11月8日(金)、全日本スーパーフォーミュラ選手権第8・9戦を前に、ランキングトップ3ドライバーが登壇する『金曜会見』が行われ、タイトル決戦となる最終2連戦に挑む心境や、レースウイークのキーポイントなどについて語った。
2024年のスーパーフォーミュラも、いよいよ大詰め。第7戦富士までを終えた段階で坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が86.5ポイントでランキング首位に立ち、それを14.5ポイント差で牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、16.5ポイント差で野尻智紀(TEAM MUGEN)が追いかける状況だ。
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■牧野の人生を変えた2021年スーパーGT最終戦
チーム移籍を果たし、「大きな環境の変化のあったシーズン」と2024年を振り返ったランキング首位の坪井は「チャンピオン争いを最終戦まで持ち越せているのは初めての経験なので、嬉しいし、楽しみにしています」と語ったが、2レース制の週末ということで、気を引き締めている。
「これが1レースだったらわりと楽かなと思うんですけど、2レースあるとマックス46ポイント取れてしまうので、マージンはあるようでないと思っています。しっかり勝ち切らないとチャンピオンはないと思っていますので、しっかりとこの2レースをちゃんと勝てるようにやってきいたいなと思います」
タイトル獲得へ向け重要なセッションを問われた坪井は、天候・コンディションに対する対応を今週末に向けたポイントとして挙げた。
「天気(予報)が微妙っちゃ微妙ですよね。明日(土曜)はだいぶ晴れ予報に変わってはいますが、そのあたりをしっかりと味方にすることが大事。それぞれのセッションで臨機応変に対応しないといけません。晴れてる予選があれば曇っている予選があるかもしれないし、どこかに合わせるのではなく、“臨機応変”が大事かなと思っています」
プレッシャーは「ないと言えば嘘になる」と語る坪井だが、「こういった環境でレースできるのは幸せなこと。モチベーション高く最終戦に入れるという意味では、楽しみ」と、ポジティブな気持ちが勝っているように見えた。
一方、ランキング2位で坪井を追う牧野は、今季第2戦で初優勝を飾り、「自分の殻を破ることができたシーズン」だったと、2024年を振り返る。そして坪井同様、タイトルをかけて臨む最終戦を楽しみにしているといった様子だった。
「プレッシャーに関しては、正直、僕はあまりなくて。というのは、最近それなりにいろいろな修羅場を潜り抜けてきたと、個人的には思っていて」という牧野は、人生で一番プレッシャーを感じたレースとして2021年のスーパーGT最終戦を挙げた。この年、開幕戦を欠場していた牧野は、山本尚貴とチームのタイトル獲得をかけて、緊張のレースに臨んでいた。このときのライバルも坪井。結果的にはアクシデントもあり、関口雄飛/坪井組がGT500王者に輝いた。
「僕のチャンピオンはないけど、尚貴さんとチームの2連覇がかかる状況で、ここで僕が何かやってしまったら同じテンションで落ち込めないというか……すごく複雑な状況を経験したので、それ以降、あまりプレッシャーというものを感じなくなりました。それがあまりにもキツかったので。なので(今週末は)のびのびと、悔いなくレースできたらなと思っています」
牧野が挙げる今週末の戦いのポイントは、予選だ。トップ3に与えられる予選ポイントの獲得を目指し、「しっかりと一発を出しに行く準備を、この(金曜午後の)フリー走行でもしたい」と、まずは予選で上位に食い込めるマシン作りを見据えていた。
なお、このふたりは2015年のFIA F4最終戦でも、タイトルを争った間柄。これについて問われた坪井は、「この最高の舞台でチャンピオン争いできるのは楽しみだけど、負けられない」と語り、一方の牧野も「条件的には僕が追いかける立場で、そのときと似ている。リベンジができたらなと個人的には思いますし、お客さんにもそういうストーリーにも着目してもらえたら」と語った。
■「このふたりに勝てたら、価値はものすごく高い」と野尻
そして、ランキング3位からの逆転を目指す野尻は、開幕戦で優勝を飾った後、シーズン中盤は思うような成績を残せずに苦しんできた。そのなかではレースウイークを通じてセットアップ面で幅広く・さまざまなトライを続ける必要に駆られてきたが、この最終ラウンドでは「パフォーマンスをとにかく上げるというところにだけ集中して注力できるので、その部分ではいままでよりは難しくないレースウイークを過ごせるのではないか」と2連戦に向けた展望を語った。
「ただレースとしては、強力なライバルがたくさんいますから難しいことには変わりはないですし、『このレースに勝つためだけに走る』という選手も数多くいるなかで優勝するのは、非常に難しいことだと理解しています。ですが、チャンピオンシップかかった一戦ですから、自分が優勝するんだという気持ちをいつも以上に強く持って、週末を過ごしたいと思います」
スーパーフォーミュラでは最終戦までタイトル争いに残るのが初とはいえ、他カテゴリーで何度もその緊張感を味わってきたふたりのライバルについて、「どれだけそういった山場を乗り越えてきたかが、強さになっていると思うので、かなり手強いと思っています」と野尻。
「逆にこのふたりに勝ってタイトルを獲ることができたら、そのチャンピオンの価値はものすごく高いものになるのではないかと思うので、とにかく『勝つのが楽しみです』という感じです」
首位との点差を考えると、牧野同様に是が非でも予選ポイントを獲得したい野尻は、「フリー走行の時間の使い方も大事。とにかくピークのパフォーマンスを出すというところに着目して、今日から時間を使っていきたいと思います」と、金曜の専有走行に向け集中力を高めていた。
週末を占う注目の金曜専有走行は、14時25分から90分間、行われる予定だ。
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