現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【技術の日産!!】一基ずつ手組みしているGT-Rのエンジンのすごさとは? 

ここから本文です

【技術の日産!!】一基ずつ手組みしているGT-Rのエンジンのすごさとは? 

掲載 更新
【技術の日産!!】一基ずつ手組みしているGT-Rのエンジンのすごさとは? 

 日本を代表するスポーツカーである日産GT-Rには、究極の走りを実現する高性能エンジンが搭載されています。

 この「GT-R用エンジン」の凄さは、そのエンジン技術はもとより、熟練職人「匠」が一基ずつ手組みしているという「ものづくり」に対する取り組み姿勢にあります。

日産営業利益98.5%減 北米も欧州も大不振!! 1.2万人リストラ決心と西川社長の”腹積もり”

 日産はなぜ、GT-R用エンジンの手組みにこだわっているのでしょうか。元自動車メーカーエンジニアの筆者が紹介します。

 文:吉川賢一/写真:日産、ベストカー編集部

GT-R用エンジンとは

GT-R2020年モデルのグレード一覧
GT-R Premium edition 1210万5720円~(メーカ希望小売価格)
GT-R Pure edition 1063万1520円~ (メーカ希望小売価格)
GT-R Black edition 1253万9880円~ (メーカ希望小売価格)
GT-R Track edition engineered by NISMO 1463万6600円~ (メーカ希望小売価格)
GT-R NISMO 2420万円~ (メーカ希望小売価格)

 GT-R専用エンジンは、VR38DETT型3.8L V6ツインターボエンジンです。

 先日登場した2020年モデルでは最高出力570ps、最大トルク637kgmを発生、また、より動力性能を突き詰めたGT-R NISMOに至っては最高出力600ps、最大トルク652Nmもの高出力化を実現しています。

GT-R2020年モデルの走行の様子

 エンジンのパフォーマンスともに注目されているのが、「匠」と呼ばれる熟練職人によって、エンジン一基ずつ手組みで組み上げられているという点です。

「匠」とはどんな人か

「匠」と呼ばれる職人がGT-Rのエンジンを組み立てている様子

 日産は、GT-R用エンジンの手組み作業のためだけに、ものづくりに卓越した5人の職人を「匠」として選抜。

 この5人の「匠」は、手の感触でミクロン単位の違いや、聴感でちょっとした異常が分かるという、いわば「職人の頂点」を極めた人たちです。

 この「匠」による手組み作業は、チリやホコリのないクリーンルームで行い、組み上げたすべてのエンジンひとつひとつについて、品質確認や性能確認を行うほどの徹底ぶりです。

 組み立てたエンジンには、手組みの重責を担った証として「匠」のネームプレートが貼り付けられています。職人としては大変名誉なことに思われますが、「匠」にとってはいい意味でプレッシャーにもなっていることでしょう。

なぜエンジンの手組みにこだわるのか

 普通、クルマのエンジンは、組み立てラインで生産されます。流れるライン上で多くの作業員が、自分の担当する工程の組付け作業を行い、一連の流れを通過することでエンジンが組み上げられます。

ライン生産により自動車を製造する。写真はリーフの生産工場である

 GT-R用エンジンでは、この一連の作業を熟練した「匠」が1人で、しかも手組みで行うのです。ライン組み立てに比べ、手組みは膨大な手間と時間がかかり、効率は圧倒的に悪くなります。

 ただ、GT-Rには、その膨大な手間暇を惜しむことができない理由があります。

理由とは一体? 

 「ライン生産では決して作ることができないすべてのエンジンを設計通りの安定した性能を発生できるように作る」こそが、日産がGT-Rエンジンの手組みにこだわる理由なのです。

 ひとつのエンジンは、数百の部品から成り立っています。そして、その部品ひとつひとつの製造段階において、すでに微小なばらつきが発生しています。微小な誤差のある部品を組み合わせていくことで、それぞれの部品のばらつきが積み上げられ、組付け後の全体のばらつきが大きくなってしまいます。

 エンジンも工業製品ですので、こういったばらつきは避けられません。そのため、通常は許容できるばらつきの範囲内におさまるようにひとつずつの部品寸法を検品し、品質が確保できるようにしています。

 ライン生産の場合は、許容範囲内の微小な誤差のある部品をそのまま組付けていきます。

細かな作業でエンジンが作られていく

 一方、手組みの場合はひとつひとつの部品を計測し、場合によっては修正をしながら組み付けていくため、よりばらつきの小さい部品を選ぶことで、組付け後のばらつきを最小化することができます。

 これによって、信頼性の高く安定した性能を達成でき、エンジンひとつひとつの性能バラツキを抑えることが可能なのです。

 また、これだけではなく、通常のライン作業ではできない「匠」の経験に裏付けられた感覚的なセッティングは、クルマの微妙な加速性能やドライブフィーリングに効いてきます。日産は、GT-Rを求める人たちの高い要求や期待に応えるため、「匠」によるエンジンの手組みという方法を選択したのです。

まとめ

 このGT-R用エンジンの手組みは、昨今のライン自動化が進む中において、「ものづくり」を意識した象徴的な取り組みといえるでしょう。

 すべてのクルマのエンジンに必要なものではないかも知れません。

 しかし、GT-Rエンジンの手組にはユーザの要求に真摯に向き合う自動車メーカーとしての姿勢や、日産の「GT-R」というクルマに対する熱い思いの一端がうかがえます。

こんな記事も読まれています

【MotoGP】オランダGP完全勝利のバニャイヤ、なぜそんなに強い? “左曲がりの王”マルケス「彼は高速右コーナーが特に速い」
【MotoGP】オランダGP完全勝利のバニャイヤ、なぜそんなに強い? “左曲がりの王”マルケス「彼は高速右コーナーが特に速い」
motorsport.com 日本版
スズキ「新型コンパクト“SUV”」発表へ! クーペスタイルの「小さな高級車」か!? MT設定&「100万円台」の「インドフロンクス」とは
スズキ「新型コンパクト“SUV”」発表へ! クーペスタイルの「小さな高級車」か!? MT設定&「100万円台」の「インドフロンクス」とは
くるまのニュース
BMW『X5/iX5』も大型キドニーグリルと決別!「ノイエ・クラッセ」デザインで2026年デビューか
BMW『X5/iX5』も大型キドニーグリルと決別!「ノイエ・クラッセ」デザインで2026年デビューか
レスポンス
ホンダが「どこでも快適・軽バン」実車初公開! 斬新シート採用!? 「大人1人から4人まで」自由自在!  10月発売の「新N」とは
ホンダが「どこでも快適・軽バン」実車初公開! 斬新シート採用!? 「大人1人から4人まで」自由自在! 10月発売の「新N」とは
くるまのニュース
全ては「勝つ」ために! カワサキが「KX450」「KX450X」の新型モデルを発売
全ては「勝つ」ために! カワサキが「KX450」「KX450X」の新型モデルを発売
バイクのニュース
名車「シトロエン DS」、デビュー70周年を祝う…仏「レトロモビル2025」
名車「シトロエン DS」、デビュー70周年を祝う…仏「レトロモビル2025」
レスポンス
ホンダ・シビック タイプRってどんなクルマ? 歴代モデルと最新6代目を詳しく解説!
ホンダ・シビック タイプRってどんなクルマ? 歴代モデルと最新6代目を詳しく解説!
WEB CARTOP
VWグループジャパン、2024年度に投入する新モデル5車種を公開 ティグアンとパサートはフルモデルチェンジ
VWグループジャパン、2024年度に投入する新モデル5車種を公開 ティグアンとパサートはフルモデルチェンジ
日刊自動車新聞
アウディのカルトスポーツエステートRS4の25周年限定車「Audi RS4 Edition 25 Years」に初試乗
アウディのカルトスポーツエステートRS4の25周年限定車「Audi RS4 Edition 25 Years」に初試乗
AutoBild Japan
三浦半島の「新スマートIC計画」に反響多数!?「とても便利」「なる早で開通して」横浜横須賀道路の「IC空白地帯」で工事準備中
三浦半島の「新スマートIC計画」に反響多数!?「とても便利」「なる早で開通して」横浜横須賀道路の「IC空白地帯」で工事準備中
くるまのニュース
レッドブルF1代表、怒り心頭マクラーレンからのフェルスタッペン批判に反論「間違っているしフェアじゃない」
レッドブルF1代表、怒り心頭マクラーレンからのフェルスタッペン批判に反論「間違っているしフェアじゃない」
motorsport.com 日本版
BMW『M5』新型、鮮やかなイエローボディがラインオフ
BMW『M5』新型、鮮やかなイエローボディがラインオフ
レスポンス
写真で見るニューモデル VW「ティグアン」「パサート」
写真で見るニューモデル VW「ティグアン」「パサート」
日刊自動車新聞
スーパーカーの巨匠、ガンディーニ氏逝去…デザインと作品を振り返る
スーパーカーの巨匠、ガンディーニ氏逝去…デザインと作品を振り返る
レスポンス
トヨタが欧州で「ハイブリッド130」を採用! 日本のハイブリッドとは何が違うのか?
トヨタが欧州で「ハイブリッド130」を採用! 日本のハイブリッドとは何が違うのか?
WEB CARTOP
800万円! 新型「和製スーパーカー」発売! V8×6速MTも用意!? ”旧車デザイン”採用の「GT」とは
800万円! 新型「和製スーパーカー」発売! V8×6速MTも用意!? ”旧車デザイン”採用の「GT」とは
くるまのニュース
混合気供給の要“キャブレター”を分解!! 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ Vol.3
混合気供給の要“キャブレター”を分解!! 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ Vol.3
バイクのニュース
[サウンドシステム設計論]「外部パワーアンプ」を使う「パッシブシステム」で本格サウンドを堪能!
[サウンドシステム設計論]「外部パワーアンプ」を使う「パッシブシステム」で本格サウンドを堪能!
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.0484.0万円

中古車を検索
リーフの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.0484.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村