■ホンダ初の量産EV「ホンダe」の電費はどれくらい?
ホンダ初の量産電気自動車(EV)「ホンダe」は、2019年3月のジュネーブショーで発表され、2020年10月30日に国内で発売されました。
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コンセプトカーのような未来的なエクステリアはもちろん、リアにモーターを搭載しリアを駆動させるRRレイアウトという点も既存のEVとは大きく異なる点で、日本での第一期のオーダー分はすぐに完売となるほど注目を集めています。
ちなみに、第二期受注は2020年11月15日から開始していますが、こちらも早々に販売枠が埋まってしまうことが予想されます。
近距離を走るための「シティーコミューター」という側面が強いホンダeではありますが、どれくらいの“電費”性能を持ち合わせているのかは気になるところです。
そこで今回はホンダeのベースグレードを持ち出して、実電費の測定をおこないました。
ホンダeにはベースグレードのほか、より高出力なセッティングとなったモーターを搭載し、17インチサイズのスポーティなタイヤを装着した「Advance(アドバンス)」も用意されています。
航続距離は、ベースグレードが283km、アドバンスが259kmとなっています(WLTCモードのカタログ値)。
なお、ホンダeの諸元表には電費についての記載はありませんが、35.5kWhのバッテリーで283kmの航続距離があるということは、1kWhあたり約7.97km走るということが逆算できます。
この計算式に当てはめると、日産「リーフe+」は約7.39km/kWh、三菱「i-MiEV」は10.25km/kWh、メルセデスベンツEQCは5km/kWhと、ひとことでEVといっても電費に差があることが分かります。
今回は、神奈川県横浜市をスタート地点とし、保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速道路に入り、小田原厚木道路の小田原西インターまでの高速道路区間。
そこからターンパイクを上り、大観山スカイラウンジを経由し、箱根新道を通って西湘バイパスまで下るワインディング区間。
そして、国道134号線から国道246号線を経由し、再び横浜市へ戻る一般道区間を経由し、約160kmの道のりを走破しています。
その結果は、159.9kmの走行で電費は8.7km/kWhという数値になりました(メーター上の電費表示の数値)。
カタログ上の航続距離から割り出した電費は約7.97km/kWhですから、カタログ値よりも良好な数値ということになります。
なお、今回のテストの走行モードは「NORMAL」で、シングルペダルコントロールはオン、エアコンは24℃設定のフルオートで走行しています。
余談ではありますが、テスト当日は11月とは思えない暖かな陽気で、オートに設定したエアコンからは時折冷風が出るほどでした。
EVにとって辛いとされる寒い時期のテストではなかった点をお伝えしておきます。
■車内が静かすぎる! 驚きの静粛性とは
●高速道
走行距離:66.1km
実電費:8.8km/kWh
横浜市内を出発し、横浜新道から保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速に入り、小田原厚木道路を通るルート。
今回も平日の日中の走行でしたが、保土ヶ谷バイパスから横浜町田インターの先までが休日を思わせるような激しい渋滞となっており、それが功を奏したのか電費は8.8km/kWhを記録しました。
この高速道路セクションで印象深かったのが、ホンダeの静粛性です。
エンジンを持たないEVはそもそもの騒音レベルが圧倒的に低くなりますが、その反面タイヤのパターンノイズや風切り音が気になってしまいます。
しかしホンダeは、パターンノイズも風切り音もかなりのレベルで遮音されており、圧倒的な静けさが車内を包んだのが驚きでした。
●ワインディング路
走行距離:42.8km
実電費:8.0km/kWh
ワインディング路は、小田原西インターを降りてターンパイクを上り、箱根新道を経由して一気に下るというコースです。
EVは、登りで一気にバッテリーを消費し、下りの回生ブレーキで電力を回収するというルートになります。
登りセクションでは動力性能には全く不満もなく、基本的には圧倒的な安定志向なのでテールハッピーになることはありませんが、後輪駆動らしい軽快な走りを楽しむことができました。
ただ、延々と続く登りの影響で大観山についたときの電費計の数値は2.0km/kWhを下回るほど悪化。
しかし、ここから一気に下り続けることで最終的には8.0km/kWhまで電費を戻すことに成功しました。
メーター上のバッテリー残量も4%ほどプラスとなり、回生効率の高さを感じさせる結果となりました。
●一般道
走行距離:50.9km
実燃費:9.4km/kWh
一般道は、国道134号から国道246号を経由して横浜市内に戻ります。
ここでは交通量も多く、夕方の時間帯となったことで渋滞区間もありましたが、平均速度が上がらなかったことも功を奏したのか、9.4km/kWhともっとも良好な電費をマークしました。
変速機を持たず1速固定で走行する多くのEVは、当然ながら速度とモーターの回転数が比例するため、速度が上がれば上がるほど電費は悪化してしまいます。
そのため、高すぎない速度で走行できるシーンが、もっとも電費がよくなるということがいえそうです。
※ ※ ※
今回はホンダeの電費性能をチェックしましたが、走行シーンによってはカタログ値を超える実力を持ち合わせていることが分かりました。
そしてリアモーターリア駆動のレイアウトも走りの楽しさに貢献しており、レスポンシブなモーターと相まって、街乗りでも軽快な走りを演出してくれました。
ユニークなエクステリアや、ダッシュパネル前面を覆う大型のモニター、そしてドアミラーの代わりにカメラを使ったサイドカメラミラーシステムなど、所有欲を満たしてくれる内外装も魅力的です。
その一方で、450万円からという価格は、シティーコミューターとしてはいささか高額だというのが偽らざるところ。
もちろん、さまざまなコストがかかっていることは重々承知していますが、EVが多くのユーザーに普及するにはハードルが高い、というのが現状なのかもしれません。
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