は2001年2月
8代目:CT9A型
・デビュー年:2003年1月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/40kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4490×1770×1450mm
・新車価格:274~329.8万円
・中古車の平均価格:431.1万円
8代目ランサーエボリューション(CT9A型/ランエボ8)のデビュー年は2003年1月
・デビュー年:2004年2月(MR)
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/40kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4490×1770×1450mm
・新車価格:274~339.8万円
・中古車の平均価格:351.1万円
8代目ランサーエボリューション(CT9A型/ランエボ8MR)のデビュー年は2004年2月
9代目:CT9A型
・デビュー年:2005年3月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/40.8kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4490×1770×1450mm
・新車価格:294~357万円
・中古車の平均価格370万円
9代目ランサーエボリューション(CT9A型/ランエボ9)のデビュー年は2005年3月
・デビュー年:2006年8月(MR)
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/40.8kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4490×1770×1450mm
・新車価格:285.6~362.3万円
・中古車の平均価格528.8万円
9代目ランサーエボリューション(CT9A型/ランエボ9MR)のデビュー年は2006年8月
10代目:CZ4A型
・デビュー年:2007年10月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/43kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4500×1810×1480mm
・新車価格:299.8~540.5万円
・中古車の平均価格:307.7万円
10代目ランサーエボリューション(CZ4A型/ランエボ10)のデビュー年は2007年10月
マツダロードスター:価格差は約2.17倍(NAとNDを比較)
1989年のデビュー以降、2022年現在までいちども途切れることなく販売され続けているロードスター。初代にあたるNA型は200万円前後で購入できた。
現行のND型は300万円前後がボリュームゾーン。いずれ次期モデルも発売されるはずだが、何とかこれくらいの価格帯で収まってくれることを願いたい。
初代:NA6CE型
・デビュー年:1989年9月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1597cc、1839cc
・最高出力/最大トルク:120ps/14kgm、130ps/16kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3970×1680×1240mm
・新車価格:170~280万円
・中古車の平均価格:129万円
初代シビックタイプR(EK9型)のデビュー年は1997年8月
2代目:NB6C/NB8C型
・デビュー年:1998年1月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1597cc、1839cc
・最高出力/最大トルク:125ps/14.5kgm、145ps/16.6kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3960×1680×1240mm
・新車価格:159.4~251.6万円
・中古車の平均価格:78万円
初代シビックタイプR(EK9型)のデビュー年は1997年8月
3代目:NCEC型
・デビュー年:2005年8月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1998cc
・最高出力/最大トルク:170ps/19.3kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4000×1720×1250mm
・新車価格:220~325万円
・中古車の平均価格:115万円
初代シビックタイプR(EK9型)のデビュー年は1997年8月
4代目:ND5RC型
・デビュー年:2015年5月
・エンジン:直列4気筒DOHC
・排気量:1496cc
・最高出力/最大トルク:131ps/15.3kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):3920×1740×1240mm
・新車価格:249.5~368.3万円
・中古車の平均価格:233.8万円
初代シビックタイプR(EK9型)のデビュー年は1997年8月
トヨタスープラ:価格差は約3.96倍(初代と現行を比較)
現行モデルではファン待望のMTモデルも発表され、注目度が高いスープラ。いわゆる「70スープラ」もボリュームゾーンは300万円前後と、決して安くはなかった。
それが「80スープラ」では400万円台に。現行モデルは700万円オーバーも。このご時世、スープラというスポーツモデルが存在してくれるだけありがたいと思うべきなのか・・・。
初代:GA70型/JZA70型
・デビュー年:1986年2月
・エンジン:直列6気筒SOHC、直列6気筒SOHCターボ、直列6気筒DOHCターボ、直列6気筒DOHCツインターボ
・排気量:1988cc、2491cc、2954cc
・最高出力/最大トルク:105ps/16kgm、185ps/24.5kgm、230ps/33kgm、280ps/37kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4620×1690×1310mm、4620×1750×1300mm他
・新車価格:197.9~397.3万円
・中古車の平均価格:339.9万円
スープラ(GA70型)のデビュー年は1986年2月
JZA80型
・デビュー年:1993年5月
・エンジン:直列6気筒DOHC、直列6気筒DOHCツインターボ
・排気量:2997cc
・最高出力/最大トルク:280ps/44kgm、280ps/44kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4520×1810×1280mm
・新車価格:284~474万円
・中古車の平均価格:573.7万円
スープラ(JZA80型)のデビュー年は1993年5月
3代目:DB02/22/82型
・デビュー年:2019年5月
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ、、直列6気筒DOHCツインターボ(要確認)
・排気量:1998cc、2997cc
・最高出力/最大トルク:197ps/32.7kgm、340ps/51kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4380×1870×1290mm
・新車価格:490~783.5万円
・中古車の平均価格:654.9万円
スープラ(DB02/22/82型)のデビュー年は2019年5月
■まとめ:次のモデルも値上がりか? 消滅or復活か?
復活を遂げたスープラの今後の運命は!?
国連欧州 経済委員会自動車基準調和世界フォーラムにおいて2015年に成立した「UN Regulation No.51 03 Series(R51-03)」の第三段階がフェーズ3というわけだ。
なお、前段階のフェーズ2はすでに各自動車の規格ごとに定められた規定値が2020年10月以降に販売される新車に適用されており、フェーズ3はさらに厳しい値が課せられることを意味する。
2022年10月、つまり今年の10月からこのフェーズ3へと移行するのだ。待ったなしである。
現行ロードスターのデビューイベントの模様。アンベール時の会場の興奮はすさまじいものがあった!!
つまり、これからフルモデルチェンジを迎えるクルマは「このR51-03フェーズ3 」をクリアしない限り、販売が許されなくなるのだ。
メーカーとしてもこれらの数値をクリアしつつ、デザイン、性能、価格など、あらゆる条件を満たしつつニューモデルを世に送り出さなくてはならないのだ。
新車価格が上昇しているからといって、メーカーを恨むのは筋違いだろう。むしろ、あらゆる法規制をクリアし、さらには販売台数が見込めないにもかかわらず、世に送り出してくれることに感謝すべきかもしれない。
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むしろ減ってる。
独身から家族も増えた。
買える人が羨ましいよ