レクサスのラグジュアリーコンパクト・クロスオーバーLBXを横浜の市街地で試乗することができた。2023年6月にイタリア・ミラノでワールドプレミアを行なっているように、欧州と国内をメインマーケットとするBセグメントクロスオーバーだ。
レクサスLBXはBセグメントのコンパクトサイズだが、ラグジュアリーな高級車LBXはLexus Breakthrough X-overの頭文字で、開発の主眼はサイズのヒエラルキーを超え、新たなラグジュアリーを提供することをコンセプトにしている。まさにブレークスルーをするモデルという意味が込められているわけだ。「本質を知る人が素の自分に戻り、気負いなく乗れるコンパクトラグジュアリーを目指す」としている。ボディサイズは全長4190mm×全幅1825mm×1545mm、ホイールベース2580mmでプラットフォームはGA-Bを採用し、LBX専用に数多くのカスタマイズを行なっているという。
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存在感が強く目立つLBX
早速、横浜の街に出て走り出してみると、洗練されたみなとみらいの景色にマッチするエクステリアデザインは好印象。かがみ餅をイメージしたというデザインだが、大径タイヤは見た目を際立たせ、下半身の大きさがかがみ餅というわけだが、踏ん張り感や力強さといった印象に繋がっている。そしてユニファイド・スピンドルボディはボディと一体化されたスピンドルグリルがレクサスブランドをこれでもかと主張している。
Bセグメントだが、18インチサイズの大径タイヤ&ホイールを履くユニファイド・スピンドルグリルは顔の強さと存在感をアピールリヤフェンダーの膨らみと横一直線のテールランプデザインはワイドスタンスの安定感をつくるエンジンはヤリスから採用されている3気筒のガソリンエンジン「M15A-FXE1.5L」にバランスシャフトの追加などレクサス専用の改良を行ない、バイポーラ型ニッケル水素バッテリーを使うハイブリッドを搭載している。出力は91ps/120Nmで、システム出力は100kW(136ps)。WLTCモードは27.7km/Lという省燃費パワートレインだ。市街地をアクセル開度30%程度までであれば、静粛性が高くラグジュアリーを謳うモデルに相応しいと感じられるが、大きくアクセルを踏み込むと決して気持ちいのいいエンジン音とは言えない音が聞こえてくる。
1.5Lの新開発エンジン。静粛性を高めるためにバランスシャフトを内蔵また225/55-18インチの大径サイズタイヤありきで開発がスタートしているため、NVHには苦労したようで、静粛性や滑らかさといった点でもラグジュアリーとは言い難く、クラスレベルだ。試乗後に開発エンジニアに話を聞いたが、このあたりは、滑らかさと静粛性はさらに磨きをかける必要性を認めていた。
乗り心地や静粛性には課題も
その乗り心地は、FFとAWDモデルがラインアップし、FFのリヤサスペンションはトーションビーム、AWDはダブルウイッシュボーンであるもののAWDは乗り心地が渋く、突き上げもはっきりとしていて、やはりクラスレベルに感じてしまう。
一方でハンドリングは素直でライントレース性がよく、リヤの追従性も感じられダイナミック性能はクラスを超える気持ちよさがあった。FFのBセグメントで周りを見渡せば実用車の領域であり、ハンドリングが楽しいと感じさせるものは数少ない。LBXはそうした領域からは隔絶したダイナミック性能と言える。
さらにボディ剛性の高さが感じられ、特にステアリング周りのしっかり感は欧州車と比肩できる。そのため、サスペンションの動きがわかりやすいことが影響しているのかもしれない。
エクステリアは前述のように存在感が強く、コンパクトカーサイズでありながらレクサスブランドであることもひと目でわかり、所有欲につながるデザインだ。またインテリアもレクサスらしい内装は好感度抜群だ。Bセグメントという実用車領域でありながら、プレミアムブランドのコンパクトカーである違いを明確に感じ取ることができる。
ヒエラルキーを超えるインテリア
高級なインテリア。材質、ステッチ、手触りも高級コンパクトカーのコックピットとは思えない豪華さインテリアデザインや材質、手触りなど高級感が溢れ、まさにヒエラルキーを超えるコンパクトラグジュアリーと言うことができる。レクサスUXやNXに通じる見栄えで仕上げてあり、レクサスブランドに乗っている満足感は高い。驚くのはシートポジションの低さだ。クロスオーバーというよりハッチバックをドライブしている気分になり、開発の狙いの中でも高級感とともに、ダイナミック性能に重きを置いていることが伝わってくる。
そしてコンパクトカーでありながらビスポーク対応していることも驚かされる。これまでビスポークと言えば大型の超高級モデルを対象としてきたが、LBXは新しい挑戦をしているわけだ。そのLBXのビスポークビルドでは表皮素材や色、ステッチパターン、シートベルト、トリム加飾といったことに対応し、エクステリアでも外板色が17色もあり、加えてビスポークビルドではミラーガーニッシュ加飾など、見栄えの変化を楽しめる数多くのアイテムが用意されているのだ。
タッチパネル式のディスプレイは次世代のE/Eプラットフォームにアップデートされたドライバーを抜けばキャディバッグ1個は真横に搭載できるまた居住性においても割り切りの潔さがあり、好印象だ。つまり、Bセグメントというサイズでありながら、広いキャビンスペースを求めるというのが量販モデルの常識だが、高級ラグジュアリーブランドのレクサスが作るBセグメントはフロントの2座席を優雅に、豪華に過ごせる空間とし、リヤシートはエマージェンシー程度に割り切っている潔さを感じる。コンセプトのヒエラルキーを超えるラグジュアリーとする、開発者の思い切りが伝わってくる。
じつは東京オートサロン2024で、このLBXにはハイパフォーマンスモデルの「LBX MORIZO RR CONCEPT」が展示されており、1.6Lターボを搭載するモデルも近々デビューすることがアナウンスされている。楽しみに待ちたい。
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内装のクオリティはCTを進化させたほうがよかった。