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共通化でも牙は抜かれず。安堵の“ダンパー・マイスター”ダンデライアン「もっと悪い動きを想定していた」

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共通化でも牙は抜かれず。安堵の“ダンパー・マイスター”ダンデライアン「もっと悪い動きを想定していた」

 全日本スーパーフォーミュラ選手権で恒例となっている、12月上旬の合同/ルーキーテスト。従来は、文字どおり経験の少ない若手ドライバーにトップフォーミュラのドライブ機会を与える場としたり、前シーズンに残ったセットアップ上の課題を確認したり……というのがオーソドックスな“活用法”であったが、2023年の同イベントについては、どの陣営も新たに導入される共通ダンパーに関して、その特性を確認し、セットアップを煮詰めていくことが主眼に置かれるテストとなった。

 既報のとおり、2024年シーズンからはオーリンズ製の共通ダンパー(コーナーダンパーおよびサードエレメント)が導入される。JRP(日本レースプロモーション)はこれについて「ドライバーのスキルが発揮されるレース」を目指したものであり、「部品代の高騰を抑制し、チームの参戦コストを低減」する目的があるとしている。

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 これまではダンパーのメーカーやその仕様などが自由だったため『より高機能なダンパー』や『独自のノウハウで煮詰めたダンパー』を使っていた陣営にとっては、ネガティブな変化も予想されていた。もちろん、オーリンズ以外のメーカーを使用していたり、オーリンズ製であっても異なるスペックのものを使用していた場合にも、そのキャラクターの変化への対応は必須となる。

 4輪のコーナーダンパーについては、縁石乗り上げ時などの超高速の入力に対して減衰機能をカットできる機構を備える『6way』ダンパーを装着していたチームは、4way(縮み/伸びをそれぞれ高速/低速で調整)となった共通ダンパーでセットアップの幅が狭まるのではないか。また、サードエレメントの機能が(実質的に)簡素化されることで、ピッチ方向の挙動を制御することが難しくなるのではないか。──共通ダンパー導入に向けて、パドックでは主にこれらの変化が予想されていた。

 DOCOMO TEAM DANDELION RACINGはこれまで、監督兼6号車チーフエンジニアの吉田則光氏を中心に蓄積したノウハウのもと、オリジナルのダンパーでシリーズを戦ってきた。他チームから加入したドライバーのほとんどはその独特なフィーリングに言及するなど、ダンパーをひとつの武器に戦ってきたチームだ。

 彼らも当然、12月6・7日に鈴鹿で行われたテストでは共通ダンパーの理解を主眼にメニューを進めた。これまでの“突き詰めたアイテム”から、シンプルな仕様となることで、テスト前はポテンシャルダウンも予想していたという。

 ところが、セッション3で牧野任祐が最速タイムをマークし、僚友・太田格之進も最終コーナーでのクラッシュまでは全体ベストセクターを記録、2日間の総合タイムでもホンダエンジン勢のトップ2を占めたことから、テストが順調に進んだ様子が伺える。

 今回の共通ダンパー導入に際して「いままで僕らは“ダンデ・ダンパー”だったので、不安な部分はありました」とテストを終えた牧野は明かした。

「僕は初日の走り出しから、従来のダンパーは一切使わずに共通ダンパーで走行を続けましたが、想定以上に違和感なく走れましたし、いろいろなデータも取れ、煮詰めていくことができました。ホンダのなかで見ても比較的僕ら2台は調子いいので、悪くないんじゃないかと思っています」

 今回の共通ダンパーではサードエレメントが『スライダー』と呼ばれるシンプルなものとなり、振動を打ち消す『イナーター』や減衰機構が備わらなくなるが、「実際、無かったら無かったで別に問題ないかな、という気もしました」という牧野は、「もっと悪い動きを想定していたんですけど、そこまでそういう動きは出なかったので、その点はポジティブだったかなと思います」と安堵している様子だっった。

 チームは2023年、富士でのインシーズンテスト(6月)をきっかけにSF23のベースセットを見出し、シーズン中盤戦に戦闘力を大きく向上させた。今回のテストを見る限り共通ダンパーへの移行もスムーズに済んだことから、2023年後半に見せた好調さは「引き継げている」と牧野は言う。

「実際、僕のクルマは最終戦の日曜日のレースはちょっとトラブっていたのですが、そこの問題もある程度解決できたし、このテストで洗い出しもできたので、良かったです」

■「攻めることができていた」太田のクラッシュ

 一方、最終戦で自身初優勝を飾った太田も「僕たちは大きく影響を受けるのかなと思っていたのですが、いまのところ好調ですし、ショートランに関しては正直トップも狙えるので、来季に向けてはすごくポジティブなテストになりました」と表情は明るい。

 テスト開始から共通ダンパーを装着した牧野の5号車に対し、太田の6号車は2023シーズンまでの従来のダンパーで走行をスタート。そこからサードダンパーだけを外して挙動を確認したりするなど、段階を経て共通ダンパーへと移行するメニューだったという。

 そのなかで、太田はある種の“変化”を実感していた。

「やっぱり、これまでこのチームがやってきたことは、意味があることだったんだなと感じました。コントロール(共通)ダンパーになって、サードの中のイナーターとかが禁止になったことによって、違いは明確に感じました」

 なお、セッション3終盤に最終コーナーでクラッシュしたシーンについて太田は、「この2日間で、あのラップが僕としては一番キマってました」と振り返る。

「シケインの手前くらいで、ラップタイムデルタを見ながら『これはもう、P1だな』と思いました。前日に3番手だったセッション2と比較しても、『この感触だったらトップだろう』と。あとは無難にシケインを決めるだけ、だったのですが、ちょっと風が強いのもあって、トリッキーなコンディションだったので……それで足下をすくわれた感じですね」

「立ち上がりで3速に入れたときにちょっと横に流れたのですが、ブーストを落としたくないのである程度スロットルをキープした(踏んだ)状態でそのまま立ち上がって行って、4速に入れたときに(コースオフ)。いつもならドライの4速であそこまで滑ることはないし、クラッシュしてクルマ降りたらすごい風だったので、その影響はすごい大きかったのかなと思いました」

「ある意味、不必要なクラッシュだったかもしれませんが、限界ギリギリというか、結構攻めることができていたので……」と太田。そこまで攻められる状態にまで仕上がっていた、ということだろう。

 例年、3月の公式合同テストと4月の開幕戦で比較しても、勢力図が大きく変わることの多いスーパーフォーミュラ。ましてや、12月のテストから次シーズンを展望することは難しい。ただ、少なからぬ変化が生じる2024シーズンに向け、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが好スタートを切れたことは、間違いなさそうだ。

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