■徐々に増え始めた「シートベンチレーション」
クルマで移動する際、外気の影響によって室内環境は大きく変化します。特にエンジン始動直後の室内温度は、夏であれば非常に暑く、冬の場合はかなり寒いという状況です。
暑い車内を一番早く冷やすには エアコン使用? 窓全開? それとも…
従来であれば、カーエアコンによって室内温度が適温になるまで待つしかありませんでした。しかし、最近では、「シートヒーター」や「シートクーラー」(以下:シートベンチレーション)を装備するクルマも徐々に増えてきています。
まず、「シートヒーター」とは、シート内部に電熱線が組み込まれ、そこに電気を通すことによって暖かくなる仕組みです。10年ほど前から国産車にも普及されはじめました。
カーエアコンと違い、身体に接しているシート自体を発熱させるため外気環境に関わらず、身体を早く温めることができます。また、「シートヒーター」を使用した場合、カーエアコンの風量を抑えることができるため、冬場の乾燥しやすい環境を緩和することもできます。
現在では、高級車から軽自動車まで幅広い車種に標準やオプションで装備されています。上位グレードでは、後部座席に備え付けられているものも存在し、一般的な機能といえるまで普及しています。
また、最近では夏場の暑さを抑制する「シートベンチレーション」も徐々に増えてきています。数年前までは、高級輸入車メーカーの一部グレードで搭載されるほどでしたが、いまは国産メーカーでも採用され始めています。
「シートベンチレーション」には、大きくふたつの仕組みが存在します。ひとつはシート内部から送風するタイプで素早く冷涼感を体感できるものです。もうひとつは、シート内部に吸い出し口を設けたタイプで、1点に送風する仕組みと違い、熱のこもりを吸い出し、乗員とシートの間の局所的な冷えを防止する効果があります。
■湿気や蒸れもなくし、快適性を向上
「シートベンチレーション」について、主な国産車では、トヨタ「ランドクルーザー」(ZX、AX“Gセレクション”に標準装備)、トヨタ「クラウン」(G-Executive、G-Executive Fourに標準装備)、マツダ「アテンザ」(25S L Package、XD L Packageに標準装備)、ホンダ「レジェンド」に採用され、レクサスでは、ほとんどの車種に「シートヒーター」や「シートベンチレーション」がオプション設定(一部標準装備)されています。
最近になって徐々に増えてきた「シートベンチレーション」について、マツダは次のように話します。
「マツダでは乗員の快適性を向上させるため、2018年5月に大幅改良したフラッグシップモデルのアテンザからシートベンチレーション機能を採用しています。シートベンチレーション機能とは、シートバックや座面など乗員の身体とシートが接触する部分の空気を換気することで、蒸れや熱のこもりを解消させるものです。
とくに夏場などの暑い時期に効果的な機能となり、快適な運転環境を提供します。ただしベンチレーション機能を装備していても、通気口がシートの一部にしかないと局所的に冷えたり蒸れたりして、『快適』とはいえませんが、今回のアテンザでは、座面/シートバックともに、身体に接触する部分のほぼすべてに吸い出し口を設置しています」
また、レクサスディーラーのセールススタッフは、「車種やグレードによって、シートヒーターやベンチレーションを付けることができます。とくに一度快適性を体感すると“装備がないクルマには戻れない”というお客様もいらっしゃるほどです」といいます。
日々、クルマの車内環境は向上しています。カーエアコンがオプション装備から標準になり、「シートヒーター」も標準装備になりつつあります。今後は、「シートベンチレーション」も一般的に普及し始めると、季節に関係なく快適なドライブが楽しめるでしょう。
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