フェラーリで雪道へ──しかも目的地は北海道の北端、稚内。無謀とも思える挑戦だ。だが、極限の状況だからこそ見えてくる真実がある。フェラーリの雪上走行はいかなるものか? それは意外にも……。PHOTO◉小林邦寿(KOBAYASHI Kunihisa)※本記事は『GENROQ』2018年4月号の記事を再編集・再構成したものです。
北限でも信頼できる跳ね馬 田中哲也(TANAKA Tetsuya)
六代目シボレー・カマロの進化幅は想像以上! 2.0ℓターボを積んでいるのも意外だ!
どんな旅になるのか、期待と不安で胸が一杯だった。フェラーリはFFで雪道を走った経験もあり、走行性能はある程度予想できたが、真冬の北海道の過酷な状況下でGTC4ルッソはどうなるのか正直想像できなかった。
この旅は羽田からスタートしたが、当日は東京も大雪予想で私たちがちょうど首都高から抜け出る頃に雪の勢いが増してきた。東北道に乗る頃には路面はすでにシャーベット状で、見た目にも滑りやすそうな路面状況である。しかしそんな状況でも接地感はしっかり伝わってきて、見た目の路面よりグリップが感じ取れた。スノードライブにおいてタイヤはクルマの印象に大きな影響を与える。もちろん今回はウインタータイヤのピレリ・ウインターソットゼロ3を装着ずみだ。
東北道を北上すると、少しずつ路面状況がしっかりした圧雪になってきた。マネッティーノは東京ではコンフォート、そしてウエットで走行したが東北道の途中からはスノーを選択した。このモードは特にアクセルワークに対するエンジンレスポンスが穏やかになり、スムーズな走行が可能だ。もちろん、タイヤのグリップも貢献しているのは言うまでもない。
北海道に上陸してからの方が、高速道路の路面に雪が無く、ほぼドライ路面での走行であった。ドライの高速では俄然タイヤがしっかりし、高速安定性も優れていることが確認できた。北上するにつれ路面は完璧に雪で覆われ、真っ白な路面に変化していった。交差点などで路面が凍っている部分のブレーキングではABSがすぐに介入して少しスリッピーに感じることもあった。ウインタータイヤはスタッドレスと比較すると、やや不安を感じるところもあったが通常走行には問題ない。
雪が増えてもクルマ自体は安定感抜群で、ほとんどの場面で自分のイメージよりグリップが高かった。モードをスポーツにしてアクセルを踏みこんでもコントロールしやすく、楽しくドライブできた。しかし雪が増えて轍が深くなったら用心だ。流石のルッソも深い轍は厳しい。だが、よほど除雪もしていないような深い雪道に入らない限り、フロントをリフトアップすれば走破できた。きつい斜面の駐車場だけでなく雪道に必須の機能だ。
今回、宗谷岬までの厳しいスノードライブを堪能したが、ルッソの雪の走破性には感動した。フェラーリが真剣に雪のテストをこなしていることが明確に理解できた。かいつまんで書くと、まずはギヤシフトが素晴らしくスムーズだ。DCTのクラッチのつながりもよく、発進時も繊細にスタートできる。つまりスリップしにくく、これでスタックなどのリスクはかなり低減するだろう。次マネッティーノのセッティングだ。路面コンディションに対して明確にベストな選択ができた。そして何より4WDシステムを含めたマシンバランスだ。安全かつスポーティに雪道を走れて、ステアリングから伝わるインフォメーションも明確で、路面の状況を常に正確に把握しながらドライブできた。
もちろん改善すべき点も少しあって、雪中走行の際には時々ブレーキを踏まないとブレーキ温度が低下している影響か、あるいはキャリパーの凍結かわからないが、効きが悪いと感じる時があった。しかし全体的にはまったく問題なく雪を走れたし、ヘッドライトが汚れにくいことやバックフォグの視認性が良いことなど、雪道を快適に安全に走れるように考えられているオールシーズンカーと感じた。
凍り付いてもフェラーリ 高平高輝(TAKAHIRA Koki)
暗くなってからの地吹雪渦巻く雪道では、諦めたほうがいいのではないかと思った瞬間は何度となくあった。GTC4ルッソの落ち度ではないものの、低いウインドシールド越しの視界は限られ、ワイパーも氷がこびりついてほとんど役に立たず、さらには雪が深い場所では浮いたようになってステアリングが効かないこともあり、まさに恐る恐るといった場面もあったのである。
ユニークなシステムを持つ4WDであるとはいえ、そもそも真冬の雪道がGTC4ルッソの真価を発揮する舞台とは思えないし、700㎰近いV12気筒を搭載したフェラーリで真冬の宗谷岬を目指そうとする者が他にいるとは思わないが、結果としてフェラーリを見直した。
というより現代のフェラーリは実はタフなのである。以前、612スカリエッティでインドを走った時も感じたことだが、どんなに暑くても寒くてもそれが理由で不具合になることはない(雪が詰まらないかと水温計は常に気にしていたけれど)。今回もルッソのV12は、ほとんどずっとスノーモードでその実力の半分も発揮させてもらえなかったとはいえ、常に上機嫌に回っていた。
念のために、GTC4ルッソでスキーに出かけようという方のためにいくつかのアドバイスを挙げると、狭いホイールクリアランスの間に雪が詰まることには注意されたい。車高は意外に問題とならなかったが、雪道をある程度走って後輪操舵のエラーサインが点く頃になると、フロントにも雪が詰まって操舵やブレーキに影響が出る可能性がある。
また高速用ウインタータイヤであるピレリ・ソットゼロ3は、当然氷雪性能は日本のスタッドレスほどではなく、ブラックアイスに覆われたコーナー入口(視点が低くて路面状態が掴みにくい)でシフトダウンした瞬間に後輪がロックし、ズルリと滑ることもあった。その分ドライの高速道路などでは実に頼もしいのだが。それでも私はもう一度GTC4ルッソで北国へ出かけてみたい。ただし次回は天候の安定した昼間にしよう。
SPECIFICATIONS
フェラーリGTC4ルッソ
■ボディサイズ:全長4922×全幅1980×全高1383mm ホイールベース:2990mm
■車両重量:1920kg
■エンジン:V型12気筒DOHC 圧縮比:13.5 総排気量:6262cc 最高出力:507kW(690㎰)/8000rpm 最大トルク:697Nm(71.1kgm)/5750rpm
■トランスミッション:7速DCT
■駆動方式:AWD(4速まで)
■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ245/35ZR20(8.5J) Ⓡ295/35ZR20(10.5J)
■パフォーマンス 最高速度:335km/h 0→100km/h加速:3.4秒
■環境性能(EU複合モード) 燃料消費率:15.3ℓ/100km CO2排出量:350g/km
■車両本体価格:3470万円
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