話題の新型ヤリスは衝撃の4WDスポーツも設定! ヤリス GR-4は消えゆく国産庶民派スポーツの救世主となるか!?
2020年1月10日から始まる「東京オートサロン2020」で世界初公開すると発表された「GRヤリス」。
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先日、この「GRヤリス」のメディア向けの試乗会が急遽開催され、ステアリングを握るチャンスが与えられた。
この「GRヤリス」とは、GRスープラに続く、スポーツカーシリーズ「GR」のグローバルモデル第2弾。ラリー競技にも対応できる国産スポーツ4WDといえばスバルの「WRX STI」、またコンパクトスポーツの雄ではスズキの「スイフトスポーツ」が浮かぶだろう。
しかし、現行WRX STIは2019年12月23日で受注を終了するなど、絶滅寸前の状況だ。
そうしたなかで“新星”ヤリス GR-4は、WRX STIやスイフトスポーツを越える名車となるのだろうか? 日産で操縦安定性の開発エンジニアをしていた筆者が考察する。
文:吉川賢一
撮影:池之平昌信、写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】今では珍しい3ドア!! 新型ヤリス GR-4は中も外も超本格派!!
予想価格は450万円! 新型ヤリス GR-4は300ps級の4WDスポーツへ
外観は柄が入っていて判然としづらいが、これはボディラインをわかりにくくするためのカモフラージュ柄。それでも3ドアでロー&ワイドな雰囲気が一目瞭然のヤリス GR-4
「GRヤリス」のスペックに関して、現時点、トヨタが公表している情報はごく限られている。そもそも、名称も「GRヤリス」なのか、「ヤリス GR-4」なのかも、明らかにはなっていない。
ただ、去る12月15日に富士スピードウェイで開催された「トヨタガズーレーシングフェスティバル」の場で、GRヤリスが一足早くファンに披露された際、友山茂樹副社長が冒頭のあいさつで、「本日、世界初公開のヤリスGR-4です」と紹介していたことから、正式名称は「ヤリスGR-4」になると予想される。
今回のプロトタイプ試乗の事前説明で明らかにされた情報は以下のとおり。
・開発目標は、【1】WRC公認モデルとして市販車に技術を織り込むこと。【2】お客様にモータースポーツを楽しんでもらえる性能を担保すること。【3】お客様が少し頑張れば購入できる価格に抑えること
・ヤリス GR-4専用の3ドアボディを採用
・軽量化のため、両サイドのドア、バックドア、エンジンフードはアルミ製、ルーフにカーボンを使用
・現行ヴィッツに対し、リアウィングへ空気を大量に導くため、ルーフライン高をギリギリまで下げた
・世界最小/最軽量の1.6L・3気筒ターボエンジンを搭載
・4WDシステムは軽量化のため、リアデフにシンプルなカップリングシステムを設けた
・前後のデフ比を制御することで、トルク配分を自在に配分。
・WRカーのホモロゲーションを取得するため、年間2万5000台を作ることが必須
リアスタイルも迫力充分のヤリス GR-4。基準車のヤリスに対してルーフは明らかに低くなっている様子が見て取れる
カーボンルーフは、コストの高いSMC(炭素繊維材料)ではなく、フォージドカーボン(※金型に詰めたカーボン繊維に熱を加え、圧力をかけて自然冷却して成形する加工法。フォージドは「鍛造」を表す)を使用。これにより、現行ヴィッツに対し、大幅に質量低下となったそうだ。
また、リアスポイラーは、WRCの規定でリアスポイラーの高さが決まっているため、ルーフ高のある現行ヴィッツは、リアウィングに風を充てることができていなかったという。そのためルーフラインは特にこだわり、極限まで低くしたそうだ。
さらにエンジンは、そのサイズからは想像できないほどの出力を得ているという。Bセグメントのライバルはおろか、Cセグメントのスポーツモデルにも負けていないとの説明だ。
上記のことから、筆者の予想は、全長3900mm(※目視だがオーバーハングは詰めている様に見えた)、全幅1800mm、全高1450mm、ホイールベース2550mm、車両重量1200kg程度。最大出力300ps、価格450万円。
発表されたような装備を施された車両が、もしこの価格で登場すれば、大いに話題になるのではないだろうか。
ヤリス GR-4の「走り」はどうだったか?
1.6L・3気筒ターボエンジンながら300ps級の最高出力を絞り出すと予想されるGR-4。プロトタイプが装着していたタイヤは、225/40ZR18(92Y)ミシュラン パイロットスポーツ4S
用意されたのは、ターマック用の2台(プロトタイプとユニットテストカー)と、ダートコース用の1台(ラリー競技に参戦する方が求めるパーツを、最低限おり込んだ仕様)だ。
元々が軽量ボディのヤリスをさらに軽量化し、ハイグリップなタイヤを装着。4WDシステムによる前後トルク配分変更となれば、ヤリス GR-4が、「意のままに曲がり、いつでも止まる」性能を持っていることは容易に想像つくだろう。
無理やりスライドをさせようと速度を上げても、リアのスタビリティが高く、スキール音すらなかなかならないほどにグリップ感が強い。旋回Gも相当に高く出ているだろう。
ヤリス GR-4プロトタイプ。ベールを脱いだ姿は、2020年1月、東京オートサロンで公開される
ステアリング特性はやや重ためだが、「ズシリ」とくることはなく、手応えがしっかりとある。シートはしっかりと身体をホールドしながらもガチガチではなく、身体を沈み込ませてサポートする形状をしており、秀逸だ。
排気サウンドも野太く、これまでのトヨタ製小排気量ターボよりもクリアで、すがすがしくなるほどの気持ちよさがあった。
WRX STIやスイフトスポーツを越える実力はあるか?
トヨタの4WDスポーツといえばセリカ GT-FOUR。WRCのベース車両にもなった同車は1999年で生産終了となった
競技車ベースとなる車だけに、現時点のスペックやちょい乗りの走りで判断することはできないものの、そこは期待を込めて、「ヤリス GR-4は日本車の歴史に名を残す一台になる」と予想する。
そう期待させてくれたのは、トヨタGRヤリス開発エンジニアが語った言葉だ。
「我々にはモチベーションがある。実は、GRのプロモ用動画でモリゾー社長が乗っていたのが他社製のラリーカーだった。自車のテストカーよりもはるかに乗りやすかったという。本当に悔しかった」
「ぜひ社長に自社製のスポーツ4WDモデルに乗ってほしい。トヨタ自動車が自分達で開発したスポーツ4WDは20年前のセリカが最後だった。20年間のブランクは想像以上に大きい。数年間、開発を続けてきたがまだまだ学ぶことだらけ。まだ100点ではない。だが今日時点の出来を見てほしい」
自己分析を冷静に行い、自らチャレンジャーとなり、ハングリー精神を持ち、課題を克服しながら進化をしてゆくGR開発エンジニア達。メーカーが立てているストーリーが明確に伝わってきて、自動車ジャーナリストとしては、感情移入し、期待させられる。
悔しいのは、なぜこれが「トヨタ」だけなのだろうかという点だ。経営危機寸前とも噂される、日産やホンダこそ、こうしたハングリー精神が必要なのではないだろうか。
2018年に限定発売された現行ヴィッツ GRMN。限定150台で価格は400万円。FFで1.8Lスーパーチャージドエンジン(212ps)搭載。このスペックからみても新型ヤリス GR-4は期待の存在だ
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価格帯グレードが複数あるのかな?