3月28日に6年ぶりのフルモデルチェンジを果たし4代目となった三菱「eKワゴン」、そして従来のeKカスタムに代わり誕生した「eK X」(イーケークロス)の発表会が同日、東京マリオットホテル(東京都品川区)で開催された。その席で、両車のチーフ・プロダクト・スペシャリスト(CPS)である吉川淳(きっかわあつし)さんにインタビュー。「eK X」誕生の背景や日産デイズとの違いなどについて聞いた。REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、三菱自動車工業、日産自動車
--これまでのeKカスタムをeK Xに代えた狙いは?
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吉川 eKワゴンが属するハイトワゴン系は、2017年の軽自動車新車販売の32%を占めていますが、その中で14%のお客様がカスタム系、11%のお客様がSUVテイストのものを選んでいます。
ですが、お客様が軽自動車を購入するうえで重視するポイントを調査してみたら、10年前は維持費や価格、燃費がトップ3だったのに、直近ではボディカラーや外観が上位に来ており、お客様のニーズがこの10年間で大きく変わっていたんですね。
ですのでeKワゴンは正常進化、悪い所は全部直して良い所はもっと良くする方向で開発し、eKカスタムは「eK X」という、我々が強みとしているSUVのテイストを採り入れた、これまでとは違った名前、違ったクルマとして作ろうということになりました。
--日産デイズとの相違点は?
吉川 アライアンスという傘の中で開発している以上、全く違うクルマを作ったら意味がなくなりますので、パワートレインや足回りなどのメカニズムは基本的に日産さんと全く同じです。ですが外観、最も典型的なのはeK Xのデザインですが、シートの生地も作り分けて、お互いのブランド色を出すようにしています。
--プレゼンテーションでは高い走破性へのこだわりについてお話をされていましたが、4WDのメカニズムやスタビリティコントロールも日産デイズと同じですか?
吉川 同じですね。日産さんは4WDをあまりアピールしませんが、我々は以前より4WDを強く主張しているブランドですので、その伝え方などは違いますが、電子制御システムを含めて同じものになっています。
--装備面での違いは?
吉川 デイズになくeKにあるものは、ルーフレールとデジタルルームミラーです。
--デイズに設定された「SOSコール」は?
吉川 eKにはありません、まだ三菱自動車として「D-Call Net」に参画していませんので…。
--4つのタイプで外観が異なりますが、そう作り分けられるよう、設計上工夫したポイントは?
吉川 eKワゴンはデイズの標準仕様とほぼ同じですが、eK Xはフロントフェンダー以降はeKワゴンとほとんど同じなんですね。逆に言えば、エンジンフードより下側を大きく作り替えています。
--フロントバンパーとフロントフェンダーとの境目が、他の軽自動車と比べて後ろ側になっています。特にeK Xはヘッドランプがフロントマスクの上側ではなく中央に配置されるので、他のモデルとの合わせ込みが大変だったのでは?
吉川 はい、開発初期には「全然遠くが見えないんですけど」みたいな話がありましたね(苦笑)。
--新型eKワゴンをベースに今後様々な軽自動車を展開されていくと思いますが、eK XのようなSUVテイストのものを今後増やしていくお考えですか?
吉川 当社でいえばRVRのようなクロスオーバーSUVが好まれているのは全世界的な傾向だと思います。そして三菱にはSUVや4WD、ラリーといったものが脈々と流れていますので、そうしたイメージに沿った分かりやすい、三菱車と分かってもらえるようなSUVを、我々としてはやるべきだと考えています。
--今回eK Xを発売したことで、これがスタイリッシュなSUVテイストのワゴンの先駆けとなり、三菱車ファミリーの中で広がっていく期待が持てますね。
吉川 メチャクチャ売りたいんですよね。乗っていただきたいです。軽自動車のお客様には目立ちたくないという方もいらっしゃいますので、そういう方には難しいのかもしれませんが、その一方で差別化を求める方もいらっしゃいますので。
--その点、eKワゴンは非常にオーソドックスですよね。
吉川 はい、これはこれで残そうということは、最初から考えていました。
--ありがとうございました。
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