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悲喜交々のベテラン&ルーキー。トラフィックに悩まされた山本と宮田。平川は手応え十分【第2戦鈴鹿予選レビュー】

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悲喜交々のベテラン&ルーキー。トラフィックに悩まされた山本と宮田。平川は手応え十分【第2戦鈴鹿予選レビュー】

 鈴鹿サーキットで始まった2021全日本スーパーフォーミュラ第2戦。開幕戦に続き、鈴鹿の予選も白熱した展開となったが、終わってみるとポールポジションを獲得した福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をはじめ、トップ5は順番こそ違えど、開幕戦富士の決勝トップ5とまったく同じ顔ぶれとなった。

 それ以外でも各所で多くの見どころがあった今回の予選だが、セッションを終えての感想は“悲喜交々”といったところのようだ。

【順位結果】2021スーパーフォーミュラ第2戦鈴鹿 公式予選

■復調気配の山本尚貴だったが、本調子はまだ先の様子……

 まずは開幕前のテストから不調が続いていた前年王者の山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)だが、今回の鈴鹿大会に向けてさまざまなポイントを見直してきたものが功を奏し、かなり改善はされた模様。予選Q1Bグループを3番手で通過し、順調な滑り出しをみせたが、Q2ではトラフィックの影響でタイヤを十分に温めることができず、10番手で敗退。開幕戦の予選とは違った悔しさをみせていた。

「だいぶ改善はして、やっとスタートラインに立てたという感じでクルマには自信がありました。そこから調整していったなかで、Q1は調子が良くて、これならポール争いができるなという手応えはあったのですけどQ2はタイヤをうまく温められなかった。本来のパフォーマンスを引き出せずに終わってしまったので、開幕戦のQ1で落ちたのとは、また違った悔しさがあります」

 今回の予選では計測2周目でアタックに行くドライバーが大半を占めていたのに対し、山本はQ1から計測1周目に照準を合わせていた。

「朝から計測2周目で行くと逆にグリップがなくなってしまう感じがあって、計測1周目の方が全体的に良かったです。それで計測1周目でアタックに行くというふうにしたのですけど、(予選で)路面温度が下がってきて、だんだん1周目で行くのが厳しくなってきた状況はありました。でも、Q2に計測2周目に行く勇気があったかというと……行けませんでした」

「でも、単純にウォームアップがきちんとできれば(Q2でも)普通にタイムは出せたと思います。ちょっとピットを出るタイミングが遅れてしまって、計測2周目組の集団の中に埋もれてしまったので、そこは見誤ったなと思います」

 それでも、開幕戦からレベルは格段に上がっているという山本。予選Q2敗退の悔しさを跳ね返すような追い上げをしたいと語った。

「富士では何をやっても自分のフィーリングと合わなかったのですけど、今回に関してはまだまだ改善が必要な部分はあるものの、レベルとしては格段に上げられて鈴鹿に来くることができました。だから、余計に悔しい部分はありますけど、明日頑張って追い上げたいなと思います」

■トヨタ勢最上位の平川亮は4番グリッドに手応え

 開幕戦から好調なホンダ勢に食らいついて行く走りをみせている平川亮(carenex TEAM IMPUL)。第2戦鈴鹿では土曜午前のフリー走行では調子が今ひとつだったそうだが、予選でうまく改善し、最後のQ3ではベストの走りができたと、ポジティブな表情を見せていた。

「朝は(手応えが)正直あまりなくて、苦戦するかな? という感じだったんですけど、午後に向けていろいろ変更してもらったり、ドライビングもうまく合わせ込むために工夫してやりました。Q3は今まで一番満足がいくラップができたなと思います」

「あまり言いたくはないですけど、ホンダ勢にはまだ敵わない部分がありますが、そこは仕方ないかなと思います。今回はトヨタ勢で一番前に来れましたし、ホンダ勢の間に入ることができたので良かったかなと思います。まずは自分たちのベストを出すことができたので、そこは満足しています」

 ストレート速度の面でまだまだホンダ勢との差は感じつつも、富士と比べると手応えをつかんでいる様子が印象的な平川。展開次第では優勝できるチャンスもあると、密かに自信をみせた。

「明日はスタートをうまく決めてトップ集団でレースができれば、チャンスは回ってくると思うので、そこを狙っていきたいなと思います。タイヤもけっこうタレそうなので、うまくマネジメントできれば前にいけるのかなという感触はあります。戦略も含めて全部がうまくやれば、勝てると思います」

「とにかく自信を持っていくしかないですね。ここで負けていたら、(ライバルと)どんどん差が広がってしまいます。野尻(智紀/TEAM MUGEN)選手も2位に入ってポイントを稼いでいるので、そこは何としても阻止したいなと思います」

■ルーキー最上位の6番グリッドを獲得しも不満の宮田莉朋

 そして、ホンダ勢の牙城を崩すべく、果敢な走りを見せたのが宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)だ。2戦連続でQ3に進出し、平川に次ぐトヨタ陣営2番手となる6番グリッドを獲得したのだが、Q1ではシケイン手前でトラフィックに引っかかってしまい大幅にタイムロスしてしまったという。

「僕が130Rを立ち上がった時は2台くらい前にいて、1台はシケインを曲がっている状態だったのですが、もう1台は完全に減速していました。ブルーフラッグも出ていたので、『行かしてくれるのかな?』と思ったのですが完全に閉められてしまい……コンマ5秒くらいはロスしましたね。『これは、終わったな……』という状況でした」

 今F1で活躍中の角田裕毅も、F1第2戦のフリー走行ではトラフィックの影響が出たときに無線で発狂したが、この時の宮田も、同じような心境だだったとのこと。それでもギリギリでQ1通過を果たし胸をなでおろしたのだが、予選では全体的にグリップ不足が起きており、予選が終わってからも長時間にわたってエンジニアと悩んでいる様子が垣間見えた。

「フリー走行では手応えの割には順位が上の方にいて、それに対してセットチェンジをして改善していくつもりだったのですけど、予選になった全然違う方向にバランスがいってしまって、終始Q1からQ3までタイヤのグリップが思ったほどなくて、フリー走行で感じたバランスから極端に違う感じでした」

「Q2もギリギリでしたし、Q3もアタックがうまくまとまったから、あのタイムでしたけど、フリー走行の時のようにグリップが出ていれば、トップは難しいと思いますけど、1分36秒5~6はいけたのかなという感じです。そこは心残りになりました」

「正直、このグリップ不足が明日の決勝でも出てしまって、ポジションを下げてしまうというのが一番最悪な状況ですし、そうは絶対になりたくないです。フリー走行で起きていなかったことが、なぜ予選でそうなってしまったんだろう? というのが疑問になっていて、チームと一緒に解決策を考えているところです」

「でも、こういう状況下でも6番手を取れたというのは、良くも悪くもないと思います。鈴鹿でのレースは荒れると思うので、運も味方につけて、しっかりとポジションアップしていきたいですね」

 今回も、予選を終えて調子が良かったドライバー、悔しい思いをしたドライバー、突然感触が変わり悩みこんでしまっているドライバーと、置かれている状況はさまざまな様子。明日の決勝レースも、未知数のバトルになっていく可能性は十分にありそうだ。

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