■TWRがジャガーの名車「XJS」を手掛ける
英国「TWR」は、2024年11月20日(現地時間)、V12エンジンを搭載したスーパーGTロードカー新型「スーパーキャット」の実車を初公開、発表しました。
【画像】超カッコイイ! V12×MTの新型「スポーツカー」を画像で見る(44枚)
TWRは「Tom Walkinshaw Racing(トム・ウォーキンショー・レーシング)」のことで、1976年にイギリスでレーサーのトム・ウォーキンショーが設立したレーシングチームおよびレース用マシンやロードカーを開発、販売する企業です。
TWRは、さまざまなメーカーのクルマを手掛けて著名なモータースポーツに多数参戦し、無数の勝利を収めています。1980年代から90年代初頭にかけてはジャガーでル・マン24時間レースを複数回制したことなどから、ジャガーとTWRは共同で「ジャガースポーツ」を設立しました。
ジャガースポーツは、ジャガーが米国フォードに買収されたことをきっかけに、1994年に終了、その後はポルシェや日産、マツダなどとレースマシンの開発などを行い、幾度となく輝かしい成績を収め現在に至りますが、会社は数度に渡って売却されていました。
順風満帆な経営だったとは言いがたいTWRですが、往年のジャガーの名車「XJS」をベースに、完璧なロードカーを制作し今回の発表を行いました。
XJS(1991年のマイナーチェンジ前は「XJ-S」の車名で販売されていた)、1975年から96年の間に販売されていたクーペないしオープンカーで、スポーツカーではありますが、サーキット走行を目的としたものではなく、高級グランツーリスモ(長距離旅行用)として開発されたモデルです。
そのスタイルはロー&ワイドで、フラットで長いノーズとリアラゲッジリッドで非常に伸びやかで優雅な美しいクーペとなっており、そのデザイン性の高さは世界中から高い評価を受けています。
エンジンは、直列4気筒4.0リッターとV型12気筒6.0リッター、同5.3リッターがラインナップされていましたが、TWRが制作したスーパーキャットは、V12モデルとなっています。
■現代的なアグレッシブな姿の660馬力のモンスターへ変貌
TWRが発売したスーパーキャットは、優雅で美しいクーペからアグレッシブで現代的な姿へ変貌しています。
XJSの流麗なラインは、エアロパーツで完全武装したカーボンファイバーに置き換えられ、ボディサイズはベース車両の全長4764mmからわずか2mmの延長にとどまっているものの、全幅は1793mmから1975mmへ大きく拡幅と、もはや原型を留めていないレベルにカスタマイズされていますが、XJSであることをわからなくするまでの造形には至ってはいません。これはTWRのジャガーへの敬意の表れかと推測できます。
ベース車両は最高出力285馬力・最大トルク431N・mを発生する5.3リッターV12モデルで、スーパーキャットはこれを5.6リットルにボアアップしてスーパーチャージャーを追加、最高出力660馬力・最大トルク730N・mというモンスターマシンに変えました。
シャーシは、ベース車両のスチール製モノコックボディを、カーボンファイバーとスチールで強化。さらに一体型鋼管フレームを採用した構造へと変更されています。
足回りも完璧なまでにカスタマイズされました。サスペンションは電子制御化され、ホイール、タイヤ、ブレーキのすべてが専用のものに変えられています。
駆動方式はベース車両と変わらず後輪駆動ですが、トランスミッションはベース車両の3速ATから6速マニュアルに換装され、ドライブシャフトは軽量なアルミニウム製に変更されています。
インテリアでは、後席が取り外されて広大なラゲージスペースに変更されています。これについては、長距離ツーリングを可能にするためのもので、セッティング変更可能なサスペンションとともに快適に”ニュルブルクリンクまでドライブ”できるようにしたとTWRは伝えています。スーパーキャットに乗ってニュルブルクリンクに到着したら、セッティング変更してサーキット走行を楽しむというスタイルが実現可能となっています。
このほか、メーターはフル液晶ディスプレイ化され、Apple CarPlay・Android AUTOに対応したマルチインフォメーションディスプレイの採用や、TWRのロゴ入りのステアリングホイール、アルミ削り出しのエアコン吹き出し口などといった変更がありますが、エクステリアに比べるとカスタマイズの範囲は限定的です。
TWR スーパーキャットの価格は、オーナーが選択する仕様によって異なり、最低22万5000ポンド(約4360万円)で設定され、全世界88台限定で生産されるとのことです。
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旧車デザインの現代性能、他社もやらないかな。