3シリーズに合わせてB3もフェイスリフト
アルピナは、超高速な3シリーズ・ツーリングを長きに渡って生み出してきた。初代の登場は、BMW 3シリーズがE36型だった1990年代。6気筒エンジンのアルピナB3 ツーリングだけでなく、4.6L V8エンジンを搭載したB8 4.6 ツーリングも作られている。
【画像】史上最も多能なワゴン アルピナB3 ツーリング ライバルの高性能モデルと比較 全123枚
しかし、アルピナ1択という時代は終わりが近い。BMW初となる、M3 ツーリングがあと数か月で正式発表される。M社が手掛けたステーションワゴンが、魅力的で度肝を抜くほど速いことは間違いないだろう。
だとしても、ポルシェ911に迫る動的能力を備えたDセグメント・ワゴンを検討している人にとって、最新のB3 ツーリングは最有力候補になる。選択肢から外すなど、今後も間違ってもしない方が良いだろう。
ご存知の通り、BMWはG20型3シリーズにフェイスリフトを施した。アルピナもB3のスタイリングへ僅かに手を加え、エンジンのパワーとトルクを引き上げている。空力特性だけでなく、冷却機能も改善された。完璧なモデルを、より完璧にするべく。
AUTOCARでは2022年の初めにサルーンのB3へ試乗し、感銘を受けた。とはいえ、英国人にとってB3といえばツーリング。フェイスリフト前のB3は英国で88台が売れているが、そのうちの79台はツーリングだったそうだ。
改めて、導入台数の少なさにも驚く。価格が高いことと、ブランドの認知度があまり高くないことが影響しているのだろう。そのぶん、M3より遥かに希少価値も高い。G20型B3の英国での登録台数は、マクラーレン・セナと同程度なのだ。
わかりやすい違いはバンパーと2連モニター
従来との違いは大きくない。1番わかりやすい見た目上の変化は、アグレッシブさを増したフロントバンパー。インテリアでは、ダッシュボード上の2面繋がった大きなモニターパネルが目を引く。
実装されるインフォテインメント・システムも、iドライブのバージョン8へ更新されている。モニターに表示されるクルマのイラストも、実際のボディ形状とカラーで描かれるようになった。
メカニズムは殆ど変わっていない。四輪駆動が標準だが、M340iと比較すると、前後のトルク配分が均等へ近づくようチューニングを受けている。300km/h近い速度でアウトバーンを疾走する場合、この方がベターだからだ。
定番のZF社製8速ATと組み合わされるエンジンは、アルピナ独自の冷却システムが組まれた、3.0L直列6気筒ツインターボ・ガソリン。トランスミッションとディファレンシャルの冷却性能も強化されている。
ステアリングホイールの操舵感は、フェイスリフト前より若干重くなった。だが、直接比較しなければ気付かない範囲。内容としてはこの程度だ。
試乗車には、人気であろうオプションの殆どが装備されていた。なかでも、20インチの鍛造マルチスポーク・アルミホイールは最も選ばれる率が高いはず。少しクラシカルで、とてもカッコいい。
標準の19インチ・ホイールとの乗り心地の違いは、どの程度あるのだろうか。少なくとも、アルピナが英国向けに指定した空気圧で調整されたピレリタイヤは、肉薄な見た目よりも衝撃を丸めていた。
直6ターボは495psと74.2kg-mへ上昇
ホイールの奥では、オプションのブレーキキットが存在感を示す。恐らく、ハイエンドな7シリーズとドリルド・ディスクを共有するのではないだろうか。
ステアリングホイールの裏側には、CNC加工で美しく削り出されたシフトパドルが鈍く光る。M3の樹脂製アイテムより触れた感触は数段イイ。290ポンド(約5万円)するが、悪くないお金の使い方だと思う。
さて、実際に一般道を走らせてみよう。B3 ツーリングが、この上ないほど幅広く優れた能力を備えることは変わらない。
乗り心地や旋回性には、実際の道路環境で理想的といえる絶妙な精度が与えられている。コーナリングスピードは息を呑むほど速く、能力の上限へ迫るには相応の覚悟も必要になる。
フェイスリフト前でも、B3 ツーリングがパワー不足ということはなかった。それでも最新版では、462psから495psへ最高出力が向上している。
最大トルクも、71.2kg-mから74.2kg-mへ太くなった。3.0Lのツインターボ・ユニットとしては圧巻のたくましさだ。ベースのユニットはBMW M社が組み立て、アルピナが仕上げを施している。
最大トルクの発生回転域は2500rpmから。6速に入っていても、3速や4速と変わらないような加速を披露する。あるいは、2速とも。1880kgある車重をものともしない。
天候を問わず、郊外の道を圧倒的なスピードで駆け巡れる。過度にドライバーを支配しない、トラクションとスタビリティ・コントロールによって、安全性が担保されながら。
史上最も多能なモデルの1台
ドライバーが穏やかな気持でも、運転する気に溢れていても、エンジンは不足ないパワーを即座に発生できる状態にある。シャシーは終始落ち着いていている。B3 ツーリングに対して、揺るぎない信頼感を抱ける。
ボディロールやピッチングに対する制御も秀抜。圧倒的な動的能力を展開しつつ、しなやかな乗り心地も維持するという、極めて難易度の高い技を実現している。目立ったトレードオフも存在しない。
英国価格は7万9000ポンド(約1311万円)からに設定されたが、納得の仕上がりといっていい。オプションが盛り込まれた試乗車の場合は、9万9165ポンド(約1646万円)に達していたが。
M3 ツーリングは、それ以上の価格になることが予想される。逆にいえば、アルピナの価格に対する正当性が高まるともいえるだろう。
B3は、M3と同等のクルマとの一体感は得られない。ブレーキペダルの踏みごたえはソフトだし、ステアリングホイールの感触には薄いフィルターが掛かったような印象もある。アクセルペダルでのライン調整も、M3ほど自在ではないことは事実だ。
だとしても、アルピナB3 ツーリングは史上最も多能なモデルの1台に数えられる。雨でも雪でも、ホットなドライバーの気持ちへ完璧に応えてくれる。こんなステーションワゴンには、簡単にお目にかかることはできない。
アルピナB3 ツーリング(英国仕様)のスペック
英国価格:9万9165ポンド(約1646万円/試乗車)
全長:4723mm
全幅:1827mm
全高:1438mm
最高速度:302km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:229g/km
車両重量:1880kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:495ps/5000-7000rpm
最大トルク:74.2kg-m/2500-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
「財布を忘れて帰ろうとしたら、免許不携帯で捕まりました。今取りに帰るんですよ。私が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「事実でしょ」「非常識」の声も…「うっかり」でも許されない理由とは
「ヘッドライトが“まぶしい”んですけど、どうにかならないですか?」 困惑の声多数! あなたの行為「違反」かも? 「ハイビーム」の“落とし穴”とは
なぜ「暖機運転」必要なくなった? 昔はあたりまえの“習慣”も今では「NG」に!? 最近では「暖機“走行”」必要との見方も
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント